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[寄稿]同年代の男女が互いに嫌悪する時代、大韓民国は消滅中

登録:2022-08-05 01:53 修正:2022-08-05 08:59
[チョン・ミョンユンの幻想打破] 
チョン・ミョンユン|アジア歴史文化探求者
資料写真//ハンギョレ新聞社

 国連の人口統計によると、2023年にはインドが中国を抜いて世界最大の人口大国になるそうだ。国連の報告書の推定では、今年の中国の人口は14億2600万人、インドは14億1200万人だ。

 インド政府はすでに今年3月ごろから、自分たちが世界1位の人口大国になったと宣伝しているが、中国政府は台湾と香港の人口を加えればまだ自国の方がはるかに多いと主張している。2010~2020年の妊娠可能な女性1人当たりの出産率は、インドが2.2人、中国が1.7人で、差がかなりある。つまり、中国がいくら世界1位の人口大国を維持したくても、このすう勢では、その地位を維持できる期間は今後わずか数カ月に過ぎない。

 日本の日刊紙「日本経済新聞」は先月、「出生率0.81の袋小路」と題して、韓国の出生率の低さを取り上げた。わずか10~20年前までは日本の出生率の低さを報道し、まもなく日本は滅びるだろうとの期待混じりの予言をしていた韓国としては、隣家の火事を見ていて自分の家がすっかり焼け落ちているのが見えなかったわけだ。記事を読んでいるあいだ中、とても妙な気持ちだった。出産率は20~30年後の労働力人口と直結する。私たちからすると世界最大の人口大国というタイトルの何がそんなにありがたいのか、なぜインドと中国はあのような神経戦を繰り広げるのかと思うが、結局ある人が働き、彼らが税金を納めてはじめて、私たちが今享受している福祉は持続可能になる。私たちが誇る健康保険や国民年金も、労働人口が下支えしてくれなければ、何も考えずとも恩恵ばかりを享受できる金のなる木ではありえない。労働人口が減れば税収も減るのだから、国庫でその隙間を埋めることもできない。

 先日、ある広域市で行われた地方消滅討論会に参加した。ソウルを離れて地域の現場で聞く声は強烈だった。桜が咲く順に(南部の地域から順番に)大学は滅びるという話は前から聞いていたが、現場の地方大学の構成員たちが持つ危機感を生で感じることができた。新入生が入ってこないので、学科が統廃合されるだけでなく、教授たちが地域の各高校を回って入試担当教師に学生募集を頼むという話は、今や地域では常識に近い。首都圏が深刻さを感じていないだけだ。

 単純に算術的に考えてみよう。2021年生まれの人は26万500人だ。この傾向が続けば、20年間で人口は521万人増加するということになる。すでに今年から死者数が出生者数を上回り始めている。人口はすでに減りつつある。

 あり得ないことだが今からドラマチックに出生率が上がったとしても、彼らが労働力人口になるには少なくとも25年はかかる。このままでは私たちの福祉構造はまもなく滅びるということだ。ついに先進国になったと言って「韓国はすごい」と自負心を感じていられる期間も、あと何年も残っていない。国会予算政策処の発表によると、2006年以降の16年間に政府が少子化対策予算として支出してきた金額は200兆ウォン(約20兆4000億円)に迫る。最近は毎年40兆ウォン(約4兆800億円)を使っているのに、出生率は2017年の1.052人から2021年には0.81人に落ちている。

 どこから間違っていたのか検証が必要な時に来ており、国は現在の危機をより強く国民に知らせなければならない。韓国は気候問題より人口消滅の方が深刻かもしれない。

 年金改革を行うという新政権の宣言はせめてもの幸いだ。人口消滅の代案は用意できていないが、忍び寄るひとつの災厄に備えるという点では難しい決断をしたと思う。しかし、最近の入学年齢論争を見ても、説得の過程を省略して手榴弾のピンを抜いて陣中に放り投げるように政策を打ち出すスタイルなので、こんな実力で何ができるのかという心配の方が先に立つ。

 この稿を書いている途中、ある人がこんな話をした。

 「金を使って政策を作ってみたところで何の役にも立たない。最近は同年代の男女が互いに嫌悪する時代だ。とりあえず相手に出会わなければ結婚も出産もできないのに、互いに憎み合っているばかりだ」

 お先真っ暗である。何から手を付けるべきか、優先順位を決めなければならない。

//ハンギョレ新聞社

チョン・ミョンユン|アジア歴史文化探求者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1053566.html韓国語原文入力:2022-08-04 19:26
訳D.K

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