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[コラム]韓国総選挙で示された民意、どう尊重すべきか

登録:2024-04-23 09:17 修正:2024-04-24 11:39
韓国が議院内閣制だったなら、今回の選挙で政権が変わっていたはずだ。少なくとも「連立政権に準ずる協力」は必ず行わなければならない。次期首相の人選を事前に共に民主党と協議しなければならない。これこそまさに、尹錫悦大統領が総選挙で示された民意を尊重する道だ。国民は尹錫悦政権を審判したが、国民の生活は依然として苦しい。総選挙より総選挙後の方がはるかに重要な理由はここにある。 
 
ソン・ハニョン|政治部先任記者
尹錫悦大統領と共に民主党のイ・ジェミョン代表//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が国務会議で「国政の方向性は正しい」と述べたのは今月16日のことだった。韓国ギャラップはその日から18日までの3日間、定例世論調査を実施した。

 19日に発表された結果は、大統領の国政遂行を「支持する」とした人の割合が23%、「支持しない」が68%で、就任以降で最悪だった(中央選挙世論調査審議委員会のウェブサイト参照)。

 大統領の国政評価が急落したのは、総選挙の敗北そのもののせいというより、総選挙の敗北後に尹大統領が示した「共感能力の欠如」に国民が絶望したからだろう。

 韓国が議院内閣制だったなら、今回の選挙で政権が変わっていたはずだ。大統領室の参謀、首相、長官は総辞職するのが正しい。大統領が辞任できないのだから、代わりに責任を取るべきだ。

 尹大統領は当選5回のチョン・ジンソク議員を秘書室長に、当選2回の経歴を持つホン・チョルホ前議員を政務首席に任命した。幸いだ。大統領室の参謀は国政全般に対する理解とともに、高度な政務的判断や調整の能力を備えていなければならない。

 最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表と会うことも、非常に良い決定だ。直ちに成果が出なくても構わない。尹大統領とイ代表は頻繁に会うべきだ。

 最初は争う可能性もあるし、うわべだけの会話を交わすだけということもありうる。しかし、頻繁に会っているうちに成果は出るようになっている。政治とはそういうものだ。

 与党「国民の力」と民主党の代表が新たに選出されれば、大統領と与野党代表との会談を定例化するのもよいだろう。

 1988年の総選挙後、国会は少数与党体制となり、5者会談が頻繁に行われた。盧泰愚(ノ・テウ)大統領と民正党のユン・ギルチュン(パク・チュンギュ)代表委員、平民党の金大中(キム・デジュン)総裁、統一民主党の金泳三(キム・ヨンサム)総裁、新民主共和党のキム・ジョンピル総裁が出席した。5者会談は円滑な国会運営のための協議体だった。各政党の立場が5者会談で調整された。この時期、すべての法案は与野党の合意の下に処理された。全会一致が多かった。

 今回も同じだ。主権者である国民が108対192の圧倒的な「少数与党国会」を作ったのは、大統領と国会に国政を共同で導いていくよう命ずるものだ。与野党は協力せよという命令だ。

 最も望ましいのは、尹大統領が民主党に首相と長官職の半分を譲り、国政に対して共同で責任を取る大連立を実現することだ。大統領任期の1年短縮、4年重任制改憲で野党の協力を得ることも可能だと思う。

 それが難しいなら、少なくとも「連立政権に準ずる協力」は必ず行わなければならない。次期首相の人選を事前に民主党と協議しなければならない。これこそまさに、尹大統領が総選挙で示された民意を尊重する道だ。

 国民の力は、総選挙でなぜ惨敗したのかを省察すべきだ。第21代より議席数と得票率の差を縮めたとして「精神勝利」している場合ではない。

 党大会では非尹錫悦派の指導部を立てるべきだ。ハン・ドンフン前非常対策委員長のように突き進むふりをしたかと思えば、腰を90度折ってあいさつしてごまかすような代表を選出してはならない。大統領に言うべきことはきちんと言い、必要なら大統領の離党も要求できる、強力な代表を選出すべきだ。

 第21代国会の残りの期間で、野党が求める緊急民生対策と海兵隊C上等兵特検法を受け入れるべきだ。それが総選挙で示された民意を尊重する道だ。

 民主党は今回の総選挙を「民主党の圧勝」ではなく「尹錫悦政権の惨敗」と定義しなければならない。韓国ギャラップの世論調査で大統領の国政評価は急落したが、民主党の支持率は31%で国民の力の30%とほぼ同じだった。祖国革新党の支持率は14%に跳ね上がった。選挙区で民主党候補に票を投じた有権者のかなりの数が祖国革新党の支持者だということを認めなければならない。

 総選挙前の3月27日、民主党のキム・ミンソク常任政策本部長は、「両党の極限の対立を緩和する緩衝役が果たせるよう、交渉団体の構成要件を低くする」と公約した。約束を守るべきだ。

 候補の公認過程で起こった「非イ・ジェミョン派が損をし、親イ・ジェミョン派が得をする」問題を忘れてはならない。「公認革命」だと強弁してはならない。候補資格の問題で物議を醸したヤン・ムンソク、キム・ジュンヒョク、ヤン・ブナムの各当選者らに対する倫理監察を実施し、責任を問わなければならない。そうすることこそ、民主党が総選挙で示された民意を尊重する道だ。

 祖国革新党は、尹錫悦政権審判論に便乗して突出した政党ではなく、持続可能な政党であることを立証しなければならない。どのような価値のために結党した政党なのか、正確に明らかにしなければならない。それがまさに総選挙で示された民意を尊重する道だ。

 国民は尹錫悦政権を審判したが、国民の生活は依然として苦しい。選挙より国民の暮らしの方が大切だ。総選挙より総選挙後の方がはるかに重要な理由はここにある。

尹錫悦大統領が昨年10月31日、2024年度予算案および基金運用計画案について施政方針演説を行うため国会本会議場に入場し、共に民主党のイ・ジェミョン代表と握手している=共同取材写真//ハンギョレ新聞社
//ハンギョレ新聞社

ソン・ハニョン|政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1137713.html韓国語原文入力:2024-04-23 06:00
訳D.K

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