"公文書、瀋陽領事館が受け取った" → "非公式入手"
印鑑偽造には "中国が複数の印鑑を使う"
‘脱北華僑出身ソウル市公務員スパイ事件’の証拠として提出された中国公文書が、偽造された可能性が一層高まっているが、この公文書を入手し提出した国家情報院は相次いで言葉を変えながら弁解に汲々としている。
民主社会のための弁護士会(民弁)が先月14日 「検察が裁判所に出した中国公文書3件は全て偽造されたもの」という中国政府の事実照会回答書を公開する時も、国家情報院は文書を入手した手続きと内容に何の問題もないとし自信を表わした。 国家情報院は当日、報道参考資料を出して "ソウル高裁に提出した(被告人ユ・ウソン氏の)北韓出入内容は中国瀋陽駐在領事館を通じて入手したものであり、事実と符合しており控訴審裁判で出入内容が事実であることを詳しく立証する」と話した。 瀋陽総領事館という外交経路を通じて文書を入手したという主張だった。 その3日後、民主党議員が国家情報院を抗議訪問した時も同じだった。 チョン・チョンレ民主党議員は、国家情報院関係者との面談内容を記者たちに知らせ 「国家情報院側は‘偽造されたものではないという強い確信を持っている’と話した。 ‘そんなに確信があるならば、中国政府側になぜ真っ向対立しないのか’と尋ねたところ‘外交的摩擦などを考慮してこらえている’と弁解した」と伝えた。
証拠として提出した中国公文書ら
偽造の可能性 ますます高まっているが
"文書内容は事実だ" 主張を固守
公文書印鑑偽造疑惑には
"捺す力によって変わる" 荒唐解明
鑑定結果‘不服’の態度
ところで先月18日と21日に国家情報院の主張と相反する内容が国会で溢れでた。 ユン・ビョンセ外交部長官は、スパイ容疑を受けているユ・ウソン(34)氏の中国‐北韓出入境記録に関連した中国公文書2件に対して「瀋陽領事館が(中国側に)正式に発行要請したものではないと聞いている」と話した。 国家情報院が正式手続きを踏まずに文書を入手したという意味だった。 チョ・ペクサン瀋陽総領事の答弁では、国家情報院から派遣出向したイ・インチョル領事の存在が公開され、文書の‘入手・公証・伝達’過程に国家情報院が介入した事実が明らかになった。
すると国家情報院は言葉を変えた。 国家情報院は先月25日、証拠偽造疑惑を捜査中の検察真相調査チームに出した自主調査報告書で‘国家情報院現地要員が非公式に得たもの’という趣旨で説明したと言う。 イ・インチョル領事も文書を伝達するだけだったし、文書入手は他の職員がしたと明らかにしたと伝えられた。 だが、依然として‘文書の内容は事実だ。 偽造されたものではない’という主張を曲げなかった。
先月28日、最高検察庁デジタル捜査センター(DFC)の文書鑑定結果を通じて、国家情報院が入手した中国三合辺境検査廠(税関)発行文書の印鑑が事実上偽造されたものと明らかになるや、国家情報院は完全に‘文書鑑定結果は信じられない’という趣旨で言い逃れた。 最高検察庁は三合辺境検査廠が発行した弁護人側文書と国家情報院・検察側文書に捺された印鑑は異なるものという鑑定結果を出したが、これに先立って中国政府は弁護人側文書が‘本物’と明らかにした経緯がある。 これに対して国家情報院は「中国は官公庁内でも複数の印章を使ったり同じ印章も捺す時の力の強弱・朱肉の状態などによって字の太さなどが変わり、精密鑑定すれば完ぺきには一致しない」と主張した。 その一方で三合辺境検査廠が実際に官印を複数使っているかについては話をせずに、中国の他の省などを例にあげた。
特捜部出身のある検事は「最高検察庁デジタル捜査センターの文書鑑定結果は‘ファクト’の領域だ。 国家情報院が提示した種々の不一致可能性まで全て念頭に置いて鑑定した結果と見れば良い。 文書鑑定結果すら信じられないということは、今後出てくる捜査結果も信じられないとゴリ押しすることになりかねない」と話した。
キム・ジョンピル記者 fermata@hani.co.kr