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[社説]9・19合意を無視した北朝鮮の挑発、安全弁の破壊を望むのか

登録:2022-10-15 03:14 修正:2022-10-21 07:12
先月25日から今月9日まで戦術核運用部隊、長距離砲兵部隊、空軍飛行隊の訓練を行ったとして北朝鮮が10日に公開した写真/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮は、13日夜から14日未明にかけて戦闘機による威嚇飛行、弾道ミサイル発射、東海(トンヘ)と西海(ソヘ)における砲兵射撃と続く同時多発武力示威を展開したのに続き、14日午後にも砲兵射撃を行った。特に北朝鮮のロケット砲は、9・19軍事合意によって砲撃が禁止されている緩衝区域に落弾し、合意に露骨に違反している。軍事衝突の危険を防ぐとともに緊張を緩和するために2018年に南北が約束した9・19軍事合意が岐路に立たされており、非常に遺憾だ。

 北朝鮮の10機あまりの軍用機は13日午後10時30分ごろから14日午前0時20分ごろまで、韓国軍が有事に備えて北朝鮮上空に設定した戦術措置線(TAL)を越えて南下した。9・19合意に規定されている飛行禁止区域は侵犯していないものの、同区域のすぐ前まで威嚇飛行を行った。続いて北朝鮮は14日午前1時20分から5分間、西海上に130発あまりの砲兵射撃を行い、午前2時57分からも10分間、東海上に40発あまりの砲兵射撃を行った。砲弾が落ちた場所は韓国の領海ではなく北方限界線の北側の海だが、9・19合意にもとづく東海・西海の海上緩衝区域内だ。14日午後5時から北朝鮮が行った東海・西海上での砲兵射撃も同じだ。同日、北朝鮮は東海上に1発の短距離弾道ミサイル(SRBM)も発射した。

 これまで尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は、韓国が先に9・19合意を破棄することはないものの、北朝鮮が破った場合に破棄する可能性に言及してきた。尹錫悦大統領はこの日、北朝鮮のロケット砲射撃が9・19合意の「違反であることは確かだ」と述べた。大統領室が軍事合意を維持するかどうかは「北朝鮮の態度にかかっている」と述べたのは、北朝鮮が合意を尊重しない中、韓国がこれを維持することに懐疑的な見方を示したものとみることができる。「南北関係発展に関する法律」は、南北間で締結された合意書の全面破棄は不可能であり、別途に期限を定めて効力を停止することのみが可能だと規定している。

 9・19軍事合意は朝鮮半島の平和の「最後の安全弁」だ。北朝鮮が弾道ミサイルを相次いで発射し、戦術核運用部隊の訓練を公開するなどの挑発を続け、この安全弁すら危うくするのは非常に無責任だ。今のような状況で合意すらも破棄されれば、軍事境界線付近で南北が強対強の対峙へと突き進み、偶発的衝突が戦争へと拡大する危険性が大きく高まる。北朝鮮は核や通常戦力による威嚇で緊張を高めれば有利な局面を作り出せると誤解しているようだが、韓国内では北朝鮮に対する世論が悪化し、尹錫悦政権は韓米、韓米日訓練をはじめとする軍事対応の水位をさらに高めることになるだろう。北朝鮮はこれ以上の挑発を止めるべきであり、韓国政府も現実的な緊張緩和策を見出すためにさらに努力すべきだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1062749.html韓国語原文入力:2022-10-14 18:37
訳D.K

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