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[寄稿]8月の日本大使館前1人デモ再開にあたって

登録:2022-07-26 02:15 修正:2022-07-26 06:50
パク・トクチン|「市民の会独立」代表
「関東虐殺100周忌追悼事業推進委員会」が12日、韓国プレスセンターで発足式を行っている。推進委には1923韓日在日市民連帯、6・15共同宣言実践南側委員会、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯など40あまりの市民団体が参加している/聯合ニュース

 9月1日は関東大震災の朝鮮人虐殺から99年になる日だ。来年は100年となる。しかし、この歴史的悲劇についての大韓民国の記憶は恥ずかしい水準だ。

 1923年9月1日、日本の関東で大地震が発生した。大きな火災が起き、とてつもない数の人命が被害にあった。しかし、さらに残酷な災厄は自然災害後の朝鮮人虐殺だった。「朝鮮人が井戸に毒をまいた」、「朝鮮人が日本人を攻撃し婦女子を強姦している」などのフェイクニュースが広がった。すぐに日本の軍隊、警察、民間自警団による朝鮮人に対する無差別虐殺がはじまった。臨時政府の機関紙「独立新聞」は朝鮮人犠牲者の数を6661人と推定した。

 当時、東京YMCAの総務として罹災同胞慰問班を組織し、犠牲者の確認に取り組んだチェ・スンマン先生は『私の回顧録』に次のように書いている。「私が東京にいる時、毎年9月1日になると忘れずに追悼式を留学生と共に行った。1934年に帰国してみると、9月1日になっても新聞やどの団体もこの虐殺事件を語るところがなかった。1982年、つまり59年たってようやく追悼会を行ったり、新聞が騒ぎだしたりした。無関心というか。知らなかったからだろうか。このような大きな事件を知らずに過ごしていたのだとしたら、それより大きな過ちがどこにあろうか…」

 近ごろ一連の変化があった。アップルTV+が制作し、世界の注目を集めたドラマ「パチンコ」がこの世界史的虐殺事件に照明を当てた。韓国の市民社会諸団体が連帯した「関東虐殺100周忌追悼事業推進委員会」が発足した。推進委は真相究明特別法の制定運動を展開する予定だ。日本の市民団体も100周忌追悼事業を準備している。

 しかし、状況は厳しい。安倍晋三元首相の死後、日本の自民党は参院選で圧勝した。平和憲法の改正と「戦争のできる日本」の登場は予定されている手順だ。一方、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は安倍元首相の焼香所を訪れ、「アジアの繁栄と発展のために献身された…」と弔問録に記した。パク・チン外交部長官は強制徴用賠償問題の解決を日本に公言した。日本に対する低姿勢外交が尹政権の基調だ。

 韓日請求権協定の主役であるキム・ジョンピル元首相は、協定締結50周年の2015年、「日本は韓国を低く見ている。そのような認識から脱することができない人々だ」と吐露した。在日の歴史学者の姜徳相(カン・ドクサン)先生は、関東虐殺の根を1894年の東学農民軍虐殺に見出した。関東虐殺は突出した事件ではなかった。日本人にとっての東学農民軍虐殺の経験と記憶は、義兵鎮圧を経て1919年の3・1運動の鎮圧、1920年の庚申虐殺へとつながっている。そしてとうとう、大震災後の関東居住の朝鮮人の無差別虐殺が起きたのだ。暴力によって内面化された朝鮮人憎悪は、現在の日本国内の朝鮮学校に対する差別政策にまでつながっている。

 日帝強占の被害者として、私たちは加害者日本の厳しい歴史の省察を求める。過去の反省は善隣互恵の韓日関係構築の基本的前提であるからだ。そのような面で、過去の戦争犯罪を否定し、右傾化へと突き進む日本の姿勢は非常に遺憾だ。憎悪が暴力を生み、暴力が改めて憎悪を内面化する悪循環へと自らを追い込んでいる。尹政権の対日外交にも失望させられる。低姿勢外交は日本国内の極右勢力の立場を強化するだけだ。アジアの平和を脅かし、日本の自己破滅的右傾化を煽るだけだ。尹政権の対日外交政策の転換を求める。

 来年は関東虐殺から100年だ。「市民の会独立」は昨年に続き、「記憶」のための活動を展開する。99年前の日本の朝鮮人無差別虐殺を確認し、二度とこのような蛮行が起きないよう、日本と韓国が共に記憶しようということだ。事件の真相を明らかにし、無念の死を追悼しようということだ。私たちは、この歴史の記憶はアジアの平和の礎を築くものだと考える。これこそ、市民の会独立が来月、日本大使館前で1人デモを再開する理由だ。

//ハンギョレ新聞社

パク・トクチン|「市民の会独立」代表 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/1052323.html韓国語原文入力:2022-07-25 18:39
訳D.K

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