政府発表どおり墜落死だとすれば…
①高さ14.7mから墜落…出血あった筈
②頭部・臀部のように肩も骨折
③左側前頭骨に必ず損傷
維新独裁に対抗して民主化運動を行い、1975年京畿道(キョンギド)抱川(ポチョン)の薬師峰で遺体で発見されたチャン・ジュナ先生は‘頭を石のような物体で殴られ絶命した後に墜落した’という法医学者の遺骨精密鑑識結果が出た。 当時、朴正熙政府は単純墜落死だと発表したが、権力機関によって殺されたという疑いが絶えず、昨年遺骨移葬の時に頭蓋骨に直径6~7㎝の円形陥没骨折が初めて明らかになり真相究明要求が高まった。
精密鑑識をリードしたイ・ジョンビン(67)ソウル大医大名誉教授(法医学)は26日ソウル龍山区(ヨンサング)の白凡記念館大講堂で開かれた‘チャン・ジュナ先生遺骨精密鑑識結果国民報告大会’で「右耳後ろの頭蓋骨陥没は、物体による加撃に伴うものと見られ、頭を一撃されて絶命した後に墜落し、右臀部骨折を負ったと見られる」と話した。 イ教授は「頭を攻撃した物体は、頭皮損傷の部分が狭い点を考慮すれば、金槌よりは大きな石やアレイのような球形表面を持つ物体と見られる」と推定した。
チャン先生が亡くなった38年前には解剖検査をせずに医師が目視で調べ手で触れて見るだけだったが、今回はソウル大医大法医学科・整形外科・映像医学科の専門家たちが△頭蓋骨切開△コンピュータ断層(CT)撮影△遺伝子検査などで遺骨を精密分析した。
当時、政府は目撃者の陳述などを基に単純滑落死だと急いで結論を下したが、頭の他には特別な外傷がなかった点、登山装備もなしで絶壁から下山した点などのために、政治的他殺の疑いが提起されてきた。
チャン先生の遺骨ではないこともありうるという疑いと関連して、精密鑑識チームは長男のチャン・ホグォン(64)氏の実子鑑定のために15種類の遺伝子(DNA)検査をした結果「父子関係である確率が99.99%と出てきた」と明らかにした。
■墜落死とは見られない主な根拠
イ教授は当時の政府発表どおりチャン先生が足を踏みはずして14.7mの絶壁から落ちて亡くなったとは見られない主な根拠として、チャン先生の遺体に出血がなかった点を挙げた。 また、頭蓋骨と臀部の骨が墜落のために同時に骨折したとすれば、肩骨も損傷しなければならなかった筈なのに、肩部位には損傷が全くなかったという点も根拠に挙げた。 頭蓋骨陥没骨折が墜落で生じたとすれば、陥没部位の反対側である左側額部位の前頭骨眼窩が必ず損傷する筈なのに完全な点も挙げた。
イ教授は遺体に出血がなく遺体がきれいだったのは‘頭部加撃で絶命し、すでに血液循環が止まった状態だったために墜落した後にも出血がなかった’と説明した。 また丈夫で並大抵では折れない右側臀部の骨が6片に骨折して頭蓋骨が割れるほどに墜落したとすれば、肩部位が完全ではありえないと強調した。 彼は「墜落して岩などに擦れた傷がなく、肩骨が正常なことから類推して、チャン先生が薬師峰渓谷の地面上に滑って落ちたのではないと見られる」と話した。
当時チャン先生の遺体を調べたチョ・チョルグ博士の検案記録に見られる頭部の円形陥没骨折(直径2㎝)と、遺骨の頭蓋骨骨折(直径6~7㎝)の大きさが違う理由については、「小さい穴が開いた打撃地点周辺がどろどろしており頭皮で覆われた状態では手で区別できなかったため」とイ教授は推定した。
■遺骨精密鑑識をなぜ行なったか?
1975年8月に亡くなったチャン先生の遺骨が37年ぶりの昨年8月1日墓移葬過程で頭蓋骨陥没状態で世の中に姿を現し、権力機関によって他殺されたという疑いが強く提起された。
遺族たちは李明博大統領に真相の究明を要求したが、行政安全部は‘調査権限がなく真相究明が難しい’という結論を通知した。 これに対し遺族と市民社会団体、民主統合党などは‘チャン・ジュナ先生死因真相調査共同委員会’を設け、昨年12月5日先生の墓を2回目の改墓を行ない、イ教授チームに遺骨精密鑑識を依頼した。 イ教授は大韓法医学会会長を務めた国内法医学界の権威者だ。 共同委員会は国立科学捜査研究院と大韓法医学会などに精密鑑識に参加してほしいと要請したが拒絶されたとのことだ。
金大中・盧武鉉政府の時、疑問死真相究明委員会がチャン先生の疑問死を二度にわたり調査したが、国家情報院、機務司などが協力しなかった上に、当時遺族たちも遺骨鑑識に難色を示し‘真相究明不能’という結論を出した。
遺族であるチャン・ホグォン氏は「亡くなって38年経って科学的鑑識を行なった結果、殺人であることが明白に立証された。 次は実体的真実糾明要求に朴槿恵(パク・クネ)大統領が答える番」と話した。 ‘チャン・ジュナ先生暗殺疑惑糾明国民対策委員会’関係者は「遺骨を通じて見られる部分は全て検証されたと見る。 今度は政府が特別調査機構を設け情報機関が隠した資料の公開と関連者陳述など全面再調査に乗り出すことだけが残っている」と話した。
パク・ギョンマン記者 mania@hani.co.kr