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[社説]大統領夫人の「執務室写真公開」をめぐる物議が残したもの

登録:2022-06-01 06:04 修正:2022-06-01 07:40
尹錫悦大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史が龍山の大統領室執務室でペットと一緒に時間を過ごす姿がソーシャルメディアを通じて29日に公開された=フェイスブック「ゴンヒ愛」よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 27日と28日、ソウル龍山(ヨンサン)の大統領執務室で撮影された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史の写真が、キム女史のファンクラブを通じて外部に公開され、波紋が広がった。大統領室の釈明通り、「『通勤する』大統領という新しい状況の中で起きた」単なるハプニングとみなせる事案ではない。

 キム女史のオンラインファンクラブ「ゴンヒ愛」は、ソーシャルメディアに7枚の写真を掲示した。3枚は27日、尹大統領夫妻が地方選挙の期日前投票を終えて大統領執務室に来たときに撮影されたもの。4枚は土曜日の28日、執務室内部と庁舎前の芝生で撮った尹大統領夫妻とペットの姿だ。

 国家の重要な保安区域である大統領執務室の公開に対する懸念の声が上がったことを受け、大統領室関係者は30日、「(尹大統領夫妻が)個人的に週末を過ごす時間を撮った写真だ」だとし、「プライバシーの領域で起きたことなので、特に問題になることはない」と主張した。しかし、3枚の写真が撮影された27日は休日ではなかった。勤務日に大統領の家族が、公式行事があるわけでもないのに、執務室に入って写真を撮ったことが果たして適切なのか、多くの人が疑問を呈するだろう。

 何よりもこれを大統領室の公式のものではなく、「ファンクラブ」を通じて公開したことは懸念を抱かせる。公私をきちんと区別していないと批判されても仕方がない状況だ。その上、報道官室はファンクラブのソーシャルメディアに写真が掲載された事実すら2日間把握できなかった。

 大統領室側は撮影者と公開の経緯について、最初は「大統領室の職員ではないようだ」と否定したものの、それから20分後には「キム女史のカメラで付属室の職員が撮り、キム女史がファンクラブに送ったようだ」と前言を撤回した。それと共に「大統領家族のプライベートな写真は大統領室で管理していない」と述べた。私邸や官邸ではなく、執務室という公的な空間で起きた事案の性格を無視した発言だ。大統領室の全職員のスマートフォンには無断撮影などを防止するセキュリティアプリのインストールが義務付けられているのに、なぜそのようなことが可能だったかという指摘には「大統領の配偶者のセキュリティ規定は大統領と同様だと聞いた」と説明したが、ならば規定を明確に示す必要があるだろう。

 ファンクラブ側が、バラク・オバマ元米大統領が官邸で家族と撮った写真を掲げたことも、今回の物議の焦点をぼかすためという指摘を免れ難い。官邸と執務室が一つの空間にあるホワイトハウスとは比較できないばかりでなく、今回のように私的な撮影と流出でもないためだ。尹大統領夫妻と大統領室は、今回の波紋を配偶者の公的地位について再確認する契機にしなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1045211.html韓国語原文入力: :2022-06-01 02:08
訳H.J

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