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韓国市民社会「政府、公共医療の強化を放棄…患者を人質にした医師らに屈した」

登録:2020-09-04 21:49 修正:2020-09-05 07:38
市民社会、医協・政府合意案に抗議 
公共医療政策、原点から再議論に 
「不十分な政策さえ密室で取り下げ」 
「政労使が合意した医師増員は座礁」 
政策決定時に市民参加の保障を要求 
患者団体は「再発防止策の用意を」
4日午後、がん患者たちがソウル市鍾路区のソウル大学病院前で記者会見を行い、患者の権利を無視した医師集団休診を糾弾している=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 政府・与党と大韓医師協会(医協)が、公共医療政策を原点から再議論することに合意したことに対し、市民社会団体と労働界が「公共医療強化の放棄宣言」だとして強く批判した。これらの団体は、医療政策の樹立に市民が参加できるようにするよう要求した。全国保健医療産業労働組合、参与連帯など177の市民社会団体は4日、大統領府の噴水広場で記者会見を行い、「政府が不十分な公共医療政策を出したが、それさえも医師団体と密室で協議して取り下げた」として「政府が医師らの“患者人質劇”に白旗投降して公共医療改革を放棄したものであり、市民の生命のために責務を尽くさなければならない政府と与党の無責任な行動は決して容認できない」と声を高めた。

 これらの団体は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって公共医療の必要性が高まったのに、政府は改革を進展させるどころか後退させた」と批判した。参与連帯のイ・チャンジン執行委員長は「新型コロナの状況から、国民は自分の命の責任を負う国公立病床など公共医療の必要性を切実に知ったが、政府は密室での合意で国民が委任した主権を破棄した」と指摘した。公共輸送労組医療連帯本部のヒョン・ジョンヒ本部長も「政府が集団休診に屈服するならば、今後は過剰診療・医療空白などの問題は一層大きくなるだろう」と指摘した。

 労働界は、政労使による合意事項だった「医師増員」と「公共医大設立」が与党と医協の対話だけで座礁したことを強く批判した。韓国労総はこの日「政労使合意を破棄した政府、集団利己主義の医協を糾弾する」という声明を出し「新型コロナに対応するために国家防疫システムおよび公共医療インフラの拡大のために人材を最大限に拡充し、国公立保健医療インフラの拡大を積極的に推進するという社会的合意が座礁した」とし、「さらに大きな問題は、医協が問題提起する政策に対して、政府が医療界と新しい協議体を通じて議論するという合意文の内容だ。自分たちの利益を貫徹するために患者を人質にして集団休診を進めた医協を、国民が信じることができようか」と糾弾した。

 患者団体など医療消費者は、医師らの集団休診が中止となったことに関しては安堵しながらも、再発防止策を設けるよう要求した。韓国がん患者権益協議会はこの日午後、ソウル市鍾路区(チョンノグ)のソウル大学病院前で記者会見を行い、「患者を人質にして、死にまで至らせた今回の事態に対する反省や真摯な謝罪は見当たらない」として「医療界が患者を人質に取って医療を拒否・中断するなど患者に被害が及ぼすことが二度とないよう、再発防止策を設け、医療法を改正せよ」と要求した。

 市民社会は保健医療政策の決定過程に市民が参加するよう保障されなければならないと口をそろえた。人道主義実践医師協議会のイ・ボラ共同代表は「これまで民間中心の医療システムを黙認・ほう助してきた政府が、新型コロナ危機のさなかに名分のないストライキを強行する医師たちを作ったも同然」として「今からでも政府は公共医療の放置を反省し、医療政策を決める過程に市民が参加することを保障しなければならない」と話した。

パク・ユンギョン、キム・ヤンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/960843.html韓国語原文入力:2020-09-04 20:30
訳J.S

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