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[地域ズームイン] 全州 旧都心住居地 再生現場

登録:2014-02-09 22:59 修正:2014-02-10 07:46
都心の空き家が菜園に変身…希望を混ぜる優しい食堂
全北(チョンブク)全州市(チョンジュシ)都市再生協同組合1号店 食堂‘ノソンパブナム(老松ご飯の木)’で、チョ・エジャ氏(右から),ハン・ボクスン組合理事長,チョ・チョング氏が生野菜ビビンパを笑顔で準備している。

 全北(チョンブク)全州市(チョンジュシ)完山区(ワンサング)老松洞(ノソンドン)の住民たちが住民参加型町内再生に挑戦している。全面撤去と再開発の代わりに、空き家を共同菜園として育て、協同組合食堂を始めた。顔のない天使が毎年訪れるという老松洞の住民たちが‘天使の村’を作り出すだろうか。

 "食堂の仕事は初めてなので、とても心配でした。 数ヶ月経ったので今は上手くできるという自信もできました。何よりもこの歳で働き口ができてうれしいです。"

 全北全州市 完山区 老松洞食堂‘老松ご飯の木’で仕事をするチョ・エジャ(74)氏の言葉だ。昨年11月1日に開店した食堂で、チョ氏は他の職員2人と共に午後6時まで働いている。 去る5日、お昼時に行ってみると、ビビンパ、四骨雑煮(トックク)、のりまきなどを商っていた。 看板に書かれた‘ともに生きる…’の字句をつくづくと見なければ、通常の町内食堂と変わりなく見えた。

 規模は26.4㎡(8坪)と小さいものの、この食堂は‘住民自立型都市再生’という壮大な目標がある。 住民たちが十匙一飯で出資金を集めて作った協同組合だ。 老朽化し衰退した村を蘇らせたい住民23人が、970万ウォン(約90万円、1口5万ウォン)を用意した。

 ビビンパなどを商って、どのようにして村を生かすということだろうか。老松パブナム協同組合の監査であるホ・ジョンジュ(63)氏は「地域の住民たちが都市再生に着実に参加するためには働き口が必要だった。老松洞一帯の空き家を活用して菜園を作り、そこで育てた野菜を食堂で使う」と話した。

 老松洞は全州旧都心にある代表的な庶民住居地だ。1990年代以後、人々が新しいアパートができた郊外に抜け出る中で廃家、空家が約20ヶ所に増えた。捨てられた家は壁が崩れゴミが積もった。 空き家からは悪臭が出て虫が沸いた。 家出青少年が空き家に出入りして暴力などが頻発した。 住居環境が悪化すると「子供たちを育てられない」として去って行く住民が一層増えた。 町内商圏も一緒に沈滞した。

 再生地区に選ばれた950余世帯が暮らす老松洞の住居環境をどのように再生すべきか。 古い建物を壊して全面再開発することを期待した一部の住民たちは「なぜ早く撤去しないのか」として不満をもらしもした。 反面、古の姿を生かしながら住居環境を改善することを願う住民たちも少なくなかった。 2000年以後、本来の姿を保存しながら住民たちの暮らしの質の向上を図り、全国から探訪客の足を引き込んだ‘全州韓屋村(ハノンマウル)’の再生経験も住民と行政部門に影響を与えた。

代表的老朽住居地 老松洞に
廃屋を整理して共同菜園造成
住民出資の協同組合食堂 開店
無農薬野菜でビビンパ商い
親環境都心再生モデルとして注目
"住民直接参加で事業推進
経済的助けで連帯感 育成"

 全州市は2009年1月、都心部活性化総合対策を発表し、その年の3月に各分野の専門家34人で政策・諮問を務める都市再生推進団を創立した。 そして全面撤去後に高層アパート建設という他地域の都心再開発とは異なり、旧都心である老松洞の古い建築物を直して道を拡げる側に方向を定めた。‘千年古都’全州市は、2000年代初期に都市再生事業を始め、韓屋村活性化、旧都心特化通り(映画の通り、歩きたい通り)造成などを進めてきた。全州韓屋村は2002年、韓・日ワールドカップを控えて本格的な整備事業を展開し、毎年探訪客が増加しながら文化体育観光部が選定した‘2010韓国観光の星’に選ばれもした。

