キム "国民の知る権利のための報道とはいえ
人格は尊重すべき" 不満の声
29日キム・ヨンジュン国務総理候補者の電撃的辞退は一気に降り注がれた財産・兵役疑惑について国民が納得できるよう弁明することは難しいというキム候補者の判断に従ったものと見られる。 ‘初の総理候補者落馬’という政治的負担にもかかわらず、自ら辞退することが朴槿恵(パク・クネ)当選人の荷を減らすと見たようだ。
当初キム候補者側はセヌリ党に‘30日に関連疑惑を直接公式説明する’という意を伝達した。 だが、29日朝になって異常気流が感知された。 キム候補者は毎日していた朝の水泳も欠かし、夫人と一緒にどこかにでかけ、業務引継ぎ委員会には午後になって出勤した。 前日まで記者たちに「問題ない」として自信を見せていた態度も‘黙殺無返答’に変わった。
一時キム候補者は財産贈与や子供の兵役問題について弁明を準備して、不動産投機問題などについては対国民謝罪をする方案も検討していたという。 だが、財産の変動事項や不動産・税金関連書類などを準備する過程で悩みが深まったと見られる。 子供の名前で取得した不動産は事実上贈与だが、当時の税金納付の慣行上、現在の基準を充足しにくい可能性が高い。 キム候補者の財産総額自体も一般庶民が見るには莫大な規模だったものと推定される。 たとえキム候補者が種々弁明を出しても‘高位層の不動産投機’に悪い印象を持つ国民感情を克服することは困難と見たのだ。
聴聞会で二人の息子の兵役問題や就職問題、娘と婿の私生活まで一つ一つ公開されて検証を受けることに関する負担も大きかったようだ。 業務引継ぎ委員会関係者は「生涯尊敬を受けるエリート法曹人として生きてきたキム候補者としては、自身のために家族が困難な状況を体験することが非常に苦痛だっただろう」と話した。 キム候補者が辞退宣言の中で、言論に「相手方の人格を尊重して、根拠ある記事で批判する風土になることを希望する」と明らかにした部分もキム候補者の困惑を示す内容だ。 キム候補者は‘痛風’で兵役免除を受けた次男関連報道に対して強く残念に思ったという。
ポキッと折れるキム候補者の性格上、朴当選人に負担を与える状況が続くことには耐え難かったようだとの分析もある。 キム候補者は引継ぎ委員長職を継続しながら総理候補者として聴聞会準備を行い、長官たちに対する人事協議までしなければならない状況だった。 セヌリ党関係者は「直ちに長官など国務委員候補者に対する人事協議をしなければならないのに、自身に対する疑惑が連日あふれてきて朴当選人と顔を突き合わせるのが難しいと考えられたのだろう」と話した。
支援軍として期待していたセヌリ党の気流が否定的に流れた点も負担として作用した。 セヌリ党内部では‘問題が続けば朴槿恵当選人が庇い続けることは難しくなるのではないか’という悲観的展望が出始めたところだった。 党の核心役員は 「キム候補者が次第に国民に‘法曹既得権’として映っている」と憂慮した。
‘憲法を守護する司法府側最高首長を務めた要人が、行政府のNO.2になることは適切でない’という批判もキム候補者の‘決断’に影響を与えた可能性がある。 イ・ドンフプ憲法裁判所長候補者論難に続き、アン・チャンホ憲法裁判官までが行政府所属である検察総長候補者検証に同意した事実が公開され、憲法裁判官出身者に対する世論が肌寒くなったためだ。
ソク・ジンファン記者 soulfat@hani.co.kr