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[コラム]新たな「天下三分の計」における中国という難題

登録:2023-07-19 00:38 修正:2023-07-19 10:23
[ニュースルームから]
12日、リトアニアのビリニュスで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に参加した主要7カ国(G7)首脳、ウクライナ大統領、欧州連合(EU)代表が記者会見の際に記念写真を撮っている。左側から、英国のリシ・スナク首相、ドイツのオラフ・ショルツ首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、日本の岸田文雄首相、米国のジョー・バイデン大統領、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領、カナダのジャスティン・トルドー首相、イタリアのジョルジャ・メローニ首相、EUのシャルル・ミシェル欧州理事会議長、EUのウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長=ビリニュス/UPI・聯合ニュース

 3月あたりから5月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)を経て、今月11~12日の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議までの5カ月の時間は、「新冷戦の開始」という新たな情勢変化のもと、西側の対中戦略が具体化した「変曲点」として記憶される可能性が高い。この期間中、米国、欧州連合(EU)、G7、NATOは、「中国との関係づくり」という難題に対して「デリスキング」(リスク緩和)という解決法を引きだした。もちろん、この解決法が、ジョージ・ケナン(1904~2005)が1946年に「長文電報」(long telegram)で提示した「封じ込め政策」のような長い生命力を保って成功する大戦略になるかどうかは、現時点では分からない。

 冷戦終結後に国力を高めた中国が、米国に「関係の再確立」を要求し始めた時期は、習近平国家主席が中国の最高指導者の座に就いた頃(2012~2013年)と重なる。「中国夢」を叫ぶ習主席は、「太平洋は2つの大国を収容できるほど大きい」として、米国と中国が相互に「核心利益」を尊重しウィン・ウィンとなる「新型大国関係」を米国に要求した。自国の縄張りである台湾・東シナ海・南シナ海で中国が試みることに干渉するなという挑発的な宣言だった。米国はこれを覇権に対する挑戦と受けとめ、2015年に米日同盟を「地域同盟」から「グローバル同盟」に格上げした。それにより、国際政治における日本の地位は飛躍的に高まった。

 中国に対する米国の警戒と失望が初めて重みのある公式文書で表現されたのは、ドナルド・トランプ政権が2017年12月に出した「国家安全保障戦略」(NSS)だった。この文書で米国は、戦後、自国が維持してきた中国に対する「関与戦略」が失敗したことを認め、中国とロシアが「米国の価値や利害と相反する世界を作ろうとしている」と指摘した。当時のマイク・ポンペオ国務長官は2020年7月、ニクソン大統領記念図書館での演説で、中国に対する不信と憎悪の感情で満ちた演説を展開した。その後に登場したジョー・バイデン大統領の言葉は、以前より洗練されてはいたものの、指向するものはよりいっそう極端だった。彼は就任直後の2021年2月、ドイツのミュンヘンでの安全保障会議で、現在の人類は民主主義と権威主義の「変曲点」上にいると述べた。この言葉が事実であれば、韓国などの民主主義国家は一つに固まり、中国とロシアの挑戦に対抗して戦わざるをえない。

 不幸にも、この陰鬱な予言は1年後に的中した。2022年2月末、ロシアがウクライナを侵攻した。4カ月後の6月末、スペインのマドリードに集まったNATO首脳は、同盟の戦略文書である「戦略概念」を12年ぶりに修正し、ロシアを「最も深刻かつ直接的な『脅威』」、中国は「西側の利益、安全保障、価値に対する『挑戦』」と明記した。ロシアは「脅威」、中国は「挑戦」になった以上、西側は「2つの戦線」で2つの大国を同時に相手にせざるをえなくなった。

 だが、これは、賢明なアプローチなのだろうか。「2つの戦線」で中国とロシアに対抗する戦略の構図は回避すべきだという声を上げたのは、欧州だった。EUのウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長は3月30日、対中政策に関する演説で「中国とのデカップリング(関係断絶)は可能ではなく、欧州にとって利益にならない」としたうえで、「私たちはデリスキングに集中しなければならない」と述べた。米国はこのメッセージに積極的に反応した。その結果、G7首脳は5月、日本の広島で「デリスキング」を公式の対中戦略に引き上げた。今回、リトアニアのビリニュスで開かれたNATO首脳会談の結論も同様だ。NATOは中国に「建設的に関与は開かれている」として、ウクライナ戦争における建設的な役割も要求した。これをヘンリー・キッシンジャー式「天下三分の計」にたとえて言うならば、中国を中立地帯に縛っておき、ロシアという「脅威」を先に除去するよう戦略的方針を設定したのだ。

 西側の立場がこのように決まった以上、デリスキングはかなりの期間、時代のキーワードになるだろう。約70年前、国際情勢の変化を読めず分断を許した時、その時代のジャーナリストだった安在鴻(アン・ジェホン)は、「民共(民主陣営・共産陣営)ともにあまりに国際情勢に愚遠であり、事大主義的だった」と嘆いた。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領も、中国の猛反発を呼んだ4月のロイター通信のインタビューのような軽率な発言は自制し、国際社会の流れを見極めなければならない。中国との関係構築は、きわめて慎重でなければならない。

//ハンギョレ新聞社

キル・ユンヒョン|国際部長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1100543.html韓国語原文入力:2023-07-18 02:40
訳M.S

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