尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が来週の国連総会を機に、米国、日本の首脳とそれぞれ2国間会談を行うと大統領室が15日発表した。韓国政府の大言壮語にもかかわらず、韓日関係では強制動員被害者賠償問題の解決に向けた突破口を見出せておらず、また、韓米同盟の強化ばかりを掲げてきたものの米国の「インフレ抑制法」(IRA)で韓国製電気自動車(EV)が補助金支給対象から排除されるなど、外交面での難題が山積している。厳しい状況認識と重い責任感で、今回の首脳会談を準備しなければならないのもそのためだ。
18~24日に英国、米国、カナダを歴訪する尹大統領は、20日から米ニューヨークの国連総会に出席する間、韓米、韓日首脳会談を行うことで合意し、「日程を調整中」だという。今回の韓日首脳会談は、2019年12月以降2年9カ月ぶりに実現するものだ。大統領室は「今回会うのが望ましいと(両国が)快く合意した」とし、「強制動員などの懸案は韓国が自主的にプロセスを進め、日本とも内密に意見を交わしている」と述べた。だが「韓国が強制動員解決策を示すべき」という主張を貫いている日本が、謝罪と賠償などに進展した立場を示すかは不透明だ。
4カ月ぶりに開かれる韓米首脳会談でも、韓国製EVに対する補助金支給の差別について、どんな形であれ進展がなければ、韓米同盟に対する疑念も大きくならざるを得ない。米国は韓国側の懸念に理解をみせ、協議しようという原則的な立場を明らかにしたが、いざ米国内では11月の中間選挙を狙ってインフレ抑制法の効果を広報することに集中している。こんな状況だからこそ、韓国政府は断固かつ持続的に問題を提起しなければならない。同事案は、サプライチェーン再編問題を越え、包括的同盟としての韓米同盟の強化を自画自賛してきた韓国政府の外交基調に対する試験台といえる。
北朝鮮核問題についても、韓米はこれ以上手をこまねいていてはならない。尹錫悦政権は対北朝鮮ロードマップの「大胆な構想」を発表したが、北朝鮮は強く反発し、核先制攻撃を法制化するなど危険な道に進んでいる。韓米は実効性のある抑止力を用意するとともに、非核化の目標をあきらめず、対話再開に向けた長期的戦略も講じなければならない。
就任後、外交と国際経済で韓国の立場は悪化し続けているが、尹大統領は複雑な難題について具体的な成果を出すことができなかった。尹大統領は、今度こそ明確な戦略と具体的な解決策をまとめ、外交的成果を示さなければならない試験台に立たされていることを肝に銘じなければならない。