軍関係者 "契約金額1000億ウォン
国防長官・合同参謀議長など知らないはずがない
軍最高位層の決定なしには不可能"
キム・ビョングァン-キム・クァンジン 国防 陸士同期
当初パワーパック決定過程に疑惑
監査の結果、不公正検証明らかに
K2戦車(別称‘黒豹戦車’)事業はわが軍の核心戦力である次世代戦車を自らの手で開発するための陸軍の主要事業だった。 2002年から10年以内に完成するという目標で国内企業が国防部と協調し開発に着手したが、2011年に入り事業に支障が避けられないという展望が出始めた。 2012年4月には純粋国産化を一旦あきらめ、ドイツ産パワーパックを使う方向に事業を変更する決定を下した後、ドイツの軍需企業MTUと輸入契約を締結した。
ところがMTU側は契約締結を目前にした2012年1月、ドイツ駐在のわが国国防武官に‘武器仲介商を排除して直接取引すること’を提案してきた。 MTUとわが国政府の間で仲介した兵器仲介商を排除しようと言ったわけだ。
だが、このような合理的な提案はわが国政府によって黙殺された。 この事業を監査した監査院の資料によれば、「(契約締結の3ヶ月前)ドイツ駐在の国防武官が報告した1月18日付‘MTU役員面談内容’は国防部情報本部長に報告された。 これは1月19日に防衛事業庁の事業担当者に伝えられたが、釈然としない理由で黙殺された」と記されている。
重要なのはこのような情報を握りつぶしたのが誰かということだ。 国防部情報本部長は国防部内にある機務部隊である‘100部隊’とともに国防部長官と昼食を共にして毎日情報を報告する要職だ。 国防部情報本部長は合同参謀情報本部長も兼任している。 ある軍関係者は 「契約金額だけ1000億ウォンに及び、言論が注目している契約だった。 国防部情報本部長に直接報告された重要な契約条件が決定権者である国防部長官や事業主体である防衛事業庁長に伝えられなかったわけがない。 情報本部長は合同参謀情報本部長を兼任しており、合同参謀議長も知っていなければならない事案」と語った。
特に当時は李明博大統領が武器購入における兵器仲介商の手数料が20%にもなるという点を指摘し‘ブローカーを近づけないようにしろ’という指示を与えた直後だ。 大統領の指示に続き販売業者側でも仲介商の介入に関する不満を伝えたにも関わらず、これを無視することは軍最高位層の決定なしには不可能だというのが軍関係者の解釈だ。
兵器仲介商を排除せよとの李明博大統領の意向にもかかわらず、ドイツ産パワーパック契約にはSTXエンジンとUBMテクなど2ヶ所の仲介商が参加した。 当時キム・ビョングァン国防部長官候補者がUBMテクの顧問を務めていたが、キム候補者は兵器輸入契約の最終決定機構である国防部防衛事業推進委員会委員長であるキム・クァンジン国防部長官と陸軍士官学校同期(28期)だ。 導入総金額は6365万ユーロ(約900億ウォン)であり、この内 仲介商であるUBMテクは確認されただけで300万ユーロ(約35億ウォン)を手数料として取得した。
K2戦車パワーパック事業は国内開発からドイツ産輸入に方針が変わる過程で疑惑が提起され噂となった。 監査院は国防部がドイツ産パワーパックに事業変更を決めた1ヶ月後の2012年5月から防衛事業庁、国防科学研究所、陸軍本部などを相手に海外パワーパックのK2戦車適用決定過程に問題があったかに関する監査に電撃着手した。 そして同年11月事業を総括した軍将軍に1階級降格措置を注文するなど異例的に強力な監査結果を出した。
監査院は「K2に適用されたドイツ産パワーパックに対する検証が十分になされておらず、国内開発製品をドイツ製品より不利な条件で性能評価を実施するなど事業進行上の混乱を招いた点が明らかになった」と結論付けた。 主要監査結果を見れば、防衛事業庁は国産パワーパックに対しては重大な欠陥ではない事項を主要欠陥に分類した。 反対にドイツ産パワーパックは燃料消耗量基準を満足させられず規格を外れた過出力現象が明らかになったが、防衛事業庁はこれを重くは扱わなかった。 監査院は 「K2戦車適用パワーパックを国産とドイツ産をわけ隔てなく公正で客観的な手順を踏んで決めなおさなければならない」と防衛事業庁長に通知した。
ハ・オヨン記者 haha@hani.co.kr