検察がチョン・ドゥファン元大統領の隠匿財産捜査に速度を上げている中、国家情報院はチョン元大統領の最側近であるチャン・セドン(張世東・76)氏が「スージー・キム(実名キム・オクプゥン)スパイ捏造事件」と関連して払わなければならない未納求償金6億3000万ウォン余をまだ還収せずにいることが明らかになった。
法務部は3日、チャン氏が国家に納めなければならない求償元利金14億5000万ウォンのうち、現在までに11億2000万ウォンを納付して元金3億3000万ウォンが未納になっており、利子を含む未納求償金の総額は6億3000万ウォン余りだと明らかにした。
1987年、噴出する民主化運動に対抗するため当時国家安全企画部(安全企画部:国家情報院の前身)部長だったチャン氏は、(スージー・キム氏の)夫ユン・テシク氏に香港で殺害されたスージー・キム氏を北の工作員にでっちあげ、ユン・テシク氏は反共闘士に美化してスパイ事件を発表した。 この時、キム氏の遺族たちはスパイの家族にされて 母親がショックで亡くなるなど深刻な精神的・物質的被害をこうむった。 これに対し2003年キム氏の遺族たちは国家とユン氏を相手に損害賠償請求訴訟を提起し「国家とユン氏は42億ウォンの慰謝料を支払え」との一部勝訴判決を受けた。 法務部はひとまず遺族に14億5000万ウォンの賠償金を支払った。 以後、法務部は安全企画部の後身である国家情報院に代わりチャン氏に14億5000万ウォンの求償金請求訴訟を起こし2008年勝訴した。求償金訴訟は公務員の不法行為に対して国家が損害賠償をした後、当該公務員から同額の金を受け取る手続きだ。
チャン氏もチョン元大統領同様、隠匿財産があるにも拘わらず求償金を未納しているという疑いを受けている。 チャン氏はチョン元大統領の退任後、秘密資金のうち30億ウォンを下賜金名目で受け取ったと報道された。 チャン氏は2002年の大統領選挙に出馬する際、中央選挙管理委員会に38億1046万ウォンの財産申告をしたが、求償金納付が確定した2008年以後は突然「財産がない」と主張して求償金を納めず居直り続けている。
還収の責任は訴訟代表である法務部と追徴の実務主体である国家情報院にあるが、両機関は積極的でない。 国家情報院は今後の追徴計画について「求償金還収のために努力中」と法務部を通じて明らかにした。 <ハンギョレ>はチャン氏の答弁を聞くために接触しようとしたが住所地が不明確で会うことができなかった。
コ・ナム記者 dokko@hani.co.kr