本文に移動

[社説]衝撃的な安倍元首相射殺、「政治テロ」容認できない

登録:2022-07-09 02:07 修正:2022-07-09 07:42
日本の安倍晋三元首相が8日、遊説中の奈良で銃撃を受けて倒れている。安倍元首相は病院に搬送されたが、同日午後死亡した=共同通信/AP・聯合ニュース

 日本の参議院選挙を控えた8日、街頭で演説していた日本の安倍晋三元首相が銃撃され死亡した。逮捕された容疑者の犯行動機はまだ明確には明らかになっていないが、政治家に対するテロはいかなる理由であろうと許されない。民主主義の根幹を揺るがす暴力行為に断固反対しつつ、衝撃に陥った日本社会に深い慰めの言葉を送る。

 安倍元首相は奈良県で遊説中、8日午前11時30分ごろ、後方から近づいてきた容疑者に首と心臓を銃撃されて倒れた。病院に移送された時にはすでに心肺停止状態だった安倍氏は、午後5時3分に死亡した。元海上自衛隊員であることが確認された容疑者は「安倍元首相に不満があって殺そうとしたが、政治信条に対する恨みではない」との趣旨を語ったと日本メディアは報じている。

 選挙遊説を中断して急きょ東京に戻った岸田文雄首相は「民主主義の根幹である選挙が行われている中で起きた卑劣な蛮行」と糾弾した。野党の政治家たちも「絶対に許せない政治テロであり蛮行」だと糾弾しつつ遊説を中断した。韓国政府が「ご遺族と日本国民に深い哀悼と慰労の意を表する」と語るなど、世界各国からも追悼メッセージが相次いだ。

 安倍元首相は二度、8年8カ月間にわたって政権を握っていた日本歴代最長の首相だ。辞任後も自民党内の最大派閥を率いて「院政」に例えられる強大な影響力を行使してきた。彼が在任期間中に靖国神社を何度も参拝し、日本の植民地支配と侵略歴史に対する反省を拒否し、韓国最高裁の下した日帝強占期強制動員労働者に対する賠償判決に反発して輸出規制措置を取るなど、韓日関係が最悪の状況に陥ることに中心的な役割を果たした人物であることは明らかだ。このような彼の政治理念と行動には同意しない。しかし、政治家を狙った銃撃暗殺は決していかなる問題も解決しえず、社会をさらなる対立へと追いやるものであるということを明確にしておく。

 今回の事件はそれ自体も大きな悲劇だが、韓日関係とアジア情勢にも長い影を落とす可能性がある。10日に予定されている日本の参議院選挙が「追悼選挙」として行われ、安倍元首相が率いてきた自民党内の強硬派の声がさらに強まりうるからだ。そうなった場合、平和憲法の核心である9条を変え、自衛隊の役割を明示する改憲や、防衛費の大幅増額など、日本の軍備強化の動力が強まることが懸念される。衝撃と悲しみに沈む日本社会が賢明にこの局面を乗り越えていくことを願う。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1050256.html韓国語原文入力:2022-07-08 19:29
訳D.K

関連記事