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真相調査した検事に自殺暗示の携帯メールを送った真意に疑問

登録:2014-03-06 21:41 修正:2014-03-07 06:48

‘自殺未遂’国家情報院協力者 疑問の行跡
文書偽造疑惑を解く鍵にぎり
今までに3回にわたる高強度調査

18時間に及ぶ検察調査を受けた後 モーテルへ
午前11時、酒の臭いを漂わせ目撃され
午後5時頃 血を流しているところを職員に発見さる

モーテルの部屋‘国情院’血文字 あわてて清掃
現場で4枚の遺書発見
検察・警察、内容は徹底的に箝口

 ‘脱北華僑出身ソウル市公務員スパイ事件’証拠偽造疑惑で3回にわたり検察の調査を受けた国家情報院協力者キム・某(61)氏の自殺試図に多くの疑問があふれている。 キム氏はスパイ容疑で起訴されたユ・ウソン(34)氏の疑惑立証のために国家情報院・検察が裁判所に提出した中国公文書を偽造・伝達する過程に関与した核心人物だ。

 なぜ検察の調査を受けた後に自殺を試みたのか、検察に自殺を暗示する携帯メールを送った理由は何か、彼が残した遺書の内容と‘国情院’という血文字を書いた理由などにも疑惑が起きている。 検察は遺書を公開せず、モーテルの部屋の壁に書かれた血文字は全て清掃された。 キム氏が命をかけて何かを隠そうとしながらも、無念な恨みを暴露しようとしたのではないかという疑いが提起される。 ユ・ウソン氏の弁護団は、キム氏の自殺試図を 「自身を犠牲にして黒幕を隠そうとする国家情報院などの尻尾切り式犯罪隠匿に対する幻滅と恨みのためと推定できる」と主張した。 キム氏は現在、病院で手術を受け治療中であり生命には支障がない状況だ。

■自殺暗示携帯メール

 6日<ハンギョレ>取材結果を総合すれば、キム氏は5日午後6時頃、自身が滞在したソウル永登浦区(ヨンドンポク)のRホテルで自殺を試み、血を流した状態で発見された。 キム氏は4日午前11時からこの日午前5時頃まで約18時間にわたり検察の調査を受けた直後にこのホテルに投宿した。ホテルには午後5時までと言っていた。

 彼はこの日昼12時51分頃、自身を調査したソウル中央地検真相調査チームの検事に "もうお会いすることはないでしょう" として、自殺を暗示する携帯メールを送った。 "○○検事様、昨日は挨拶できなかったのでメールを送ります。 (中略)もうお会いすることはないでしょうからメールを送ります。 どうぞお元気でお幸せに" という内容だった。 キム氏は先月28日から3回にわたり‘参考人’として検察の調査を受けた。 検察はこの携帯メールを受け取るとすぐに警察に連絡し、緊急位置追跡を行ったがキム氏の所在は突きとめられなかった。

 中国公文書の偽・変造に関与した核心人物であるキム氏は、検察調査の直後に自殺試図をしたという点に照らして、証拠偽造と関連した何かを隠そうとした可能性が高い。それでも捜査検事に "申し訳ない" として自殺を暗示する連絡を取ったことは疑問として残る。 携帯メールを送ったのは、自殺意図が強くなかったことを示すという解説も出ている。

■公開されない遺書内容

 事件現場で警察が発見したA4用紙4枚の遺書は検察が持っている。 キム氏の自殺試図後に現場を訪れた検察捜査官が遺書を持って行った。 通常の自殺関連事件とは違い、検察が迅速に遺書を確保したわけだ。 警察関係者は「現場に遺書があったが、検察がすぐに持って行き、我々は内容を知らない。 キム氏家族との連絡も我々ではなく検察で行った」と伝えた。

 検察は遺書の内容を公開していない。 検察関係者は「(自殺試図の理由は)生活苦のような理由ではない。(国家情報院の圧迫を受けたという)そのような内容は書かれていない」と話した。 だが、また別の検察関係者は「遺書を見れば自殺動機を明確に知ることが出来る」と話した。 自殺試図現場に最初に出動し遺書を回収した警察官も、遺書の内容と関連しては徹底して言及を避けている。

■消された‘国情院’血文字

 警察が申告を受けてモーテルの部屋に到着した時、倒れていたキム氏の横の壁面には‘国情院’という赤い文字が書かれていた。 キム氏が自身の血で書いたと推定される。 警察は「キム氏が倒れていた部屋の窓際の壁に‘国情院’と書かれた血文字が発見された。 キム氏が自害した後、自身の血で書いたと推定される」と話した。 一部では‘国操院’という文字も並んで記されていたという。 最近一部のネチズンは国家情報院が情報を操作・歪曲していると批判する意味で‘国操院’(国家操作院)という名称を使っている。

 <ハンギョレ>記者がこの日午前、現場に行った時には、該当の文字は消されていた。 警察が初めて到着した時には、カーベットと壁面に相当量の血痕があったと言ったが、現場はすでに清掃された状態だった。 モーテル関係者は 「5日夜11時に清掃をして血痕を全て消した。 警察が捜査が終わったと言うので清掃をしたまで」と話した。

 ソウル市公務員スパイ事件証拠偽造疑惑の核心人物であるのに事件現場が毀損されたのだ。 キム氏が午後5時頃に自殺を試みたとすれば、警察が事故発生から僅か6時間で現場を全部整理させたことになる。 あわてて整理した背景に対する疑問が出て来ざるをえない。

■疑惑の5時間

 キム氏が自殺を暗示する携帯メールを送った後、警察に発見されるまでには5時間余りかかった。 Rホテル関係者は「ホテルの職員が退出時間の午後5時が過ぎたので部屋に電話をしてドアを叩いたが応答がなく、警察に申告した」と話した。

 5時間の彼の行跡は分からない。 ただしホテル側説明を聞いてみれば、彼はこの日午前11時頃にホテル ロビーに酒に酔ったような臭いを漂わせて椅子に座っていた。 検事に携帯メールを送った時も酒に酔っていた可能性をうかがわせる。 また、キム氏の部屋を訪ねてきた人物はいなかったという。

 ホテル側から申告を受けて警察が訪ねてきた時、キム氏はベッドと壁の間に下着姿で倒れていて、首の右側に凶器によると見られる傷から血を大量に流していた。 警察は午後6時19分に119に申告した。ただしキム氏は生命が危険な状態ではなかったと見える。 ホテル関係者は「キム氏は119救急隊に運ばれる際に救急隊員が質問をすれば返事をするほどに意識があった」と話した。

■キム氏の健康状態

 キム氏は5日午後6時50分頃、ソウル汝矣島(ヨイド)の聖母病院応急室に搬送され翌日午前2時頃に集中治療室に移され治療を受けた。 6日昼、集中治療室と手術室の前は警察と推定される黒い服を着た男性が警戒していた。 キム氏はこの日午後2時40分頃、約2時間ほど手術を受けた後、再び集中治療室に戻った。 キム氏を手術したパク・ヨンハク教授(耳鼻咽喉科)は「患者は生命には支障ない。 幸い自殺の道具が大きな血管を避けていた。 心理状態を把握して、大丈夫ならば明日あたりには一般病室に行けると見る」と話した。

パク・ユリ、イ・ジェウク、キム・ギョンウク記者 dash@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/627204.html 韓国語原文入力:2014/03/06 20:39
訳J.S(2990字)

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