本文に移動

[コラム]韓国の政党の主人が変わった

登録:2021-10-16 02:37 修正:2021-10-16 07:39
政党の大統領候補は、自分を選んだ党員と支持者に忠誠を尽くさなければならない。大統領に当選したら、最善を尽くしてその政党の理念を具現化しなければならない。党権は党員にあり、すべての権力は党員から生じるのだ。
共に民主党の大統領候補イ・ジェミョン氏が10日午後、ソウル松坡区のオリンピック公園SKハンドボール競技場で開かれたソウル地域合同演説会の終了後、支持者たちにあいさつしている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 「政党は現代民主主義の最高の発明品だ。しかし政治哲学者は政党を冷遇した。せいぜい『自由な社会ならどうしても受け入れなければならない必要悪』と考えた。必要悪ではなく、民主主義であればなくてはならない中心制度としての地位を政党が確立するまでには、非常に長い時間がかかった」(パク・サンフン『政党の発見』)

 韓国でも、まともな政党が出現するまでには非常に長い時間がかかった。政党より政治家が先だった。

 李承晩(イ・スンマン)大統領は、長期にわたり政権を維持するために、1951年に自由党を結成した。朴正熙(パク・チョンヒ)少将は1961年のクーデターで政権を握り、1963年に民主共和党を結成した。1980年の全斗煥(チョン・ドゥファン)新軍部も民主正義党を結成した。李承晩の自由党、朴正熙の共和党、全斗煥の民正党であった。

 独裁の対抗勢力として保守野党が出現した。1955年に民国党、チャン・ミョンやチョン・イルヒョンら興士団系、ヒョン・ソクホや金泳三(キム・ヨンサム)ら自由党離党派、無所属政治家が参加し、民主党を結成した。新民党、統一民主党、平和民主党、新政治国民会議、新千年民主党、開かれたウリ党、新政治民主連合、共に民主党などはその後身だ。

 保守野党も、大統領候補級の大物政治家が政党を作り、そして消えていった。金泳三総裁、金大中(キム・デジュン)総裁、金鍾泌(キム・ジョンピル)総裁は神的存在だった。国会議員を公認し、政治資金も与えた。彼らにぞろぞろと付き従った国会議員は、将棋で言えば歩であった。

 今は世の中が変わった。大統領候補が政党を作り、国会議員がぞろぞろついていく姿はもう見なくても済みそうだ。何が起こったのだろうか。

 政党の主人が変わったのだ。かつての政党の主人は総裁や代表だった。今は党員と支持者たちだ。国会議員候補の公認は党員と支持者が行う。政治資金も党員と支持者が与える。

 10月10日に終わった共に民主党の予備選挙の主役は、イ・ジェミョン候補やイ・ナギョン元首相ではない。216万人の選挙人団だ。145万人が投票に参加した。驚くべき数字だ。代議員1万5000人、権利党員70万人、国民・一般党員143万人(1次64万、2次49万、3次30万)などだ。

 11月5日に向けて奔走する「国民の力」の大統領候補予備選挙の主役は、ユン・ソクヨル前検察総長、ホン・ジュンピョ議員、ユ・スンミン元代表、ウォン・ヒリョン前済州道知事ではない。投票権を行使する責任党員と世論調査に回答する国民だ。

 国民の力の人々は、わずか2~3週間前までは大統領候補はユン・ソクヨル前総長だと固く信じていた。大邱(テグ)・慶尚北道と高年齢層の党員が、ホン・ジュンピョ議員は本選での競争力がないと考えていたからだ。

 ところが、誰が次期大統領としてふさわしいかを問う調査で、ホン・ジュンピョ議員がリードしはじめた。新規党員という変数も生じた。

 予備選では、責任党員の投票が50%反映される。国民の力の既存の責任党員は28万人だ。

 イ・ジュンソク代表が選ばれた6月の党大会の後に、26万人もの人が新たに入党した。20~40代が11万人で43%を占める。彼らが投票に積極的に参加すれば、ユン・ソクヨル前総長は不利になる。

 中立を守る国民の力の関係者は「民意がホン・ジュンピョ議員に傾き、若い党員が一気に入党してきたことから、大邱・慶尚北道と高年齢層の党員たちも悩みはじめたようだ」と述べた。同氏は、ホン・ジュンピョ議員が勝つ確率は50%だと述べた。行方を見守りたい。

 作男はすべからく主人に忠誠を尽くさなければならない。政党の大統領候補は、自分を選んだ党員と支持者に忠誠を尽くさなければならない。大統領に当選したら、最善を尽くしてその政党の理念を具現化しなければならない。

 共に民主党は「庶民と中産層の利害を代弁」する政党だ。イ・ジェミョン候補は庶民と中産層の利害を代弁しなければならない。予備選の選対を解体して本選の選対を新たに立ち上げなければならない。いかだで海を渡ることはできない。共に民主党は、3回の政権経験がある政治と政策の宝庫だ。

 イ・ジェミョン候補は受諾演説で「既得権の宴、汝矣島(ヨイド)政治を革新せよ」を「切迫した峻厳な国民の命令」と紹介した。誤った考えだ。イ候補は今、汝矣島政治を学ぶべきだ。

 11月5日に選ばれる国民の力の大統領候補は、国民の力の内部資源を総動員して本選の選対を立ち上げなければならない。国民の力には優秀な人材がかなり多い。

 ユン・ソクヨル前総長が候補になったからといって、法曹人で選挙対策委員会を組織すれば、国民の力の政権獲得は不可能になる。

 大韓民国の主権は国民にあり、すべての権力は国民から生じる。政党の党権は党員にあり、すべての権力は党員から生じる。

//ハンギョレ新聞社

ソン・ハニョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1014673.html韓国語原文入力:2021-10-11 16:17
訳D.K

関連記事