いったいチキン店がどれほど多いのか? 先月の9月23日、2.8km離れた二人のチキン業者間で営業区域を巡り諍いが起きた。 あるチキン店の従業員と別のチキン店社長の間で、頬を殴り腕の骨を折る喧嘩が起きた。 驚くべきことにこの2つの店は姉の夫の店と義理の兄弟の家で営む店であった。
なぜこういう‘どん詰まりドラマ’が繰り広げられたのだろうか? 70~80年代はあまりに多く過当競争に陥ったのは‘喫茶店’だった。 ‘産業化’の波に乗り、農村から上がってきた女性たちを喫茶店が吸収した。 IMF救済金融以後には‘PC房(ネットカフェ)’が取って代わった。 名誉退職した会社員が見た目が良くて雑用が多くない業種を選んだためだ。
今はチキン店とコーヒーショップがその役についている。 引退後の再就職が難しい50代ベビーブーム世代と、就職難を体験する20代の青年層がチキン店やコーヒーショップなど進入障壁が低い一部業種に集まったためだ。 生存を脅かされる程に熾烈な競争が、血縁さえも冷酷に争わせたのだ。 ‘チキン店バブルが韓国経済の心配事’という外信報道まで出てくるほどだ。(<ウォールストリートジャーナル> 9月15日付インターネット版)
広域自治団体別チキン専門店現況
<ハンギョレ>SNSチームは最も最新の資料である2011年末基準 統計庁資料を基に全国のチキン専門店数を調査した。 まず、全国的に2万9千95店のチキン店があると把握された。 店舗1軒が相手にする商圏人口は平均1744人だった。 チキン店がどれほど狭い市場を相手に営業をしているのか知ることが出来る。 その上、チキンを食べられない幼い子供や老人たち、チキンアレルギーがある人、漢方薬服用時に鶏肉を食べない人、赤ん坊の皮膚に良くないかと思って鶏を食べない妊産婦などを除けば、チキン店1軒が相手にする市場はさらに狭くなる。 非公式統計では現在チキン店が3万店舗を越えたと専門家たちは推定している。
今回は全国の店舗間平均半径を測ってみたら1047mであった。 概略、韓国全土の半径1kmごとに1店ずつチキン店があるという話だ。 国立公園、道立公園、山岳地帯、畑、川の上にはチキン店はない。 従って、チキン店がどれほどちゅう密コンパクトに集まっているかを察することができる。
さらに驚くべき事実は、統計庁が‘チキン専門店’と分類したこの統計には‘チキンを各種おつまみの一つとして出す’ビヤホールは含まれていないという点だ。 殆どの消費者がチキン店として認識しているビヤホールまで合わせれば、大韓民国が‘鶏の国’と言っても過言でない。
今度は広域自治団体別にチキン店商圏半径などを調査した。 商圏の半径が最も短い広域自治団体は予想通りソウル市であった。 ソウルには計4388店のチキン店があると調査されたが、これは半径210mにチキン店がある計算だ。 だが、漢江の上にはチキン店がない。 江辺(カンビョン)北路やオリンピック道路にもチキン店はない。 もちろん、チキンを主要おつまみとして出す‘ビヤホール’も除外されている。 ちょっと誇張して言えば、チキン店間の距離は鶏の脚より短いわけだ。
ソウルに次いでチキン店が密集している地域は2178店舗がある釜山(プサン)で、半径340mごとに店舗があった。 続いて大田(テジョン)(410m),大邱(テグ)(410m),光州(クァンジュ)(440m),仁川(インチョン)(480m)等、大都市圏の商圏密集度が高かった。 商圏の半径が最も長い地域は1251の店舗がある江原道(カンウォンド)であり、半径2.07kmに一ヶずつのチキン店があると調査された。 しかし江原道が概して山間地帯だという点を考慮すれば、これもまた広いとは言えない。
ソウルはチキン店が‘鶏鶏鶏’(たわわに)あるが、店舗あたり相手にする商圏人口は2336人であり、全国平均の1744人を上回っており、それなりに事情が良い方だ。 全南(チョンナム)、仁川(インチョン)、全北(チョンブク)、済州道(チェジュド)もやはり全国平均を上回っていた。 チキン店間の距離が最も長い江原道は統計数値だけで見れば1つのチキン店が1228人を相手に営業しなければならない全国最悪の営業環境と調査された。 だが、軍部隊による流動人口という‘隠れた市場’があるために起きる‘錯視現象’だ。 江原道を除けば慶北(キョンブク)(1343人)と蔚山(ウルサン)(1386人)がしんどい過当競争をしなければならないことが明らかになった。
