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検察総長の娘の採用、韓国外交部「特恵なかった」と主張するが…高まる批判

登録:2025-04-01 08:41 修正:2025-04-01 09:57
受験資格は経済分野の修士学位以上 
再公告時はS氏の専攻へと変更
シム・ウジョン検察総長が3月11日午前、ソウル瑞草区の最高検察庁に出勤している/聯合ニュース

 外交部がシム・ウジョン検察総長の娘(S氏)を公務職(非公務員)の研究員として採用した際に、「採用再公告時には受験者に不利に変更してはならない」とする採用手続き法とその関連規定に違反していたと指摘する声が31日にあがった。外交部は連日「特恵はなかった」と反論しているが、特恵採用批判は逆に拡大しつつある。

 この日、共に民主党のハン・ジョンエ議員室が国民権益委員会から提出を受けた「行政機関内の非公務員(公務職)公正採用のための方策(公正採用ガイドライン)」を確認したところ、権益委は、再公告時に「採用公告の内容を受験者に不利に変更してはならない」と明示している。政府機関が民間人を採用する際に必ず従わなければならない「採用手続きの公正化に関する法律(採用手続き法)」にも同じ規定がある。

 外交部は今年1月、公務職研究員の採用を公告した際に、「経済分野の修士学位所持者」を受験資格として掲げていた。ところが1カ月後に再公告した際には、受験資格をS氏の専攻である「国際政治分野の修士学位所持者」へと変更した。外交部は「受験可能対象を広げる」ことを意図したものだったと説明するが、結果的に1回目の公告時に志願できた人は2度目の公告の際には受験資格さえ得られないようにしたうえで、S氏に有利な環境を作っていた。

 外交部は採用公告を変更した際、人事企画官室と書面で協議するにとどまっているが、これも権益委の公正採用ガイドラインに反する。公正採用ガイドラインには「やむを得ず公告内容を変更する場合は、採用関連の審議機関などの内部統制手続き」を経るよう明示されている。この「審議機関」とは内部の決裁ラインではなく、公正さが確保された独立機関を意味する。人事企画官室は人事の実務部署であり、審議・議決権を持つ機関だとはみなし難い。

 外交部がS氏の大学院での研究補助員活動と国連傘下機関でのインターンシップ期間をすべて「経歴」と認めたことについても、やはり批判の声があがっている。公正採用ガイドラインは公務職採用時の経歴算定について、4大保険への加入履歴や所得金額の証明などで金銭的補償を受けていたことが立証されている場合も、勤務期間や時間が不明であれば審議会で認定範囲を決めることとしている。

 S氏が提出した「経歴」にあるソウル大学国際学研究所の研究補助員は、指導教授の学術行事などを支援するものであり、報酬や決まった出退勤時間もない助教役だった。また、国連傘下機関でのインターンシップ時代はコロナ禍中だったため、かなりの期間を在宅勤務で過ごしていたという。外交部は「書類選考試験委員会が経歴を認めるかどうかを審議したうえで決定を下した」と前日に明かしているが、公正採用ガイドラインどおりならS氏の経歴がすべて認められるかは疑問が残る。

 一方、国会外交統一委員会に所属する民主党の議員はこの日、国会で記者会見を行い、S氏の採用は特恵ではないとする外交部の主張は「釈明ではなく詭弁(きべん)」だと批判した。

シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1189865.html韓国語原文入力:2025-03-31 17:52
訳D.K

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