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南北統一の夢を蘇らせるためには【寄稿】

登録:2024-10-16 08:20 修正:2024-10-16 10:21
ジョン・フェッファー | 米外交政策フォーカス所長
イム・ジョンソク前「2018南北首脳会談準備委員会」委員長が先月19日夕方、光州西区の金大中コンベンションセンターで開かれた9・19平壌共同宣言6周年記念式典に出席し、記念演説をしている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 朝鮮半島統一の夢は80年来のものだ。ところが今年、朝鮮半島が再び一つになれるという概念はあまりにも弱まり、ホスピスに入るほどになった。

 このような夢の子孫たちには、統一の夢を集中治療室に押し込んでしまった責任がある。第3世代の指導者が統治する北側の子孫は、統一が現実的な目標であるかのように装う必要はないと判断している。「祖国統一三大憲章記念塔」や、鉄道連結のために必要な南北境界線付近の線路も撤去した。

 南側の子孫も矛盾した感情を併せ持っている。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の秘書室長を務めたある人物は、二つのコリアが「別々に暮らす」ことを主張し波紋を呼んだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は表面的には統一を目指している。だが、尹大統領のアプローチは単一国家の建設に向けて共に取り組むことではなく、北朝鮮政権の交代を通じて吸収統一を図ることを意味する。

 吸収統一のシナリオは目新しいものではない。二つのコリアは1950年代に軍事的手段で朝鮮半島を統一するために戦争を繰り広げた。1960年代に入ってからは理念的に大きく分かれたが、構造的にはかなり似ていた。経済水準は同程度であり、同様に独裁を経験した。文化的な面で南北はともに民族主義的であり、自足を追求した。

 韓国がグローバル化の道を選んでから、南北の歩みは分かれ始めた。韓国は経済を飛躍的に発展させ、独裁を終わらせるとともに、文化をさらに国際化した。北朝鮮は孤立を選び、核兵器の開発に取り組んだ。このように統一は現実的な目標というよりは、夢の領域に近づいていった。豊かで、民主的で、グローバルな国が、どうやって貧しく、独裁的で、孤立した国と統一できるだろうか。

 1990年代に金大中(キム・デジュン)元大統領が出した答えはシンプルだった。ゆっくり進めていけば良いという考えから、北朝鮮がある程度政治的自由化と経済発展をする過程で和解し、徐々に統一を目指していくものだ。一方、その後に政権に就いた保守的な指導者たちは、対立的なアプローチを取った。朴槿恵(パク・クネ)元大統領と尹大統領は、革新政権の北朝鮮政策は北に与えるばかりで融和的過ぎると批判した。彼らは小さなニンジンを見せつけながら、大きな鞭を振るった。

 韓国の革新と保守はいずれも間違っている。北朝鮮指導部は自分たちを慈善の対象や弱者として扱うことを決して喜ばない。北朝鮮は中国と利益になる関係を結んでおり、ロシアとの関係も強化している。単一民族という表現が象徴する韓国人の民族主義は政治・経済・文化的な違いを乗り越えられると考える人がいるかもしれない。しかし、南北の民族主義は異なる。北朝鮮の民族主義は生き残ること、すなわち自分たちと世界との対立を意味する。韓国の民族主義はグローバル化の経験を通じて緩和されたが、自分たちと世界との共存を意味する。

 1990年代の太陽政策は、冷戦終結、そして北朝鮮にこれ以上エネルギーを支援しないというロシアと中国の決定があったからこそ可能だった。エネルギー価格の急騰は、北朝鮮の農業と工業の崩壊につながった。当時、北朝鮮にとって統一は夢ではなく、韓国の財政的な後援者の役割と結びついた命綱だった。

 いまや北朝鮮は、最上の結果をもたらす取引をするために、中国とロシアの間を行き来する冷戦時代の戦略に舞い戻った。韓国の保守勢力は、ドイツのように政権交代と吸収統一を望んでいる。韓国の革新勢力は、北朝鮮が気を取り直して関係を回復するまでの間、別居することを望んでいる。北朝鮮はこのような条件の統一の夢を蘇らせるつもりなどない。

 ホスピス病棟から統一を救い出す唯一の方法は、新冷戦を終わらせるという、可能性の低いシナリオによってだろう。米国と中国が協力し、ロシアが北朝鮮製兵器の輸入を中断し、中国が北朝鮮経済を扶養しそな現実にならない限り、一つのコリアという長きにわたる夢は蘇ることはないだろう。

//ハンギョレ新聞社
ジョン・フェッファー | 米外交政策フォーカス所長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1162336.html韓国語原文入力: 2024-10-14 09:49
訳H.J

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