大韓医師協会(医協)は8日、看護法案と医療法改正案が国会本会議で可決されれば全面ストライキに入ることを決議した。看護法案は看護師の業務範囲を広げるとともに処遇を改善する内容を含んでおり、医療法改正案(別名「医師免許取り消し法」)は禁錮以上の刑を宣告された医師の免許を取り消すことを規定している。両法案の内容が、医師たちが自らの本分である患者の診療を集団的に拒否するほど不当なのかは疑問だ。
看護法案は、医療法に規定されている看護師の業務である看護と診療補助活動を、医療機関だけでなく地域社会でも行えるようにするもの。高齢化時代を迎えてますます需要が増えている「病院外での看護・介護サービス」を体系的に提供するためには、看護師の業務空間を家や福祉施設などの「医療機関の外」へと広げなければならないと指摘されたことから、看護法案は2021年に発議された。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領も大統領候補時代に法制定を約束している。昨年5月の与野党合意で国会保健福祉委員会を通過したが、与党「国民の力」が委員長を務めている法制司法委員会で議論が進まず、今年2月に野党「共に民主党」の主導で本会議に直接付された。
医協は、看護法が制定されれば看護師が別の職域として分離されるため、医療システムが崩壊する恐れがあると主張する。しかし、看護法体制に移行しても看護師は医師の指導の下で診療補助業務を行うことから、これはこじつけに近い。米国、英国、ドイツ、日本など多くの国でも看護師関連法が制定されている。放射線技師などをはじめとする12の保健医療関連の職域団体も、看護師による業務領域侵害の可能性を懸念して医協と歩調を合わせている。
医療法改正案は、性暴力などの凶悪な罪を犯した医師が堂々と診療を行っているという不合理な状況を正すために、2021年2月の与野党合意により国会保健福祉委員会を通過した。犯罪者から患者を保護するという観点から常識的なものだ。弁護士、公認会計士、弁理士などのその他の専門職は、禁錮以上の刑を受ければ資格が剥奪されたり、一定期間停止されたりする。
医協はこれまで、医薬分業や医師増員など医師の利益に反する政策が推進されると、毎度病院を閉鎖すると脅す行為を繰り返してきた。2021年に「医師免許取り消し法」が国会保健福祉委員会を通過した際には「新型コロナウイルスワクチン接種協力中止」にまで言及し、国民の怒りを買った。医協が今回も既得権を守るために国民の命と健康を人質にすれば、その存在理由が疑われざるをえないということを肝に銘じてほしい。