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若年層より「ブルーカラー・50代・進歩性向」が難民に最も包容的

登録:2018-08-29 07:03 修正:2018-08-29 16:50
成人700人を対象とした熟議型ウェブ調査の結果
回答の76.7%が「隔離など制限」圧倒的
外国人労働者との接触多いほど受容的
全般的な反対世論は「想像の恐怖」の可能性
「政府、不安感解消システム作るべき」
済州に入国したイエメン出身のチャマルさんの家族の臨時の住まいに、ハングルを勉強するための紙が貼られている=済州/カン・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社

 済州島(チェジュド)に500人余りのイエメン人が入国した後、「難民」は韓国社会で最も論争的な話題となった。だが、実際にどんな市民が「難民」論議のどの地点で人道主義的受け入れに共感したり反対するのか、具体的な世論の地形があらわれたことはなかった。ハンギョレが非営利公共調査ネットワーク「公共の窓」および世論調査機関タイムリサーチとともに、先月26~27日の2日間、全国成人男女700人を対象に熟議型ウェブ調査を実施した結果、「ブルーカラー・50代・進歩」が難民に対して最も包容的な立場を見せた。難民を隔離するなど制限的アプローチに賛成した回答者は76.7%で、包容的アプローチ(23.3%)に比べて圧倒的に多かった。

 回答者に自身の立場と反対の6種類の論理を提示した後に立場の変化を調べた調査では、世論地形自体は大きな変化が見られなかった。 制限的アプロ―チに賛成した回答者が74.1%と若干減り、包容的アプローチに賛成する回答者が25.5%と少し増えた。 ただし、細部を詳しく見ると「多少包容的」の立場が118人から137人と最も多く増え、非常に包容的/多少制限的/非常に制限的はそれぞれ少しずつ減った。また、全回答者700人中90人(12.8%)が熟議過程で立場の変化を見せた。「熟議」を経て回答者の考えがより穏健になる傾向を見せた。

難民受け入れに対する意見(単位:%)//ハンギョレ新聞社

 まず難民に最も包容的な立場を見せた階層は、ブルーカラー(生産・サービス職)、50代、進歩的性向の階層であるという結果があらわれた。学生では12%、主婦では23%だけが難民に対する包容的アプローチに共感した反面、生産・サービス職に従事する人々は30.5%が包容的態度を見せた。年齢帯では20代・30代(11.9%・17.6%)の若者層より50代(37%)の壮年層で、はるかに包容的アプローチを支持するという回答が多かった。ホワイトカラーや若者たちが人道主義的観点を見せるだろうという固定観念と相反する結果だ。タイムリサーチのパク・ヘソン代表は「他の職業群に比べて外国人労働者に接する機会の多い生産・サービス職従事者が、難民問題に包容的な態度を見せたものと見られる」と推定した。 難民に対する全般的な反対世論が実体と関係なく形成された可能性を示唆する部分だ。

 もう一つの特異点は、難民イシューとは別に「海外援助」の必要性には回答者の多くが共感したということだ。「我が国も社会経済的に困難な国に今よりもっと積極的な支援をすべきだという意見」に対しては、回答者の59.9%が共感を示した。特に最終回答で「多少制限的」と答えた人々も、71%が支援援助の必要性については共感を示した。

 回答者はどんな反対論理に最も揺れただろうか? 回答者は主に現実的で経済的な反対論理に接して立場を変えたことが明らかになった。 包容論理に共感を示した人々は「経済的移住民と北朝鮮離脱住民をすでに多数受け入れているのだから難民を受け入れるべき理由はない」という制限論理に最も大きく揺れた(56.8%)。次いで「他文化圏の難民の包容的な受け入れが社会統合を阻害する可能性がある」という論理に49.3%、「難民申請者などの流入が内国人の働き口を奪う可能性がある」という論理には47.6%と続いた。韓国外大のチョ・ジョンヒョン教授(法学)は「法的・社会的意味が全く異なる難民と経済的移住民が『国内に入ってきた外国人』として一緒にくくられていると見られる」と話した。

 難民受け入れに排他的な立場の回答者の考えを相対的に大きく揺さぶった包容論理は二種類あった。「難民申請者など外国人の流入が避けられない世界的流れであるだけに、外国人との共存のための制度的条件を作っていかなければならない」と主張する論理(29.6%)と「韓国も日帝強制占領期と朝鮮戦争などにより、かつて他の国に移住した難民の歴史がある」という論理(28.5%)だ。 難民の問題はもはや避け続けることのできない問題だという現実認識と、かつて韓国人も難民であったという感情的呼び掛けに心が揺れたわけだ。

 それに対し、「統計と人道主義」による説得は大部分80%以上の非共感を得るなど、ほとんど効果がなかった。 統計的数値を挙げて通念を反駁したり、人道主義的義務に訴える当為的な接近は、排他的回答者の考えをほとんど変えることができなかった。

 チョ・ジョンヒョン教授は「外国人が国内に流入すれば社会的葛藤が誘発され働き口を奪われるという恐怖は、現実的な恐怖というよりは『想像の恐怖』に基づくもの」として「政府は難民反対の世論に便乗するのでなく、率先して不安感を鎮める『システム』づくりに乗り出すべきだ」と指摘した。「公共の窓」のチェ・ジョンムク幹事は「単純な賛否の世論を越えて多元化された世論を考慮した葛藤の管理と政策推進が必要と見られる」と助言した。

 今回の調査は先月26~27日の2日間、全国満19才以上の成人男女700人を対象に「モバイル熟議型世論調査」方式で進められた。 調査対象は地域・年齢・性別有権者構成比により層化標本抽出した。 標本誤差は、95%の信頼水準で最大許容誤差が±3.7%ポイントだ。

 今回の熟議型ウェブ調査を行なった「公共の窓」は、リアルメーター、リサーチビュー、ウリリサーチ、リサーチDNA、チョウォンC&I、コリアスピークス、タイムリサーチ、韓国社会世論研究所、ピープルネットワークスリサーチ、ソドンポスト、世宗リサーチ、現代性研究所、地方自治データ研究所の13の世論調査およびデータ分析機関の集まった非営利公共調査ネットワークだ。 2016年「韓国社会の透明性を高め、個人と共同体が共にすることのできる方向の調査をすべきだ」という点で合意して「公共の窓」をスタートさせた。政府や企業の依頼は受けず、費用は自ら調達して公益性の高い調査を実施する。

イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/859503.html 韓国語原文入力:2018-08-28 01:24
訳A.K

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