本文に移動

[社説]文大統領の「終戦宣言」提案、次期政権も継続を

登録:2021-09-23 07:08 修正:2021-09-23 07:47
文在寅大統領が21日、ニューヨークの国連本部で開かれた国連総会で基調演説をしている=ニューヨーク/聯合ニュース

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、南北の国連同時加入30周年となる今年、国連総会の基調演説を通じて「終戦宣言」を繰り返し提案した。文大統領は22日(韓国時間)の演説で「南北米の3者、または南北米中の4者が集まり、朝鮮半島での戦争が終了したことを共に宣言することを提案する」と述べ、南北朝鮮と周辺国が共に朝鮮半島の平和を定着させ、東北アジアの繁栄に寄与する「朝鮮半島モデル」を作ろうと語った。

 「朝鮮半島における『和解と協力』の新しい秩序を作る出発点」としての終戦宣言は、文大統領が任期を通じて推進してきた目標だ。文大統領が今回提案した3者または4者の終戦宣言は、2018年の4・27南北首脳会談で合意した「板門店宣言」で明示されたものだ。2019年2月にハノイでの朝米首脳会談が決裂した後、南北および朝米対話は事実上中断され、終戦宣言の目標も推進力を失った。

 文大統領が国連演説で終戦宣言を再び持ちだしたのは、任期の最後まで朝鮮半島平和プロセスの再稼動のための努力を止めないという意志を示し、終戦宣言の意義を国際社会にもう一度喚起しようとする意向を込めたものだとみられる。

 現実的には、文大統領の任期中に終戦宣言が成功する見通しは明るくない。朝米間の不信が高まり、米国と北朝鮮のどちらも関心を示していない。また、米中の「新冷戦」が激しくなり、北朝鮮核問題の交渉と朝鮮半島平和プロセス再開のための米中協力の可能性も低くなった。米国は、「中国牽制」において重要な役割をする在韓米軍駐留の名分を弱める終戦宣言に積極的ではない。米国のジョー・バイデン大統領はこの日、国連総会での基調演説で「朝鮮半島の完全な非核化を追求するために、真剣かつ持続的な外交を模索する」と述べはしたが、演説の焦点は始終一貫、「中国牽制」にあった。対北朝鮮外交を進展させようとする果敢な動きを見出すのは難しい。核活動を再開する動きを示し、ミサイル発射など武力の誇示を続けている北朝鮮の態度も、懸念されるものであることは同じだ。

 にもかかわらず、終戦宣言は極めて重要で意味ある目標だ。文在寅政権の任期中に実現できなければ、次期政権が引き継ぎ、持続的に推進しなければならない。政府は来年2月の北京冬季五輪などを通じて、成果を出すことに縛られることなく、終戦宣言と朝鮮半島平和プロセスのための礎を地道に築いていかなければならない。急変する国際情勢のなかで、朝鮮半島が行き過ぎた軍拡競争と軍事的緊張に陥らないよう、冷徹な外交が必要だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1012380.html韓国語原文入力:2021-09-22 18:41
訳M.S

関連記事