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市・郡・区別チキン専門店現況-店舗数
店舗数最多は‘チメクサラン(チキンと麦酒を愛する)’大邱(テグ)達西(タルソ)…
全北(チョンブク)鎮安郡(チナングン)は1店
広域自治団体別にチキン専門店の商圏を分析した後、今度は252の市・郡別商圏を対象にもう少しミクロに調べてみた。
全国でチキン専門店が最も多い地域は大邱(テグ)達西区(タルソグ)で、391店が集まっていた。 概略半径225mごとにチキン点が1ヶずつある格好だ。 次いで慶南(キョンナム)金海市(キムヘシ)(335店),慶北(キョンブク)亀尾(クミ)市(320店)の順にチキン店が多かった。 特に大邱は達西区以外にも北区(プック)(316店)が全国5位を占めた。 大邱達西区庁関係者は「我が国の広域市自治区の中では達西区がソウル松坡区(ソンパグ)に次いで人口が多いうえに(61万人)大邱でチキンの人気が特に強い。 アパート団地ができ若年層が大挙流入したため」と分析した。
大邱の‘チキン愛’は有名だ。 蒸し暑い気候のために、昔からチキンとビールを楽しむいわゆる‘チメク’が流行した。 キョチョンチキンと、タンタンチキン、ホシギトゥマリチキン、ペリカナなどが全て大邱に基盤を置いて創業し全国展開フランチャイズ業者に成長したチキン企業だ。
これに対し全国で店舗が最も少ない市・郡・区は全北鎮安郡であり、1軒のチキン専門店しかないと調査された。 ‘チキン不毛地帯’ということだ。 それでも、まさか本当に1店しかないのだろうか。 鎮安郡庁関係者は「チキン専門店は1店しかないようだが、生ビールと一緒に売るチキン店は町に15~20店程度はある」と説明した。 生ビールを売ってチキンが各種つまみの一つであれば、統計はチキン専門店として把握しない。 事情はどうあれ大都市のようにチキン店が専門化されていないという意だ。 島が多い全南(チョンナム)新安郡(シナングン)にはチキン専門店が6店で、鎮安郡に次いで店舗数が少なかった。
市・郡・区別チキン専門店現況-商圏人口
‘江原道チキン’は軍人が主要顧客
今度は商圏人口を分析してみた。 やはり店舗数が少ない全北鎮安郡(2万8473人)と全南新安郡(7392人)のチキン店が最も多い商圏人口を相手に営業をしていることが明らかになった。 それでは反対に最も少ない商圏人口を対象に商売をしているチキン店はどこにあるだろうか。 江原道華川郡(ファチョングン)(804人),襄陽郡(ヤンヤングン)(846人),鉄原郡(チョルウォングン)(874人)等で、ほとんどが江原道地域にあった。
江原道は山間地帯であり、それもたかだか800人を対象にチキン店を営んで暮らしていけるのだろうか? 子供や老人、チキンアレルギー保有者などすべてを含めて800人が一日交代で1万5千ウォンの鶏丸焼き一匹まるごと食べても一ヶ月の売上は600万ウォンだ。 原価と人件費を考慮すれば、かろうじて食べていける水準だ。 華川(ファチョン)郡庁関係者に直接通話して‘江原道チキン店の力’を知ることができた。 郡庁関係者は「華川郡だけで7つの師団が駐留している。 住民は2万5千人しかいないが、軍人まで合わせれば6万5千人」として「軍人が外泊、外出をする時や、面会に来る人がチキン店に必ず立ち寄ることになる」と耳打ちした。 江原道襄陽(ヤンヤン)、鉄原(チョルウォン)、麟蹄(インジェ)、漣川(ヨンチョン)(京畿)等の事情も類似していると見られる。
市・郡・区別チキン専門店現況-商圏面積
150mごとにチキン店…‘鶏の丸焼き小路’水原(スウォン)八達(パルダル)
全国の市・郡・区の中で過密商圏地域、すなわち半径が最も短い地域はどこであろうか? 1位は半径157mごとにチキン店がある水原八達区であった。 チキンが好きな人々にとってこれは‘ニュース’ではない。 八達区には全国的に有名なヘンアン洞チキン小路がある。 約10軒の鶏丸焼き店がこの狭い通りに肩を寄せ合って営業している。
△水原(スウォン)八達区(パルダルグ)‘鶏の丸焼き小路’。 番号札をもらって待っているお客さんで通りが込み合う。 パク・ミヒャン記者
グラフィック チョ・スンヒョン/イ・ヨンイン、キム・イルウ記者