職場閉鎖撤回後、複数労組と不当労働行為問題で労使葛藤中の自動車部品会社マンドが、今度は通常賃金訴訟を提起した労働者に訴訟の取下げを事実上強要しており、論議がおきている。
25日、マンド労使の話を総合すれば、マンドで働く労働者562人は先月27日水原地裁平沢(ピョンテク)支所に「定期賞与金などが通常賃金に含まれず、賃金を正当に受取ることができなかった」として会社を相手に賃金請求訴訟を起こした。 これに対し会社は去る14日「労使ジャーナル」というタイトルの印刷物を通じて「通常賃金訴訟は極端な利己的形態であり、会社は座視しないだろう。 訴訟は直ちに取下げなければならない。 会社に害を及ぼす者には必ず厳正な人事原則を遵守する」と明らかにした。 事実上訴訟の取下げをしなければ人事上の不利益を与えると脅迫をしたわけだ。 24日にも同じような内容の印刷物を出した。 去る7月新しく作られたマンド労組も、ビラ・印刷物を通じて訴訟取下げ方法を宣伝しもした。 金属労組マンド支部関係者は「会社と新労組が強い圧迫をかけてきて、江原道(カンウォンド)の文幕(ムンマク)工場だけで100人余りが訴訟を取下げたようだ」と話した。
マンド社側のこのようなやり方に対し、労働人権実現のための労務士会、民主社会のための弁護士会、民主労総・金属労組・公共運輸労組法律院などの法律団体はこの日共同声明書を出して「マンド労働者の通常賃金訴訟は会社が不当利得を取った手当てを返還させるための正当な権利行使だ。 会社が訴訟取り下げを強要するのは司法尊重を傷つける行為であり刑事上の強要罪」と批判した。
マンド労働者が通常賃金訴訟に立ち上がったのは去る4月「賞与金と勤続手当は通常賃金に該当する」という最高裁判決が下されたためだ。 これまで政府は賞与金などは通常賃金に含まれないという行政解釈を下し、労働者が不利益を受けてきた。 通常賃金は延長・夜間・休日手当て、年次有給休暇手当てなど各種手当てを計算するために活用されるので、労働者の賃金に直接的な影響を及ぼす。 このような理由から、マンドだけでなく大宇造船海洋、アシアナ航空、韓国電力傘下の発電会社、韓国GMなどの数多くの労働者が訴訟を提起した状態だ。 特に現代車労使は、通常賃金代表訴訟で労働者側が勝訴すれば組合員全員に適用すると合意までしている。
また、マンドは諸事業場の“労組破壊”に介入した事実が露呈して認可が取消しになった労務法人<創造コンサルティング>出身の労務士を最近採用したことが確認された。 マンドは今月だけで5人の労務士を採用したが、このうち1人が創造コンサルティングに勤めていた。 マンド支部関係者は「職場閉鎖・雇用ガードマン投入・複数労組設立で、2300人もいた組合員が200人未満に減った。民主労組を瓦解させるための延長線と見える」と話した。 これに対しマンド関係者は「該当労務士がきわめて短い期間(4ヶ月)在職していた労務法人が社会的関心の対象になったという理由で採用するなというのは人権侵害であり就職妨害だ」と答えた。
キム・ソヨン記者 dandy@hani.co.kr