 老松洞老朽住居地区14万5000㎡は、2010年国土交通部の都市再生モデル事業地区に選定された。 全州市は以後1年ほど、住民たちの意見を集約することに注力しながら、住民たちが都市再生を主導するようにした。 キム・ヒョンジョ全州市都市再生課長は「公務員たちが都市再生方式を決めるのではなく、住民たちが参加する中で文化・経済分野の変化を導くようにする総合的都市再生を推進した」と話した。

全北全州市 老松洞の住民たちが運営する老松パブナム食堂

 2011年から住民たちが都市再生住民学校プログラムに参加した。 村再生の求心点の役割を果たす町内住民協議会も設けた。 全州都市再生支援センター クァク・ヒジョン(35)研究員は「住民たちの参加を重視した結果、官主導で行うより事業推進に時間は多くかかった。だが、住民たちが持続可能な活動により共同体意識を形成できるという点で肯定的」と話した。

 住民たちが積極的に取り組む中で衰退した町内を再生しようとする住民たちの構想が具体化された。住民たちは村の諸悪の根源である廃・空家の解決法について悩んだあげく共同菜園を作り、その菜園で育てた野菜を食材料としてビビンパを作って商うことにした。 食堂は協同組合方式で作ることにした。 このようにして協同組合‘老松パブナム’創業のアイデアはもちろんビビンパ メニューの選定、食材調達方案まで用意したのだ。

 全州市はこれを手伝った。2012年12月から老松洞の廃屋を撤去して順に菜園を用意した。 これまでに用意した1号(302㎡),2号(198㎡),3号(235㎡),4号(192㎡)の菜園の中で1・2号では既に農作業をしており、3・4号菜園は今春から耕作する予定だ。 退職した住民イ・ドンギュ(68)氏が、70代以上の他の住民4人と共同菜園耕作チーム長を受け持っている。 昨年10月には、さつまいもを出荷して良い評価を受けた。イ氏は「共同菜園が村の広間の役割も果たしている。 花や蔓を植えて、夏には住民たちの休息空間になる。菜園に集まって住民たちが会話して疎通することができる」と話した。

 住民たちが農薬を使わずに自ら栽培した菜園の野菜は、老松パブナムのビビンパ材料として食卓に上がる。 パプリカ、キュウリ、ニンジン、キャベツ、サンチュのような野菜が新鮮な‘生野菜ビビンパ’は5000ウォンで、他店より安く化学調味料を使わない。

 老松パブナムが開店して3ヶ月余、まだお客さんは一日15~20人で多いとは言えない。 老松パブナム協同組合のハン・ボクスン(52)理事長は「冬なので菜園農作業は休んでいる。春になれば地域住民たちが菜園で育てた野菜をたっぷり持ってくれば、食材費が下がり利益が出るだろう」と話した。

住民たちが共に耕作する1号共同菜園

 町内住民協議会の議長も務めた老松パブナム監査ホ・ジョンジュ氏は「食堂を開くことについて、住民たちは初めは半信半疑であった。 しかし、続けている内に信頼が生まれた。先月開かれた組合の定期総会には参加度が高かったし、会員加入を望む人も多くいて、会員を拡大することを決めた」と話した。老松パブナムは今後事業が繁盛すれば2号店、3号店も出す計画だ。

 昨年12月、全州市は老松パブナムの周辺に都市再生拠点センターの着工式を行った。 事業費90億ウォン(国費45億ウォン)を投じて来年下半期に完工する。 延面積4761㎡(地下1階、地上3階)規模のセンター建物には、村企業などが入居して、働き口の創出を後押しする。 体力鍛練室・小さな図書館のような住民福祉空間が入り、古い住宅を新しく建てる場合には、臨時住居空間としても活用する。 ソン・ハジン全州市長は「全州韓屋村が都市再生の出発点だとすれば、都市再生拠点センターは都市再生活性化の第2の跳躍点と言えるだろう」と期待した。

 老松洞は毎年、天使が訪ねてくる町内として全国に知られている。 老松洞住民センターには14年間、毎年欠かさず匿名で寄付をする‘顔のない天使’が訪ねてきている。 そのような匿名の分かち合い文化の象徴に挙げられる老松洞で、住民たちが共に菜園を育て食堂を運営しながら町内を再生し共同体を作っていく実験が今真っ最中だ。

全州/パク・イムグン記者 pik007@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/area/623324.html 韓国語原文入力:2014/02/09 20:26
訳J.S(3517字)

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