新型コロナウイルス大流行が始まって20カ月が過ぎた。パンデミックは経済的にも大きな衝撃を与えた危機的な事件だった。コロナが初めて世界に拡散し、経済全体がほぼ停止すると、危機を予測する様々な主張が噴出した。V字型の急速な回復を展望する人もいれば、逆にL字型の長期低迷を予想する人もいた。
以前にも、1997年のアジア通貨危機や2008年のグローバル金融危機、2011年の欧州財政危機のような世界的な危機は何度もあったが、今回の危機は性格が全く異なる。既存の危機はすべて企業や金融機関、あるいは政府財政の不良化といった経済内部の問題が原因だった。しかし、今回の危機は感染症という経済以外の要因によって発生した未曾有の事態であったため、参考にするに足る過去の事例がなかった。1世紀前、第1次世界大戦の終盤に発生したスペイン風邪の事例はあるものの、戦争の経済的衝撃が大きすぎたため、パンデミックの影響はほとんど注目を浴びなかった。
パンデミックが招いた経済危機は、これまでの危機とどのように異なるのか、今や整理してみる時間となった。多くの保健専門家は、コロナのような感染症が今後も頻発すると予想する。だからこうした整理はその時のためにも必要であり、また現在の正しい政策選択のためにも必要だ。
まず、パンデミックによる経済危機は、他の経済危機に比べてはるかに鋭いV字を描いた。最初は極端な封鎖措置により経済がほぼ停止状態に陥り、生産と雇用が急激に落ち込んだ。しかし封鎖は政治的にも経済的にも長くは続かなかった。医療システムが再整備されて移動制限が緩和されると、経済は予想より早い回復を見せた。コロナは変異を繰り返しながら予想より長く続いたものの、経済は予想より早く回復したのだ。
もちろん、雇用は生産や輸出に比べて回復がはるかに遅かった。経済的衝撃が部門によって非常に不均衡であることも特徴だ。あらゆる危機は不平等を深化させる傾向があるが、パンデミック危機はその程度がよりひどい。物理的接触による感染という感染症の特徴のため、対面業種と非対面業種の違いもはっきりしている。一方の危機が他方には機会となっている。したがって、パンデミック危機に対する政策処方は、他の経済危機に比べて選別的である必要がある。
他の危機との違いは金融市場でも見出される。他の経済危機と同様、パンデミックの直後も資金循環に障害が発生する流動性梗塞が現れたが、このような梗塞はわずか1、2カ月間で消えた。金融当局の迅速な対応も一役買ったが、何よりも不良企業整理のような経済的内傷治療の後遺症がほとんどなかったためだ。
最後に注目すべき重要な違いは、景気回復に向けた政府の対応の積極性だ。コロナで深刻な景気低迷の兆しが現れたことを受け、米国をはじめとする大半の先進国は大規模な景気刺激策を迅速かつ積極的に実施した。中央銀行は量的緩和を通じて、ある意味で必要以上に豊富な流動性を長期にわたって供給している。政府の財政拡大も前例のないほど果敢だった。2008年に金融危機が発生した時、米国は深刻な景気低迷にもかかわらず、必要なだけの財政拡大ができなかった。2011年の欧州危機の際には、欧州連合(EU)は財政拡大ではなくむしろ緊縮を選択した。量的緩和もしばらく二の足を踏んだ後にようやく実行された。いずれも回復を遅らせる原因となった。
かつてとは異なり、パンデミック危機に過剰なほどの刺激策を打ち出せたのは、当時より政策に余力があったからではない。そのような政策の政治的受容性が高かったからだ。普通の危機の際には危機誘発の主体を戒めるべきだという要求が強く、果敢な景気刺激策は議会の承認を得にくい。2008年の金融危機の際は、金融機関の救済に米共和党が強く反発し、2011年は、ギリシャのように財政を放漫に管理していた国を支援してはならないというドイツ人の感情が足を引っ張った。しかし、ウイルスは刺激策で利益を上げる対象ではなかったため、大規模な景気刺激策に皆が合意できたのだ。
過度の果敢な需要拡大は、ウイルスが誘発した一部の供給障害と結びついて今やインフレを招いており、それは予想以上に長引く兆しを示す。かつての経済危機の後にはデフレが心配だったが、今はそれが逆になっている。このようにパンデミック危機は多くの面で普通の経済危機とは異なる。そのため対応も変えなければならない。先進国だからといって正しい対応をしているわけでもない。創意ある対応が必要である。
パク・ポギョン|慶煕大学国際大学院教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )