大学街で広がり始めた「みなさん、アンニョンハシムニカ(お元気ですか、安寧ですか)」の大字報は、世代・地域・階層を越えた全国的現象となった。大学街はもちろん高校生、平凡なサラリーマン、主婦らも自分なりの問題意識を盛り込んだ大字報を書いている。
最初に高麗(コリョ)大学に大字報を貼ったチュ・ヒョヌ(27・経営学科)氏とともに、「みなさん、アンニョンハシムニカ」の公式フェイスブックページを運営しているカン・テギョン(25・哲学科)氏は16日、呼応する大字報が多すぎて、現在、正確な集計はできていない」と述べた。フェイスブックページに「いいね」をクリックしたネチズンは同日午後で23万人を突破した。彼らは大字報1228件の“認証ショット”を集めることを目標に「応答せよ1228」キャンペーンも進めている。
延世(ヨンセ)大、西江(ソガン)大、漢陽(ハニャン)大、中央(チュンアン)大などソウル市内の大学に続き、大田(テジョンの)KAIST(韓国科学技術院)では10人余りが大字報を貼り出した。この学校の物理学科2010年入学のイ・ユンソクさんは「アンニョン(安寧)じゃありません」という大字報に「(国家情報院政治介入、学内清掃労働者処遇などの)問題に対する批判と関心は一時的だった。正常でない権力の横暴に、安寧ではいられない」として「全国各地の安寧ではいられない方々の闘争を支持し、共にしたい。我が誇らしい学友の皆さんも一緒にやりましょう」と書いた。ソウル聖公会(ソンゴンフェ)大学と仁川(インチョン)大学などにも「安寧じゃありません」というタイトルの大字報が出ている。
高校生の参加も目立つ。時局批判や教育問題など素材は様々だ。この日、全羅北道群山(クンサン)女子高のチェ・ジャウン(16)さんは「国家情報院が民主主義をじゅうりんし、選挙に介入した情況が明らかになってロウソク集会が起きた時も、私は安寧だった。 なぜなら私は高校生だから。しかし、3・1運動も光州学生運動もみな、私たちのような学生が主体となった。 私たちも立ち上がるべきではないか」と書いた大字報を学校の外壁に貼った。京畿道城南(ソンナム)市ヒョソン高のチョン・ヒョンソク(18)君は「私たち生徒が要求しないから、私たち生徒のための政策は出てこないのだ。毎年成績を悲観して自殺する生徒たちが絶えないのに、いつからか、それを当然のように思うようになった。それで私は安寧ではいられない」と大字報に書いた。
光州北区のある電柱には「大韓民国の平凡な高校2年生」の名前で「みなさん、アンニョンハシムニカ(お元気ですか、安寧ですか)」の大字報が貼られた。それには「鉄道民営化による鉄道スト。その方々を見ながら恥ずかしくも私は安寧でした。そしてもうすぐ医療保険の民営化。風邪で病院に行けば数十万ウォンも払わなければなりません。それでも私は安寧でいられるでしょうか?」と書かれていた。警察はこの大字報が不法掲示物だとして剥がしてしまった。
社会参加に消極的だった市民たちも大字報書きに乗り出した。ソウル市の統合苦情案内窓口である「茶山(タサン)コールセンター」のある労働者は「労組活動をする仲間を雲をつかむようなことをしている人だと思っていた。盆正月の3万ウォンの商品券を8万ウォンの現金に変えるために同僚の女性が剃髪をした。彼らが生み出した成果の前で、私は卑屈になり、そして申し訳なかった。もうこれ以上悩まないで、彼らと共に、安寧でいないようにしようと思う」という内容の匿名の大字報を書いた。
自らを「82年入学、あなたたちの母親」とだけ明らかにしたある市民は「みなさん、アンニョンハシムニカ」現象が始まった高麗(コリョ)大学政治経済学部の裏門に 「あなたたちを育てながら、恥ずかしくも、成績とお金に屈従する方法を教えましたね。申し訳ないと思う。これからはあなたたちの声に拍手を送る」という内容の大字報を貼った。
専門家はこのような現象の原因を「政治の失踪」や「オンライン空間に対する不信」などと多様に分析している。チェ・チャンニョル龍仁(ヨンイン)大学教授は「疎通のない独善の朴槿恵(パク・クネ)政府とともに、与野党いずれも市民の多様な要求を制度化された政治過程に吸収できていない。誰も自分を代表してくれない状況で、市民が自発的な集団行動に乗り出したものと見る」と述べた。政治評論家キム・ミナ氏は「オンライン上に文やコメントを載せれば、政治的立場によって非難や呪いに近い反応がそれに続く状況だ。特に国家情報院の“コメント”は決定的だった。市民は今やオンライン空間だけでは足りないと感じて、大字報というアナログ方式の疎通を再び試みているのだ」と解釈した。
ソン・ホギュン記者、光州、大田/チョン・デハ、チョン・ジンシク記者 uknow@hani.co.kr