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チャン・ソンテク‘冷酷な’粛清…金日成‘延安派除去’再演

登録:2013-12-09 21:54 修正:2013-12-10 07:56
"反党・反革命的分派行為" は北韓で最も致命的犯罪
北韓の歴史を通じても、最も異例的で公開的な‘政敵追放’
北韓が8日、金正恩朝鮮労働党第1秘書が参加した中で開かれた労働党政治局拡大会議で、チャン・ソンテク朝鮮労働党行政部長をすべての職務から解任して党から出党・除名することを決めたと<労働新聞>が9日伝えた。 写真は労働党政治局拡大会議の様子。 労働新聞連合ニュース

 チャン・ソンテク朝鮮労働党行政部長の粛清を決めた8日、党中央委員会政治局拡大会議はチャン部長の罪目を‘反党反革命的分派行為’と規定した。 これは北韓で最も致命的な犯罪容疑に該当し、北韓歴史上で最大の権力闘争事件と言われる1956年‘8月分派事件’を連想させる。 チャン部長が受けている主な疑いは分派行為、経済事業関連行為、個人的不正腐敗行為などだ。

 金正恩朝鮮労働党第1秘書が直接指導したというこの日の政治局拡大会議について<朝鮮中央通信>は "党内に居座っていた偶然分子、異色分子らが党の唯一領導を去勢するため分派策動で勢力を拡張し、あえて党に挑戦して出た。 チャン・ソンテクが敢行した反党反革命的分派行為の害毒性、反動性が逐一暴露された」と明らかにした。 特に同床異夢、陽奉陰違(表面では服従するふりをしながら胸中では裏切る)という表現を使ってチャン部長が前では金第1秘書を敬うふりをしながら、背を向けては二心を抱いた二重人格者だとして非難した。

 そうした点で今回の事件は1956年‘8月分派事件’を想起させる。 この事件は中国革命に参加した延安派とソ連の支援を受けたソ連派などが金日成主席中心のパルチザン勢力に正面から挑戦した事件だ。 金主席が彼らの挑戦をはね除けることに成功し、北韓は金日成唯一支配体制を確立する。 金第1秘書もやはり今回の事件を過去の核心人物を除去し自身の体制を確立する契機にしようとした可能性がある。

 チャン部長の疑惑は大きく分けて三つだが、一つは分派形成だ。 内容を見ればチャン・ソンテクが行政部長の地位を利用して分派形成を図ったことになっている。「過去に厳重な誤りを犯し処罰を受けた者を、党中央委部署と傘下単位幹部隊列に入れて勢力を広げ地盤を確立しようと企んだ」ということだ。 さらにチャン部長が「朝鮮人民軍最高司令官(金正恩)の命令に従わない行為をためらいなく敢行した」と非難した。 専門家たちは点が、去る2月の第3次核兵器実験を控えてチャン部長が軍部と異見を示した可能性を暗示していると解釈している。

 国の経済事業と人民生活向上に莫大な支障を与えたということが2番目の主要な疑惑だ。 "国の貴重な資源を安値で売ってしまう売国行為をした" という主張は、茂山(ムサン)鉄鉱山に関する中国との合作投資を指すと見られる。 この合作投資は韓国でも北韓の核心資源を中国に渡した事例として引用されている。 また "党が提示した内閣中心制、内閣責任制原則に違反" したという主張は、経済建設が内閣中心でなく、チャン部長個人または、党行政部中心に運営されたことを示唆する。

 このような経済関連疑惑は、チャン部長の失脚が経済問題を巡る北韓内路線闘争の側面があることを暗示している。 実際、1956年8月分派事件も当初は金日成中心の重工業優先路線と延安派などの軽工業・農業並行発展路線間の葛藤から始まった。 これが後には政治権力を巡る全面的な闘争に飛び火したのだ。

 経済事業と関連した疑惑は、事実上彼が主導してきた黄金坪(ファングムピョン)・威化島(イファド)特区、羅津(ナジン)・先鋒(ソンボン)特区開発でも新たに発表された北韓内14個の特区指定・開発、中国との経済協力など経済建設事業と路線に一定の変化が起きうることを見せている。 金主席と金正日国防委員長の遺言という "主体鉄、主体肥料、主体ビナロン工業発展" を前面に掲げたことも経済路線の変化を暗示する内容と読まれる。

 3番目の疑惑は "資本主義生活様式に染まった不正腐敗行為" であるが、この疑惑はチャン部長が政治・経済的にも問題があって、同時に道徳的にも堕落したことを非難するために掲げたと解釈される。 拡大会議はその根拠として "色々な女性たちとの不当な関係、酒遊び、飲食宴会、麻薬、外貨蕩尽、賭博" を提示して、チャン部長を資本主義に染まった破廉恥犯として罵倒した。 これは最近北韓の経済建設ムードの中で市場経済に基づいて富を蓄積した階層に対する大々的な取り締まりや統制を予告しているのかも知れない。 カン・テホ記者 kankan1@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/614628.html 韓国語原文入力:2013/12/09 20:19
訳J.S(2039字)

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