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[社説]また低下した韓国の出生率、まず政府の退行的認識を正すべき

登録:2024-03-01 06:25 修正:2024-03-01 09:51
昨年、合計特殊出生率が0.72に再び下がった。第4四半期には0.65まで落ちた。2月28日午後、ソウル市内のある産後養生院の新生児室でスタッフが新生児の世話をしている/聯合ニュース

 韓国で妊娠可能な年齢の女性(15~49歳)1人が妊娠可能期間中に産むと予想される子どもの数の平均を意味する合計特殊出生率が昨年0.72と発表され、2022年の0.78からまた下がった。2015年(1.24)以降、8年連続で下落を続けている。0.72は経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均(1.58、2021年)の半分にも及ばない数値だ。加盟国のうち1人を下回る国は韓国だけだ。昨年の出生児数は23万人余りで、2022年に比べて7.7%も減った。死亡者が出生児より12万2750人多かった。自然減少幅はますます大きくなるだろう。生産可能人口の急速な減少を防ぐためには、一日も早く底打ちからの反発を図らなければならない。

 韓国の合計特殊出生率の数値は、人口学者たちがこれ以上下がることが可能なのかと疑うほどなのに、さらなる低下を繰り返している点に事態の深刻性がある。昨年第4四半期には0.65に落ち、今年は年間でも0.6台に落ちる可能性が高い。昨年の婚姻件数が1.0%増えたとはいえ、コロナ禍の2020年に10.7%減少、2021年9.8%減少したことにともなうベース効果とみられ、大きな期待はできない。

 これまで、さまざまな制度を見直し、財政投入を増やし、多くの支援対策を実施してきた。にもかかわらず、婚姻と出産を避ける傾向が続き、さらに拡大しているのは、まだその原因が十分に解消されていないためだと言える。出産と育児に対する社会的支援を増やすだけでなく、住居、教育、雇用条件の改善等を通じて、若い世代がこれから生活の質が良くなるという期待を持てるよう積極的に努力しなければならない。

 ところが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の状況認識はむしろ退行的だ。週当たりの最大労働時間を延長しようとしたのは、これまでの多くの努力を水の泡にしかねない危険な試みだった。妊娠と出産が女性労働者にキャリア断絶などの損失につながる現実の改善など、ジェンダー平等を実現するための課題が山積しているのに、女性家族部の廃止を目指すことも時代錯誤的と言わざるを得ない。少子高齢社会委員会の副委員長を長官級から副首相級に引き上げる方向で検討すると明らかにしたが、女性家族部を長官のいない省庁にしてから、合計特殊出生率の下落に対する否定的な世論をなだめようとする、その場しのぎのパフォーマンスに過ぎない。一時的な低賃金労働力の調達に止まる可能性の高い移民政策で事態をごまかさず、より効率的な政策を用意するためにも、若者たちの声に耳を傾けなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1130276.html韓国語原文入力:2024-02-28 18:29
訳H.J

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