<朝鮮日報>が自身満々に提起したチェ・ドンウク検察総長の‘婚外子’疑惑が漂流している。 チェ総長の息子を産んだと名指しされたイム・某氏が10日、朝鮮日報と<ハンギョレ>に "私の子供はチェ総長と何の関係もない" と明らかにしたので一層そうだ。 イム氏は 「子供がチェ・ドンウク氏のような人になってほしいという思い」で「名前を勝手に借りて書いた」と明らかにした。
事案自体が朝鮮日報コラムが非難したことのある‘下水溝ジャーナリズム’の素材ではないかという判断はしばらく脇に置こう。 朝鮮日報は6日付1面での最初の報道では「チェ総長は最高検察庁麻薬課長として勤めていた2002年7月Y(54)氏との間に息子を産んだ」と断定し、 「チェ・ドンウク検察総長 婚外息子 隠した」とタイトルをつけた。
言論界では致命的な記事を当事者に確認も反論も受けずに載せたことは危険だという反応が主流であった。 だが、覆水盆に返らずとも言うのでここまでは仕方がないとしよう。 今、真実を解明するために必要なことはただ一つ、納得できる根拠だ。 朝鮮日報は後続報道を通じて子供の学籍簿の父親の名前が‘チェ・ドンウク’とされていると明らかにした。
ところで、子供の母親という人が自身がチェ総長の名前を盗用したと告白した。 誰でも窮した状況では真実を言えないことがある。 だが‘核心当事者’の話ならばそれなりに受け入れて、言論がそれが真実でないと確信するならばその主張を排斥する根拠をさらに提示しなければならない。
だが、朝鮮日報はイム氏の抗弁を‘返し技’素材に利用した。 11日付3つの面にわたりこの事件を扱って、イム氏の主張を "非常識" と表現した。 反対に "イム氏の手紙を通じて本紙の報道内容の相当部分が確認された" と書いた。 チェ総長との親密な縁を確認したという話だ。
‘ある法曹人’が 「飲み屋を営む女性が書いたと見るには、手紙の文章や論理が整然としており、専門家の指導を受けたようだ」という疑問を表したりもしたと伝えた。 インターネット記事には「息子の父親がチェ某氏 事実だ」という題名で、イム氏が疑惑を認めたかのように読ませることもした。 11日にも朝鮮日報インターネット版は "家族にも‘チェ総長が子供の父親’だと話した" というイム氏の手紙の内容をトップ記事のタイトルに付けた。
朝鮮日報は遺伝子検査についても我田引水式態度を見せた。 潔白ならば遺伝子検査を受けろと言うと、チェ総長がそのような用意があると応酬して、10日には "実現可能性 不透明" 、"法曹界‘チェ(総長)、対外宣伝効果大きいが実際には時間引き延ばし’" と書いた。
疑惑程度のことを事実と断定し、否認する当事者に‘違うと言うなら、あなたが立証して見ろ’として、口惜しさの訴えを逆攻の手段とするのが言論の正道ではない。 この渦中にインターネットでは‘チェ総長の子供’という写真が出回っている。
11日、朝鮮日報系列の総合編成チャネル<TV朝鮮>出演者は「子供の写真を見た」として「種を盗むことはできないという昔話が思い出されるほど、チェ総長に似ていた」と話しもした。
この新聞の代表論客であるキム・デジュン顧問は、2009年のコラムでタレント チャン・ジャヨン氏の死に朝鮮日報高位関係者が関わったという噂に対して、「立証されていない一部の‘主張’だけで多くの人を困難に陥れなかったのか、言論従事者自らが反省し今後そのような推定の罠に陥らないよう努力しなければならない」と書いた。 朝鮮日報自身がそのような反省をしていないようだ。
チェ・ウォンヒョン記者 circle@hani.co.kr
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"出る話は全て出た…物静かに見守る時"
‘婚外子疑惑’流れ 変化 触覚
チェ・ドンウク(54)検察総長の‘婚外子疑惑’と関連して、子供の母親だと自ら明らかにした女性の手紙(<ハンギョレ> 11日付2面)が公開され、検察内部では疑惑が大きく弱まったという評価が多い。 検察は‘今は落ち着いて見守るべき時’としつつも、事態がどこに流れるか神経を尖らせている。
検察は11日にも続いた<朝鮮日報>報道に一切対応しなかった。 訂正報道請求をしたので結果を待つという話だ。 検察関係者は「事実無根という意見を何度も明らかにしたし、関連法手続きが進行中であるので公式立場はない」と話した。 チェ総長は去る9日、朝鮮日報社に訂正報道を請求し、12日までに要求が受け入れられなければ言論仲裁委員会に調整を申請するか、これを飛び越えて訂正報道請求訴訟を裁判所に提起することができる。 検察は手続き通りにことを進める方針だ。
ソウルに勤めるある検事は 「(手紙全文と新聞報道を見て)常識的水準で判断した。 周辺も納得して安心している雰囲気だ。 皆が法律家で、集団知性がある」と話した。 子供の母親だと明らかにした女性の手紙が公開されたことにより状況がチェ総長に有利になるのではないかという見解だ。 別の検事は 「最近の一連の報道はいかなる証拠を出しても信じようとしなかった‘タジンヨ’(タブローに真実を要求します)を見るようだ。 ‘アカ’と名指しした後に‘アカではないことを証明せよ’でというやり方」と話した。
他の意見もある。 ある検事は 「一部職員は手紙が公開されたことで収まりかけた火種を掻き立てたという反応だったよ」と伝えた。 別の検事も「手紙の内容が朝鮮日報報道と一部一致する内容があったので‘報道が事実だったということではないのか’とむしろ疑いを持つという声もある」と話した。
だが‘今は物静かに見守る時’ということには大多数が同意した。 ある部長検事は「出る話は全て出たようで、検察もできることをすべてした。 今は結果を待たなければならない時」と話した。 また別の検事は「早急な真実糾明のために言論仲裁委調整を飛び越えて、直ちに訂正報道請求訴訟を提起する方が良さそうだ。 急げば今年中には1次結論が出るだろう」と見通した。
キム・ウォンチョル記者 wonchul@hani.co.kr