42年ぶりの出会いだった。 3才の時に別れた父親は老いた姿でチョン・某氏の前に座った。「その間、家長として振舞いながら母親に仕えてさぞかし苦労したろう。」 父親はチョン氏に生活費に使えとして日本円100万円と一匁相当の金指輪を手渡した。
日帝強制占領期間に金を稼ぐために日本に渡っていった父親は解放後に文字が分からない韓国人強制徴用者の帰国支援に携わり故国に戻る時を逃し日本にそのまま留まった。 以後、在日本朝鮮人総連合会(総連)活動をした父親の消息を手紙で知ったチョン氏は45才になった1983年8月に日本の東京総連傘下信用組合協会事務室で当時67才の父親と再会した。
ところがチョン氏が帰国して数日後、突然自宅に国家安全企画部職員が押しかけて来た。 反国家団体の構成員である父親から統一事業を支援しろとの指示を受け工作資金を受け取ったとし、チョン氏を逮捕した。 安全企画部はチョン氏に国家保安法違反(スパイおよび金品授受など)の疑いを着せた。 チョン氏は翌年1審で懲役7年を宣告された。 無念に思ったチョン氏は最高裁まで行きスパイの汚名は濯いだが、金を受け取った事実はそのまま有罪が認められ1985年懲役2年執行猶予3年の確定判決を受けた。
チョン氏は27年ぶりの昨年7月、再審を請求した。 裁判所は再審を開始し、去る1日に無罪を宣告した。ソウル高裁刑事7部(裁判長 ユン・ソンウォン)は「チョン氏が受け取った金が工作資金としては少ない点も考慮すれば、受け取った金品が血縁の情に基づいたと見るに充分だ」と明らかにした。
イ・ギョンミ記者 kmlee@hani.co.kr