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[社説]米国は「金持ち増税」するのに、韓国は「金持ち減税」とは

登録:2021-04-29 20:27 修正:2021-04-30 06:45
ジョー・バイデン米大統領が28日(現地時間)、ワシントンの米議事堂で初めての上・下院合同議会で演説をしている=ワシントン/AP・ニューシス

 ジョー・バイデン米大統領が、高所得者に焦点を合わせた「金持ち増税」を公式化した。韓国でも新型コロナによる財政赤字の拡大と両極化の深化を考慮する時、高所得者と大企業に対する金持ち増税の議論が必要な時点だ。ところが与党も野党も総合不動産税を減らすなどの「金持ち減税」にばかり関心を見せていて、やりきれない思いだ。

 バイデン大統領は28日(現地時間)、就任以後初めての上・下院合同演説で、1兆8千億ドル規模の「米国の家族のための計画」を発表した。教育・保育など社会的セーフティネットを拡充し、米国の未来競争力を確保するための長期投資計画だ。3~4歳のプリスクールと2年制のコミュニティカレッジを公教育に含めると約束した。最大12週の有給育児休職と病気休職を保障して、子ども保育家庭に対する3千ドル以上の直接税額控除も新設することにした。

 バイデン大統領は、金持ち増税を通じて財源を用意する意志を明確にした。所得上位1%の「スーパー金持ち」の連邦所得税率を、37%から39.6%に引き上げることにした。また、株式などの投資収益に賦課する資本利得税の税率を、収益が年100万ドル以上の投資家を対象に20%から39.6%に引き上げることにした。バイデン大統領は「財界と1%の最上位高額所得者が公正な役割を負担すべき時」と強調した。

 韓国でも新型コロナ危機克服のために財政支出を拡大し国家債務が増え、社会の二極化も広がった。国際通貨基金(IMF)などの国際機関は、新型コロナ対応と不平等緩和のための財源調達方案として金持ち増税を薦めている。共に民主党の何人かの議員と正義党が増税論を提起して、金持ち増税の性格の社会連帯特別税の新設を提案したが、進展していない。

 保守マスコミは「政府が財政を放漫に運用しておいて、今になって金持ち増税などのたわごと」と攻撃しているが、とんでもないこじつけだ。新型コロナ克服のための財政の積極的役割は、韓国のみならず世界の主要国の共通した選択だ。しかも、韓国は先進国より国家債務が少なく、増加幅も相対的に小さい方だ。

 政府と国会が増税議論を避けるのは、私たちが処した現実に合わないのはもちろん、世界的な流れにも反する。選挙に有利か不利かばかりを問い詰める近視眼的視角から一日も早く抜け出さなければならない。長期財政需要と不平等の深化に対する冷徹な熟慮に基づき、今からでも増税議論を真剣に始めることを望む。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/993251.html韓国語原文入力:2021-04-29 19:43
訳J.S

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