北韓が2010年の南北政府の実務接触過程で金剛山(クムガンサン)観光客の身辺安全を‘文書’で保障していたことが確認された。 これは北韓が金剛山観光客の身辺の安全を‘文書’で保障しないため金剛山観光を再開できないという政府説明とは矛盾する内容だ。
26日国会ホン・イクピョ議員(民主統合党)が公開した‘金剛山観光および開城(ケソン)地区観光再開のための南北実務接触合意書’草案を見れば、北韓は2010年2月開城で開かれた政府間実務接触で「観光に必要なすべての便宜と観光客の身辺安全を徹底的に保障することにした」 と文書で約束した。 この草案は北韓が作成し韓国代表団に提示したものだ。
今まで政府は北韓がこの実務接触で観光客の身辺安全を文書で保障しないため金剛山観光を再開できずにいると説明してきた。 しかし当時、北韓は韓国政府が要求した3大条件である真相究明、再発防止、身辺安全保障の内、少なくとも身辺安全保障は口頭ではなく文書で約束していたことが確認された。
これに先立ち2009年8月ヒョン・ジョンウン現代グループ会長との面談で金正日北韓国防委員長は「観光に必要なすべての便宜と観光客の身辺安全を徹底的に担保する」と口頭で約束した経緯がある。 当時、現代グループはこの口頭約束を根拠に金剛山観光事業を再開しようとした。 しかし国民の生命と安全は政府間の約束がなければならないという韓国政府の立場により2010年2月に南北政府の実務接触が開かれた。
北韓は当時まで現代グループとの契約を尊重していたことが明らかになった。 この文書を見れば、「北側の朝鮮アジア太平洋平和委員会と韓国の現代グループの間の観光事業と関連して締結した合意が円満に履行されるよう積極的に協力することにした」とされている。 しかしこの実務接触が決裂した後の2010年4月から北韓は金剛山地区の現代グループと観光公社などの韓国財産を没収・凍結し、現代グループの観光事業独占権を取り消し、金剛山国際観光特区法を新たに作って外国人を相手に観光事業に進出した。
この他に、この草案には北韓が金剛山観光を2010年4月1日から、開城観光を3月1日から再開しようと韓国に提案していたことが明らかになった。 また、北韓が金剛山と開城地区で南側人員がこの地区の法と秩序を守らなければならないと要求した事実も含まれている。
これに対してキム・ヒョンソク統一部スポークスマンは「当時北韓は2009年の金正日委員長とヒョン・ジョンウン会長との面談で約束した内容を根拠に金剛山観光を再開しようと提案した。 しかし、わが政府は政府間でこの問題を再協議しなければならないという立場だったのでこの草案は合意に至れなかった」と話した。 キム・キュウォン記者 che@hani.co.kr