国家情報院の大統領選挙世論操作および政治介入事件を捜査中のソウル中央地検特別捜査チーム ユン・ソギョル(53・驪州(ヨジュ)支庁長)チーム長が国家情報院前心理戦団職員の押収捜索・逮捕令状請求事実を上部に報告しなかったという理由で、捜査チームから排除された。 国家情報院事件の裁判が進行中という状況で捜査チーム長を電撃更迭するや、捜査チームを揺さぶろうとする外部影響が作用したのではないかという分析が検察内外から出ている。 また捜査チームは国家情報院心理戦団職員がツイッターで5万5689回にわたり特定政党を支持または反対する文を掲示した事実を確認し、ウォン・セフン(62)前国家情報院長の公訴状にこのような内容を追加した。
18日検察関係者たちの話を総合すれば、チョ・ヨンゴン ソウル中央地検長は17日午後ユン チーム長に職務排除命令を下し、ユン チーム長は18日年休を申請し出勤しなかった。 ユン チーム長は昨年の大統領選挙を控えてツイッターで選挙・政治関連文を載せ、転送(リツィット)した国家情報院職員4人の住居地に対する押収捜索令状とこれら4人の逮捕令状請求を‘チーム長専決’で処理し発給を受けていたと言う。 チョ地検長は正常な決裁手順を踏まなかったという理由でユン チーム長に17日午後6時10分以後から捜査と裁判に関与するなと指示した。
捜査チームは17日午前、国家情報院職員4人の住居地を押収捜索し、内3人を逮捕し調査した。(<ハンギョレ> 18日付1面 http://japan.hani.co.kr/arti/politics/15841.html 参照)国家情報院は‘機関通知手順を踏まなかった’として異議を提起し、検察は検察総長職務代行を務めているキル・テギ最高検察庁次長の指示により3人を解放したと言う。
捜査チームはまた、18日午前8時50分頃、上部に報告したり決裁手順を踏むことなくウォン・セフン前国家情報院長の公訴状変更申請書を裁判所に提出した。 キル次長はこれに対して真相調査を指示した。
捜査チームは逮捕した国家情報院職員3人を調査し確認した内容に基づいて、国家情報院心理戦団職員がツイッターで5万5689回にわたり特定政党を支持または反対する文を掲示し、公職選挙法などに違反したという内容をウォン前院長の公訴状に追加した。 ウォン前院長起訴当時の公訴状にはツイッター文と関連した疑惑内容はなかった。 検察関係者は「上で押収捜索と逮捕を出来ないようにしたり、生ぬるい態度に出て、報告すれば捜査内容が漏れることを憂慮してユン チーム長が専決処理したものと見られる。 通常、重要事件は上部に報告するが、報告をしなかったからと職務排除命令を下したのは行き過ぎだとみられる」と話した。
野党議員たちも記者会見を行い 「史上類例のないふるまいであり国家情報院大統領選挙介入事件の波紋を恐れる現政権の露骨な捜査および公判介入」と主張した。 これに先立ってファン・ギョアン法務部長官はウォン・セフン前院長らに対して公職選挙法違反容疑を適用するなと検察に指示し、チェ・ドンウク当時検察総長および捜査チームと葛藤を生じさせた経緯がある。 キム・ジョンピル記者 fermata@hani.co.kr
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ナム・ジェジュン国家情報院長 激怒…最高検察庁 騒然
国家情報院事件 特別捜査チーム長 電撃更迭 後暴風
‘事情がどれほどならば報告せずに逮捕するか’見解も
ユン・ソギョル(53・司法研修院23期)驪州(ヨジュ)支庁長が、国家情報院の大統領選挙世論操作および政治介入事件を捜査中だったソウル中央地検特別捜査チーム長から更迭されるや、検察内部では国家情報院捜査の後暴風で検察がま再び大きく揺れるのではないかという憂慮が出ている。 一部の検事たちは国家情報院事件を徹底的に捜査しろと指示して公職選挙法適用を貫徹したチェ・ドンウク前検察総長が辞退した後、検察指揮部を信じられなくなったユン チーム長が行動に出たのではないかという分析も出している。
イ・ジンハン ソウル中央地検2次長検事は18日 「(逮捕・押収捜索令状、変更された公訴状の)内容を事前に知らなかった。 捜査チームから報告がなく一方的に決めたのに葛藤があるわけがない。捜査チームとこの懸案に対して協議自体がなかった」と話した。 捜査チームに‘虚を突かれた’という話だ。
このような雰囲気は最高検察庁でも感知される。 前日の捜査チームの動きを一歩遅れて知ることになった最高検察庁では大きな騒動が起きたと伝えられた。 ある最高検察庁幹部は 「ナム・ジェジュン国家情報院長が激怒して抗議するなど、大騒ぎだった。 少なくとも国家情報院職員を逮捕してきたら、国家情報院には知らせるべきであった」と話した。 また別の最高検察庁幹部は 「今回の事案を巡って意見を交わした上で捜査チームから出たことではないようだ。 ユン チーム長が電撃的に行動したようだ。 ユン チーム長の‘奇襲クーデター’と見る視角がある」と話した。
一部の検事たちは‘ユン チーム長が内部報告を飛び越えたのは問題’としつつも‘事情がどれほどならそうするだろうか’という反応も出てきた。 ある部長検事は 「公職選挙法適用可否を巡って法務部と葛藤が生まれた時から一連の過程を見れば、最近も法務部などと継続的に衝突してきたと見るべきではないか。 ユン チーム長はむやみに行動する人ではない」と話した。 また別の検察関係者も 「ユン チーム長が正式手続きでは突破が難しいとみて決断したものと見える。 総長まで飛ばされた状況なので、自分だけでも事件を最後まで踏ん張ろうと腹を括ったようだ」と話した。
ユン チーム長を捜査チームから排除した措置は行き過ぎだという反応もある。 検察関係者は 「特別捜査チームはそれ自体が独自性を認められた組織なのに、報告しなかったという理由で更迭までするのは行き過ぎだ」と話した。 ある最高検察庁幹部は 「主要事件の場合、通常は捜査チームが最高検察庁と法務部に知らせ意見を交わす。 だが報告をしなかったからと当日直ちに職務排除命令を下すのは異例的」と話した。 また別の検事も 「チーム長専決で決済しても何ら問題ない。 重要事件を事前に報告しなかったと言うならば、呼んで戒め警告すれば良い。 職務排除命令は行き過ぎだ。 上層部ラインからユン チーム長を外せとのサインが来たのではないか」と話した。 キム・ウォンチョル記者 wonchul@hani.co.kr