慶尚北道亀尾(クミ)で、猛暑の中で20代のベトナム国籍の労働者が死亡した。移住労働者だけが酷暑期の短縮勤務から排除されていた。労働団体は猛暑休息を一日も早く義務付けるよう求めた。
全国建設労組大邱(テグ)慶北建設支部は9日午前、大邱市寿城区(スソング)の大邱雇用労働庁前での記者会見で、「亀尾市山東邑(サンドンウプ)のアパート建設工事現場で、下請け企業に所属するベトナム国籍の日雇い労働者Aさん(23)が亡くなった今月7日、同現場では酷暑期短縮勤務が実施されていたが、移住労働者は通常勤務だった」と明らかにした。
同現場の普段の勤務時間は午前7時から午後5時までだが、酷暑期には事業主と結んだ団体協約に則って午前6時から午後1時までの短縮勤務が実施されていた。事故当日も韓国人労働者は全員が午後1時に退勤していたが、移住労働者のみからなるチームは午後4時まで働いていたことが確認された。
■言葉もあまり通じない移住労働者を死地に
大邱慶北建設支部のシム・ジェソン労働安全部長は、「外国人チームはチーム長の自律に任せられ、普段と同じように作業していた。休み時間は十分に保障されていたのか、休憩室は適切に使えたのかなどを全般的に調査すべきだ」とし、「言語もあまり通じないし、未登録移住労働者という不安定な雇用状態が利用されて移住労働者が危険な現場に投入されている」と指摘した。死亡したAさんも未登録移住労働者だったことが把握された。
同労組は、体感温度が33度以上になった際には2時間以内に20分の休息を義務付ける産業安全保健基準に関する規則の改正案を一日も早く施行すべきだと訴えた。大邱慶北建設支部のアン・ヨンス事務局長は、「猛暑はまだまだこれから。現場ではすでに人が死んでいっているのに、当局はいまだに議論するかどうかで足踏みしている。今日からでも直ちに実施すべきだ」と強調した。
■「政府は移住労働者保護対策を」
大邱慶北移住労働者人権・労働権実現のための連帯会議も声明で、「移住労働者は誰よりも危険な労働環境に追いやられている。彼らにはまともな休息も、言語的・制度的保護装置もない。私たちは毎年同じ季節、同じ惨事を見ている。政府が無視している間に、労働者はまたも死んでいっている。政府は猛暑期の移住労働者保護のための特段の対策を立てよ」と指摘した。
大邱雇用労働庁は、事故のあった事業所に作業中止命令を下すとともに、熱中症予防のための安全教育をきちんと実施したかなど、産業安全保健法と重大災害法に抵触していなかったかを調べている。警察は解剖によって正確な死因を明らかにする予定だ。
Aさんは今月7日午後4時40分ごろ、慶尚北道亀尾市山東邑のアパート建設工事現場の地下1階で遺体で発見された。発見時、Aさんの体温は40.2度だった。事故当日の亀尾の昼の最高気温は37度だった。