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[社説]イエレン米財務長官の「金利引き上げ発言」に米証券市場急落、韓国も備えよ

登録:2021-05-05 20:49 修正:2021-05-06 07:38
ジャネット・イエレン米財務長官/聯合ニュース

 米国のジャネット・イエレン財務長官が、金利引き上げの必要性に言及し、米証券市場のナスダック指数が急落した。韓国でもインフレの警告音が鳴っている。政府と通貨当局は、インフレ管理に万全を期し、金利引き上げが前倒しされる可能性にあらかじめ備えなければならない。

 イエレン長官は4日(現地時間)、米国の時事雑誌「アトランティック」とのインタビューで「経済が過熱しないようするために金利を多少上げなければならないこともありうる」と明らかにした。これは、ジェローム・パウエル米中央銀行(連邦準備制度)議長が「テーパリング(量的緩和の縮小)は時期尚早」と話したことと対比されるという点で注目する必要がある。

 米国の証券市場はすぐさま敏感に反応した。ハイテク株中心のナスダック指数が2%近く急落した。ハイテク株は未来の期待収益が株価にあらかじめ反映されるという特性のために、金利の変化に特に敏感だ。波紋が大きくなると、イエレン長官は「(金利引き上げを)予測したり勧告したわけではない」として鎮火に出たが、彼女の内心はすでにあらわれたと見なければならないだろう。

 米連準内からテーパリングに対する意見の違いがあらわになったことも見逃してはならないだろう。サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁は、「経済展望は明るいが、依然として経済が危機を抜け出せていない状態であるので、まだ通貨政策の正常化について議論するのは時期尚早」と述べた。一方、ダラス連銀のロバート・カプラン総裁は「連準が経済支援にブレーキをかけられる対話を始めなければならない」と相反する立場を示した。

 韓国統計庁によれば、4月の消費者物価は前年比2.3%上がり、3年8カ月ぶりに最も高い上昇率を記録した。昨年の低い上昇率にともなう基底効果を考慮しても、一時デフレーションの心配をしたこととは隔世の感がある。

 問題はこれからだ。韓国政府は、当分は物価が上がるだろうが、年間では目標値の2%を超える可能性は低いと話す。だが、豊富な流動性に景気回復動向と消費増加傾向がかみ合わされば、もっと急騰することもありえる。来年の大統領選挙も変数となる。米国のウォール街で今年8月に早期のテーパリング信号が出てくる可能性がささやかれているのを考えると、油断は禁物だ。

 新型コロナ危機が続いている状況で、直ちに緩和的な通貨・財政政策基調を変えることは難しい。しかし、物価上昇と金利引き上げは国民生活に大きな負担を与える。特に、韓国は国内総生産(GDP)に対する家計負債の割合が昨年末で102.8%で、米国(78.8%)など先進国に比べて非常に高い。緊張を緩めてはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/994011.html韓国語原文入力:2021-05-05 18:44
訳J.S

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