ロシアが北朝鮮軍の派兵を明確に否定せず、「平壌(北朝鮮)との関係を発展させるのはわれわれの主権的権利」だと主張した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は21日、北朝鮮のロシア派兵について「決して座視しない」とし、「ロ朝軍事協力の進展に伴う段階別措置を積極的に取っていく」と述べた。
ロシア国営のタス通信の報道によると、クレムリン(ロシア大統領宮)のドミトリー・ペスコフ報道官は21日(現地時間)の記者会見で、「韓国がある情報を発表し、米国防総省はそのような主張を確認できないと発表している」とし、「平壌(ピョンヤン)との関係を発展させるのは、われわれの主権的権利だ」と主張した。ペスコフ報道官は10日の記者会見で、北朝鮮派兵説は「フェイクニュース」だと一蹴したが、この日は肯定も否定もしなかった。
ゲオルギー・ジノビエフ駐韓ロシア大使も「ロシアと北朝鮮の協力は国際法の枠組み内で行われており、大韓民国の安全保障上の利益に反しない」と強調した。駐韓ロシア大使館がフェイスブックのアカウントにて明らかにした。
こうした中、尹大統領は同日、北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長の要請で行われた電話会談で、「ロシアのウクライナ侵攻とロ朝の無謀な軍事的密着は、ルールに基づいた国際秩序を根底から揺るがし、朝鮮半島と世界平和を脅かしている」とし、「韓国政府はこれを決して座視しない」と述べたと、大統領室が明らかにした。尹大統領は、NATOに情報共有のための代表団の派遣▽韓国、ウクライナ、NATO間の安保協力活性化に乗り出す一方、戦場情報収集活用システム(BICES)への加入手続きが迅速に進められるよう望むと述べた。
大統領室は、ルッテ総長が「国際法と国連安全保障理事会の決議に反する派兵に深刻な懸念を表明し、NATOはロ朝軍事協力に対応するために韓国と積極的に協力する準備ができている」とし、韓国の代表団派遣も要請したと説明した。
ルッテ総長は18日に、北朝鮮の派兵について、「これまでの公式の立場は『確認できない』だが、この立場が変わる可能性もある」と述べている。大統領室の説明どおりなら、NATOが北朝鮮の派兵を「既成事実化」したことになる。大統領室高官はハンギョレに「対策について語るというのは、派兵を認めることを意味する」と語った。この日、ルッテ総長はソーシャルメディアのXへの投稿で、「北朝鮮がウクライナでロシアと共に戦うために派兵することは、重大な緊張の高まりを意味することになるだろう」と述べた。北朝鮮の派兵を認めたという韓国政府の説明とニュアンスに違いがある。