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[土曜版 - 特集/ソウル市公務員スパイ事件] 印鑑を偽造して見た 300中国元(約5000円)出せば僅か8分で…中国公安局 偽造印鑑がその場で

登録:2014-03-02 10:09 修正:2014-03-02 11:50
<ハンギョレ>が製作した偽造の和龍市(ファリョンシ)公安局・公証処の印鑑

<ハンギョレ>は昨年末から検察とユ・ウソン氏の主張のうち、どちらが事実に符合するかを検証する取材を行ってきた。 検察が裁判所に提出したユ氏の出入境記録が見せた種々の矛盾と和龍市(ファリョンシ)公安局関係者が‘検察文書は偽造’と答えた事項を報道した経緯がある。(<ハンギョレ> 2013年12月7日付11面、12月21日付10面参照) <ハンギョレ>は24~26日に再び中国を訪問し、まだ調べられていなかった事実関係の検証を試みた。

 25日に再訪した和龍市公安局チルロンジュ出入境管理大隊長は、以前とは異なり何の説明もしなかった。 韓国からかかってきた多くの電話に疲れたように見えた。 「ちょっと前にあなた方が電話したんですか?」 大隊関係者が鋭い語調で記者に言った。 チルロンジュ大隊長は机を眺めるばかりで記者と目を合わせようとはしなかった。 公安局全体が言論の取材に冷たい反応を見せた。

 和龍市公証処も非常に敏感になっているようだった。 記者が訪問するや公証処関係者は「直ぐに出て行きなさい」と叱り飛ばした。 検察は和龍市公証処の印鑑を貰って国家情報院から入手したユ氏の出入境記録を裁判所に提出したことがある。 記録に捺された公証処の印鑑を見せるや公証処関係者は「いったい何回説明すれば、そこの印鑑がにせ物だということを受け入れるのか」と話した。 ‘吉林省延辺(ヨンビョン)朝鮮族自治州では、法的にハングルと漢文が並記された公証印鑑を使わなければならない’と彼は説明した。

延吉(ヨンギル)市内のある印鑑屋で
出入境記録に捺された和龍市
公安局・公証処の印影を見せながら
印鑑を作ってくれと言ったところ
同じ形の印鑑が出てきた

ユ・ウソン氏は北韓に一度だけ行ける
'乙 通行証’しか持っていなかったが
検察はこの通行証でも北韓へ
何回でも往来できると主張
中国公務員の返事はそうではなかった

 出入境記録に捺された和龍市公安局と公証処の印鑑は全て偽造の疑いをかけられている。 国家情報院が偽造の主体との疑いを買っている。 中国で公安局などの印鑑偽造がどれほど簡単にできるのかを確認してみた。 延吉市内のある印鑑屋に立ち寄った。

 出入境記録に捺された和龍市公安局と公証処の印影を見せて、ただ印鑑を作ってほしいと依頼した。 印鑑屋の主人はしばらく迷っていたが‘印鑑一つに300中国元(韓貨約5万2000ウォン・訳注:約5000円)を払え’と言った。 通常100中国元(韓貨約1万7000ウォン)で印鑑を作れるが3倍の値段をつけた。 支払うと言うと、僅か8分後には公安局と公証処の偽造印鑑が製造されて出てきた。 中国に住んでいるある現地人は「中国で印鑑偽造はありふれている。 大学の卒業証書も金さえ払えば偽造が可能だ」と説明した。

 北韓を往来できる通行証には、甲と乙の2種類がある。甲の通行証は貿易業を営む人々に発行されて1年に何度でも往来できるが、乙の通行証は親戚訪問用なので一度だけ通行が許諾される。 しかし、(韓国)検察は中国吉林省集安市(ジアンシ)辺境検査廠(出入境管理所)で2005年まで勤務した前職公務員のイム・某(朝鮮族)氏の証言に基づいて '乙通行証でも何度でも北韓訪問が可能だ' と主張している。 ユ・ウソン氏は乙通行証しか持っていなかったので、2006年5月27日に北韓から中国に出てきた後、再び北韓に入ったという検察の主張は事実でないと対抗している。

 <ハンギョレ>は集安市を訪れ出入境接待大庁の高位関係者に会った。 彼は 「乙通行証では何度も通行することは不可能だ。通行証は出入国管理所にすぐに返却しなければならない」と明らかにした。 イム氏の検察陳述とは異なる説明だった。 検察はイム氏を28日に法廷に証人として出席要請したが、イム氏は現れなかった。 イム氏の名前も出入境関連機関在職証明書も検察は裁判所に提出しなかった。

延吉/ホ・ジェヒョン、ソン・ヨンチョル記者 catalunia@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/626348.html 韓国語原文入力:2014/03/01 12:11
訳J.S(1880字)

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