韓国で初の新型コロナウイルス感染者が確認されてから、20日でちょうど1年になる。その間、3回にわたって大きな流行が訪れ、今は第3波がピークを過ぎ、患者数は緩やかな減少傾向にある。韓国では、19日午前0時現在で累計7万3115人の感染が確認され、1283人が命を失った。外国に比べれば善戦しているものの、私たちは依然として長く暗いトンネルの中にいる。早くても今年11月に予想される集団免疫の形成までは、危険で厳しい時間に日々耐えてゆかねばならない。
この1年間、韓国の社会システムが何とか持ちこたえられたのは、多くの人々の献身と犠牲のおかげだ。戦場と変わらぬ防疫と治療の最前線を守り抜いた医療関係者たちは、世界が高く評価するK防疫のかけがえのない主役だ。生計の崖っぷちに立たされながらも、社会的距離措置(ソーシャル・ディスタンシング)に協力してきた小商工人や自営業者、前代未聞の事態にも可能なかぎり正確かつ合理的な判断で防疫政策を導いた当局の功労も大きい。
しかし、この1年は公共医療の脆弱性がそのままあらわになったこともまた事実だ。国内病床数の90%以上を占める民間病院は、新型コロナへの対応に手をこまねいている。感染者が急増すると、重症患者の病床はすぐに底をつき、入院を待機している間に亡くなるという残念な事態まで起こっている。欧州規模の感染者が出ていたら、韓国の医療システムはすでに崩壊していたはずだ。政府は、不十分ではあるが、公共医療強化計画を打ち出した。しかし医療界の反発を受け、推進は中断されたままとなっている。今年の公共病院の新築予算は「0ウォン」だ。特別な公共医療強化対策を急ぐべきだ。
ウイルスはいつか収まるだろうが、社会のあらゆる分野でますます深まりつつある二極化の問題には、後々まで足を引っ張られることになるだろう。新型コロナで雇用そのものが減っているのも問題だが、この1年間で職を失った人の割合は非正規労働者(36.8%)が正規労働者(4.2%)の9倍にのぼる。非対面プラットフォーム業者と一部大企業は最大の業績を連日記録しているが、中小企業と小商工人は明日の約束すらできない状況だ。プラットフォーム業者を支える配達労働者たちは、低賃金だけでなく過労死の危険にも無防備にさらされている。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日の年頭記者会見で「コロナ時代にさらに広がっている二極化、格差、不平等を解消する包容的な回復が重要だ」と述べた。問題の中心はよくとらえているが、原則論的な水準にとどまっているのが残念だ。与党の「利益共有制」を念頭に置いていたのならなおさらだ。企業の自発性とインセンティブに頼った対策は「善良な賃貸人」政策で限界が立証されたと思う。「コロナによる二極化」は、部分的な処方では解決が難しい。構造的な変化が原因だからだ。昨年「ポストコロナ」だの「ニューノーマル」だのといった言葉があふれた背景でもある。構造的な変化には全面的かつ体系的な対応が必要だ。分配を中心として社会を大きな枠組みで再構成する発想と、これを具現化する制度的な裏づけが必要不可欠だ。