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年間死者数3千人超えの韓国の移住労働者…雇用許可制を変えるべき【寄稿】

登録:2025-07-15 00:36 修正:2025-07-15 08:19
キム・ダルソン|牧師・抱川移住労働者センター代表
民主労総、金属労組、移住労組などの組合員が今年4月27日午前、ソウル鍾路区の普信閣前で行われた「2025移住労働者メーデー」で、移住労働者の強制追放、危険の移住化の中止などを求めている=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 近年、移住労働者の1年間の死者数は3千人を超えている。国家人権委員会が昨年12月に発表した「移住労働者の死の原因の分析および支援体系構築のための研究」によると、2022年の1年間に死亡した移住労働者の数は3340人。だが、その中でその死に関する最小限の情報が残っているものは6.4%に過ぎない。

 なぜこのように多くの人が死んでいっているのだろうか。彼らの労働条件と環境を詳しく見れば、そうなるだけの理由がある。まず、150万人の外国人労働者の中心だといえる非専門就業ビザ(E-9)の移住労働者を見ると、彼らは主に韓国人が忌避する3K業種に配されるため、長時間のきつい労働を強いられる。その中の農畜産漁業の労働者の場合、普通は一日11時間以上働かされており、休みは1カ月にせいぜい一日か二日ほど。寝る場所はしばしばビニールハウスの中に設置された古いコンテナやサンドイッチパネルの構造物で、夏はサウナ、冬は冷えたオンドルのようになる。40万人を超える未登録者ともなると、その劣悪さはさらに深刻だ。このように労働環境と居住環境がいずれもひどく劣悪なものだから、常夏の国からやって来た人々が数年過ごすうちに病気になったりケガをしたり、遂には死に至るということがたやすく起きる。

 彼らを苦しめているのは肉体的苦痛だけでなく精神的苦痛でもある。職場で移住労働者たちは悪態や暴言、ひどい人格的屈辱に苦しめられる。常に「早くしろ」と指示され、奴隷や機械の付属品のように扱われる自身を振り返って自尊心を失い、一部は直ちに帰郷したり死にたいと思ったりする。

 このような労働環境と条件を助長し悪化させる構造の中心には、雇用許可制がある。2004年に導入されたこの制度は、雇い主に移住労働者の雇用延長権限を全面的に与えることにより、事業主と移住労働者との関係を徹底した主従関係にしてしまう。また、この制度は事業所の変更を基本的に認めていない。この2つの要素こそ、移住労働者の基本権、人権、労働権の侵害の根本原因だ。この制度の下では、移住労働者は劣悪な労働条件と環境を改善するための問題提起や行動が難しい。同時に事業主は、その劣悪な労働環境と条件の改善を考えることすらほぼない。

 この制度を変えなければ、移住労働者の死は続かざるを得ない。解決策は明らかだ。第一は、雇い主と労働者の関係を水平的なものへと変えることであり、第二は、少なくとも韓国人の忌避する事業所というカテゴリー内では事業所を変更する自由を認めることだ。そうなれば、雇い主は良質の労働力を確保するために労働環境の改善に努めるだろうし、労働者は労働条件と環境改善のために立ち上がるだろう。

 2020年12月のカンボジア出身のソック・ヘンさんの死の直後に組織された寄宿舎対策委員会の活動は、示唆するところが大きい。真冬の違法な寄宿舎で凍死したソックさんの死を、慣行にならって単なる変死、個人的な病気による死として処理しようという動きがあったが、勇気ある移住労働者と市民が連帯してその慣行を打ち破り、労災認定を引き出したのだ。また、政府に寄宿舎の改善案を作らせた。その後、事業主が合法的な寄宿舎を用意したり、地方自治体が公共の寄宿舎を新築したりするなど、住居環境は変わりはじめた。雇用労働部は違法な寄宿舎を理由に転職を希望している労働者に、その転職を職権で認めている。これは雇用許可制に亀裂を生じさせる重要な変化だ。

 移住労働者がやって来るというのは、人間がやって来るということだ。単なる労働力がやって来るわけではない。今からでも外国人労働者が人間であることを認めて、法、制度、政策などを作り、実行すべきだ。移住労働者の命を尊いと考える社会は、先住民の命も尊いと考えるものだ。

//ハンギョレ新聞社

キム・ダルソン|牧師・抱川移住労働者センター代表 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1207925.html韓国語原文入力:2025-07-14 17:49
訳D.K

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