「私の夫を強制剖検したチョン・ビョンドゥ氏が最高裁判事候補とは…」
5年前、龍山(ヨンサン)惨事で夫を亡くしたチョン・ジェスク(71)さんは懸命に訴えた。「夫を、私も知らないうちに剖検したチョン・ビョンドゥ氏が最高裁判事の候補になった。今は龍山惨事5周忌追慕週間だ。最高裁長官に人間性があるならば、チョン・ビョンドゥ氏だけは絶対に最高裁判事にならないようにしてほしい」と。
17日午後、ソウル瑞草洞(ソチョドン)の最高裁判所正門前で、龍山惨事真相糾明委員会と遺族ら10人余りが記者会見を開いた。「龍山惨事偏向捜査の検事チョン・ビョンドゥの最高裁判事候補に反対する」という横断幕が掲げられていた。16日、最高裁判事候補推薦委員会はチョン・ビョンドゥ(52)法務研修院研究委員など5人を候補群に推薦した。ヤン・スンテ最高裁長官は、そのうち1人を3月に退任するチャ・ハンソン最高裁判事の後任として大統領に任命要請書を提出することになる。遺族らは同日、「ヤン・スンテ最高裁長官が、龍山惨事裁判に対する最小限の責任と良心を持って、チョン・ビョンドゥを(最高裁判事)最終候補者として推薦する愚を犯さないこと求める」という内容の意見書を最高裁の請願室に出した。
チョン・ビョンドゥ委員は龍山事件当時、検察の特別捜査本部長だった。2009年1月20日、龍山惨事が起きた日、ソウル中央地検に設置された捜査本部は、龍山惨事で父親を失ったイ・チュンヨン(42)氏をはじめ、龍山立ち退き住民6人を拘束起訴し、20人を在宅起訴した。鎮圧警察に対しては、嫌疑なしで処理した。チョン委員は2009年2月9日「火が出たことについては、望楼に立てこもっていた住民全員に責任がある」という捜査結果を発表した。また「(警察の)“無理な過剰鎮圧”は、批判の対象にはなっても、ソウル地方警察庁長が正式な手続きを踏んで決定した作戦なので刑事上の責任はない」という結論を出した。
野党からも批判声明が出た。パク・ヨンソン議員など国会法制司法委員会所属の民主党・正義党議員8人は共同声明書を出して「国家権力から人権を保護しなければならない最高裁判事の席に国家暴力をほしいままにした当事者を推薦したことは、司法部の存立根拠を否定するものだ」と批判した。
パン・ジュンホ、ソン・ホジン記者 whorun@hani.co.kr
訳A.K(1218字)
