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[社説]「外国人憎悪」煽って票を得ようという韓国野党ユン候補の扇動政治

登録:2022-02-03 01:24 修正:2022-02-03 07:45
「外国人憎悪」助長との批判を浴びている国民の力のユン・ソクヨル候補の1月30日のフェイスブックへの投稿//ハンギョレ新聞社

 国民の力の大統領候補ユン・ソクヨル氏の「憎悪キャンペーン」が頂点に達しつつある。20代男性の反フェミニズム感情に便乗し、だしぬけに「女性家族部廃止」を公約したかと思えば、今度は「外国人の健康保険への加入の際の被扶養者登録要件の強化」を約束する過程で、社会の一部の外国人憎悪感情をあおる発言を行い、波紋を広げている。

 ユン候補は先月30日、フェイスブックに「国民が食事の支度をしたテーブルにスプーンだけをのせる外国人健康保険問題を解決する」とし「被扶養者登録要件の強化、名義盗用の防止など、国民が感じる不公正と虚脱感を解消する方策を綿密に検討する」と表明した。外国人健康保険加入者は国内居住6カ月以上との要件を満たさなければならないが、被扶養者は居住期間とは関係なしに恩恵を受けられるため、一部の外国人が「遠征診療」などの目的でシステムを悪用する恐れがあるというのだ。

 問題は、ユン候補が制度改善を約束したにとどまらず、健保の恩恵を受けた外国人の極端な例のみをあげ、特定の国籍を有する人に対する憎悪を露骨に助長したということだ。実際にユン候補が言及したのは「外国人で健康保険の支給を受けた上位10人中8人は中国人」、「最も多くの恩恵を受けた中国人は被扶養者資格で33億ウォン(約3億1400万円)の健保給与を受け取った」といった極端な例だ。誰が見ても、健康保険という「国民が食事の支度をしたテーブル」に外国人、特に中国人が「スプーンをのせる」という恥知らずな振る舞いで財政に負担をかけているとの主張と読み取れる。「外国人は、義務は負わず恩恵だけを受けており、内国人に渡るべき分を横取りしている」という典型的な右翼ポピュリズムの言いぐさだ。

 しかし昨年の国民健康保険公団の資料によると、2020年の1年間で外国人加入者が支払った保険料は1兆4915億ウォン(約1420億円)、彼らの治療などに支出された給与は9200億ウォン(約876億円)で、5715億ウォン(約544億円)の黒字を出している。同年の健康保険全体の赤字額は3531億ウォン(約336億円)だったから、彼ら外国人加入者の貢献がなかったら赤字幅は大幅に膨らんでいたという推定が可能だ。「スプーンをのせるだけ」というユン候補の主張とは異なり、内国人と外国人が共に食事の支度を整えているということだ。ユン候補と国民の力には、移住労働者への差別と反感を増大させる無責任な扇動政治をやめてもらいたい。人種・民族的少数集団に対する偏見と憎悪に立ち向かうことこそ、多文化社会に足を踏み入れた大韓民国の大統領候補の責務だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1029501.html韓国語原文入力:2022-02-02 18:38
訳D.K

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