韓国政府は、北朝鮮の特殊部隊派兵を通じて軍事協力を強化する朝ロ同盟について、「国際社会とともに断固として対処」し、「相応の措置を準備する」と明言した。北朝鮮とロシアの戦略的アプローチを可能にした「偏向的な価値外交」を省みる代わりに、再度の「強対強」の対決を予告したわけだ。「攻撃用(殺傷)兵器」の提供についても、状況を見守り「考慮可能だ」とする強硬な立場を隠さなかった。朝鮮半島に最大の安全保障危機をもたらすつもりでないのなら、現在のような圧力一辺倒の政策は放棄し、相手と絶えず対話を試みる慎重なアプローチに乗りださなければならない。
国家安保室は22日、国家安全保障会議(NSC)を開催し、「(北朝鮮のウクライナ戦争派兵は)韓国はもちろん、国際社会に対する重大な安全保障の脅威であり、国連安全保障理事会の決議違反」だとし、「北朝鮮とロシアの軍事的野合が続く場合、これを座視せず、国際社会とともに断固として対処していくことにした」と明らかにした。北朝鮮とロシアの軍事協力強化は、韓国にとってはあまりにも大きな「安全保障の脅威」であるため、積極的に対応する必要がある。しかし、国家安保室の高官が焦眉の急の関心事である攻撃用兵器の支援について、「韓国の安全保障に重大な脅威を与える状況」だとする前提を付けたとはいえ、「提供を考慮しうる」と公に言及したことは、適切とはいえない。戦争の長期化によって危機に瀕しているロシアを刺激し、危機をさらに高める可能性があるためだ。最終的に「兵器支援」を行う状況になったとしても、最終段階の最後の手段として残し、可能な限り言及を避けなければならない。最近の国内政治的な危機を免れるために、安全保障の危機を活用しようとしているのではないかと、その意図に疑問が生じる。
米国のジョー・バイデン政権は、これまでウクライナに602億ドル(約9兆1000億円)の軍事支援を投入したが、戦況は今も膠着状態にある。西側の様々な国が主力戦車やF16戦闘機まで提供したが、大きな影響を及ぼすことはできなかった。このような状況では、たとえ韓国が兵器を提供したとしても、北朝鮮とロシアの協力を抑制する効果的な対応手段にはなりにくい。むしろ、北朝鮮とロシアの安全保障協力をより深める「逆効果」しかもたらさない可能性もある。11月5日の米国大統領選挙の結果によって、米ロ関係が大きく変わる可能性もある点も考慮しなければならない。
朝ロ同盟の復活は、すでに韓国にとって回復するのが難しい「国家的災難」になった。すべての状況を念頭に置いた慎重な対ロシア・対北朝鮮アプローチが必要だ。特にロシアとの対話の糸口を決して切ってはならない。