南北がようやく合意した‘離散家族対面行事’に僅か一日で濃厚な暗雲が立ちこめた。 南韓は離散家族対面に合意した日、米国の戦略爆撃機を動員した軍事訓練を行い、北韓はこれを問題にして 「合意履行を考慮(再検討)せざるを得ない」と脅した。
北韓は‘合意履行考慮’の理由として二点を挙げた。 先ず、北韓の最高指導者である金正恩朝鮮労働党第1秘書に対する韓国言論の批判的報道だ。 最近、平壌(ピョンヤン)の保育施設を訪ねた金第1秘書が靴を履いたまま子供たちの部屋に入った姿を批判的に報道した韓国言論が "最高尊厳をむやみにけなし、我が国の体制をでたらめに誹謗中傷" したと荒々しく非難した。
また他の一つは、南北が離散家族対面を議論する日、核兵器を搭載できる米軍のB-52戦略爆撃機が西海上の直島(チクト)で訓練したことだ。 北韓は "グァム島から引き込んだ米国のB-52核戦略爆撃機の編隊が西海 直島上空で終日我々を狙う核打撃演習に飛び回った" と攻撃した。
この内、一部言論の報道については政府でもどうしようもない事だが、B-52爆撃機の西海上訓練は韓国政府にも責任がないとは言えない。 離散家族対面実務接触の当日に戦略武器を使った軍事訓練を行ったことは、北韓が敏感に反応する可能性が高く、南北間の対話ムードと合意を害する可能性が大きいためだ。
北韓もやはり、前日に韓-米連合軍事訓練に対して曖昧な態度を取ったという点で責任がある。 この間、北韓は‘韓-米連合軍事訓練’に一貫して反対してきたが、前日の実務接触ではこれを挙論しなかった。 ただし北韓は「敵対行為や和解の雰囲気を害する行動はしないで欲しい」と遠まわしに話しただけだ。 また、北韓は当初わが国政府がキーリゾルブ韓-米訓練と重ならないよう提案した17~22日の対面日程を、韓-米訓練と二日間重なる20~25日に変更しようと先に提案し合意した。 したがって、政府は今回の対面行事の成功のために北韓が韓-米軍事訓練をある程度了解したものと理解した可能性がある。
その上、北韓も韓-米が予定された軍事訓練を北韓の要求により延期したり取り消しすることは困難という点を認識している可能性が高い状況で、ようやく合意した対面行事を後になって問題にする行為は批判を免れ難い。 北韓が韓-米軍事訓練を口実にして合意を破棄しようとしているという非難が出てくるのもそのためだ。 ある政府当局者は 「離散家族対面行事を行う意志がない北韓が、その破綻の責任を韓国にまわそうとするシナリオでありうる」と話した。
これに先立って北韓は、昨年9月にも離散家族対面を四日後に控えて一方的に延期を発表した。 当時、北韓は韓国軍部の敵対的言辞など挙論したが、実際には韓国政府が金剛山(クムガンサン)観光再開に意志を示さないので離散家族対面を流してしまったという解釈を産んだ。
北韓が南北関係の主導権を握りながら対話の速度を調節しようとしているという見解もある。 キム・チャンス コリア研究院政策室長は「北韓は韓国がよく対応できない場合、合意を破棄することがありうるというメッセージを投げながら、局面を主導しようとしているようだ。 心理戦様相と見える」と話した。
チェ・ヒョンジュン記者 haojune@hani.co.kr