ナム・ジェジュン新任国家情報院長が最近数年間、軍人を相手にした講演で済州(チェジュ)4・3抗争を‘北の指令で起きた武装暴動’と罵倒したり、朴正熙 前大統領を‘民主化の一番の貢献者’と褒め称える発言などをしてきた事実が明らかになった。 彼は講演で左派清算を主張するなど、政治的中立を守らなければならない国家情報院長の見解としては適切でないという指摘が出ている。
国会情報委員会所属キム・ヒョン民主統合党議員は3日、ナム・ジェジュン院長が国家情報院長の就任以前である2008年から2012年まで軍人と学軍士官候補生(ROTC)を対象にした‘北韓の対南転覆戦略の実体と我々の姿勢’という題名の講演資料を公開した。
この資料で、ナム院長は米軍政と韓国軍人によって罪のない住民たちが虐殺された済州4・3に対して「北の指令で起きた武装暴動ないしは反乱」と規定した。 また「北韓は使えるすべての要素を総動員して武装蜂起を起こしたが、代表的なものが1948年韓国単独総選挙に反対するという名分で起こした済州4・3事件」と主張した。
ナム院長は先月18日、国会人事聴聞会で4・3を武装暴動だと講演してきたことに対してキム・ヒョン議員が問題と見なして、「南労働党済州支部総責キム・ダルサムなどについて話したことであり、その事件にかかわった民間人犠牲者を暴徒だと言ったことはない」と釈明に努めもした。
朴槿恵(パク・クネ)政府で初の国家情報院長になった彼は、朴正熙前大統領については美化に近い評価を吐き出した。 彼は「自由民主主義体制の観点で見れば、朴正熙大統領が独裁をしたと認めるにしても、17年間の軍事独裁を通じて飢えで死んでいった民族を飢えの貧困から解放した独裁者であった」と主張した。 彼は一歩進んで「韓国内の一部の偏向した見解を持った人は、口さえ開けば民主化を勲章のように叫びまくり、あたかも彼らの流血闘争だけで今日の民主化が成し遂げられたかのように言うが、地球上で飢えて死ぬほど貧しい国が民主化を成し遂げた例はない」として「朴正熙大統領こそ殺身成仁を通じて我が国を民主化させた一番の貢献者に違いない」と主張した。
最近の維新体制で死刑になった‘人民革命党再建委員会事件’の犠牲者に対する無罪判決、1975年に亡くなったチャン・ジュナ先生が他殺されたという民間調査委員会の調査結果が出てきているが、ナム院長は「歴史上、人を殺さなかった独裁者はいないが、朴前大統領は人を殺さなかった」と講演資料で明らかにしもした。 また、ナム院長は全国教職員労働組合(全教組)等を名指しして講演資料に「80年代に結成された全教組をはじめとする社会の一部の偏向した見解を持った人々が、組織的で体系的に学生たちを左偏向的に意識化した」と書いた。 続けて彼は 「再びこの土地に左派が足を踏入れられないよう、その土壌を根本的に改善し彼らを根元から抜かなければならない」という所信も示した。
キム・ヒョン議員は「4・3と関連して2003年に盧武鉉 当時大統領が国家次元の誤りを謝罪しもした。 ナム院長の講演資料を見れば、朴槿恵(パク・クネ)政府を守護するために国家権力を通じた人権弾圧をするのではと心配になる」と憂慮した。 ナム院長の講演内容について、国家情報院側は「ナム・ジェジュン院長は聴聞会でも全教組などの団体に左派勢力が浸透したことを指摘したことであって、団体自体を左派と名指ししたわけではないと明らかにした経緯がある」と話した。 ソン・ホジン記者 dmzsong@hani.co.kr