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[キル・ユンヒョンの新冷戦韓日戦11]ハノイ会談前、再び韓日が衝突

登録:2020-12-05 08:03 修正:2021-01-28 08:49
文大統領が答えるまでの6秒ほどの長い沈黙が永遠のように感じられた。浅いため息をついた文大統領は不快感をあらわにしながら、3分45秒にわたる長い答弁を述べた。「日本政府はもう少し謙虚な立場を持つべきだと思う。三権分立により、司法府の判決に政府が関与することはできない」 
2019年の新年を迎え、記者会見や新年の辞、年頭所感を述べる文在寅大統領(左)、金正恩委員長(中央)、安倍晋三前首相(右)=大統領府写真記者団、聯合ニュース、日本政府インターネットテレビ画面キャプチャー//ハンギョレ新聞社

 韓日関係は韓国最高裁(大法院)の強制動員被害賠償判決と「海上自衛隊哨戒機威嚇飛行および韓国海軍レーダー照準」事件で急激に悪化していたが、これに気を使う人は多くないように思われた。2019年の新年早々から、後に2・28ハノイ会談と呼ばれる第2回朝米首脳会談への大きな歴史の車輪が再び動き始めたからだ。

 決断を下したのは、今回も北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長だった。金委員長は1月1日、新年に“際して”自分の祖父と父が眠っている錦繍山太陽宮殿永生ホールに献花し参拝した。1年前、平昌(ピョンチャン)冬季五輪開会式で感激の涙を流した90歳のキム・ヨンナム(最高人民会議常任委員長)と「ナンバーツー」のチェ・リョンヘ(国務委員会第1副院長)が見守った。この光景を伝えた「労働新聞」の1日付第3面の記事は、多事多難だった2018年を「社会主義祖国の栄光の70年の歴史に特記すべき民族史的事変によって誇らしく輝いた時間」だと評価し、この勢いに乗って2019年の新年を「希望に満ちて」始めようという抱負を伝えている。

 金正恩委員長はこの日、同時に発表した「新年の辞」で、首脳会談に向けた決心を明らかにした。彼は「我々の主導的かつ先制的な努力に対して米国が信頼できる措置を取り、相応の実践的行動で応えるならば、両国関係はより確実で画期的な措置を取っていく過程を通じて、素晴らしいスピードで前進することになるだろう」とし、「私は今後もいつでも米国大統領と向き合う準備ができている」と宣言した。

 ここで再び注目すべきは、金委員長が言及した「米国の相応の実践的行動」や「画期的な措置を取っていく過程」などの用語だ。この言葉には、北朝鮮がすでに取った「主導的かつ先制的な努力」(核実験禁止、豊渓里(プンゲリ)核実験場廃棄)に対して「米国が信頼性のある措置」(終戦宣言)を取り、さらに「様々な実践的行動」(制裁解除)に乗り出せば、北朝鮮も「より確実で画期的な措置」(寧辺核施設廃棄などの非核化措置)を通じて「一日も早く過去に決着をつけ、両国人民の志向と時代発展の要求に合わせて新たな関係樹立に向かっていく」という意味が込められていた。北朝鮮がこれまで主張してきた「行動対行動」の原則による「段階的解決策」を受け入れてほしいという意向を、再び米国に丁重に要請したのだ。加えて「米国が約束を守らずに一方的に何かを強要しようとして、共和国に対する制裁と圧迫に乗り出すならば、(中略)やむを得ず新たな道を模索せざるを得なくなる可能性もある」という警告も忘れなかった。

 「行動対行動」の原則に従って互いに信頼を築いていく段階的解決策。これは北朝鮮が見るに、70年余りにわたり対立してきた朝米が「かんばしくない過去」を清算して新たな関係を作っていける「唯一の解決策」だった。米国の大物ジャーナリストのボブ・ウッドワードが9月に出した著書『怒り(RAGE)』では、2018年9月6日にこのような構想をトランプ大統領に直接訴える金委員長の親書が確認できる。ウッドワードが、金委員長がトランプ大統領に送った「最も長くて詳細な手紙」と描写したこの親書で、北朝鮮は「我々は段階的方法により、例えば『核兵器機関』(Nuclear Weapon Institute・豊渓里核実験場)や『衛星発射地区』(Satellite Launch District・東倉里発射場)の完全な閉鎖、そして核物質生産施設(Nuclear Material Production Facility・寧辺核施設と推定)の不可逆的な公開など、一度に一回ずつ追加の意味がある措置を喜んで取る用意がある」と書いた。(金委員長がこの書簡を送ったのは、9月19日に発表された南北の「平壌共同宣言」より早い時期だった。北朝鮮がその前から寧辺核施設の廃棄を覚悟していたことを示している)

 しかし、米国は簡単には同意しなかった。金委員長の親書が伝えられた直後の10月7日に行われたマイク・ポンペオ米国務長官の4回目の訪朝でも、両者の距離は縮まらなかった。ポンペオは平壌会談を終えた直後の夕方7時、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会って「第2次首脳会談をなるべく早く開催することで意見をまとめた」と述べたが、成果はそれだけだった。ジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安保担当)は回顧録『トランプ大統領との453日(The Room Where It Happened)』で、この日の朝米会談について「金正恩は我々の経済制裁について長々と不平を並べ立ててきたが、自分の側からは新しいアイデアをほとんど出さなかった」という冷ややかな評価を下した。当時報じられた韓米日3カ国のマスコミ報道を集めてみると、米国は北朝鮮に対して依然として核関連施設の「申告」(北朝鮮が核施設を一斉に申告すれば、北朝鮮が固執する「行動対行動」の余地がなくなる)を要求し、北朝鮮は制裁解除を要求したことで、拮抗していたことが分かる。この会談の結果を伝える「労働新聞」の8日付第1面記事を見ても、合意されたのは「第2次朝米首脳会談準備のための実務交渉を早期に開催する」ということだけだった。

 その後、岩のようにびくともしない米国を揺さぶるための北朝鮮の凄絶な認定闘争が始まる。北朝鮮はポンペオが提案したスティーブン・ビーガン米国務省対北朝鮮政策特別代表とチェ・ソンヒ北朝鮮外務次官の間で行われる予定だったウィーン実務会談を中止し、11月8日に予定されていたキム・ヨンチョル北朝鮮労働党副委員長の訪米日程を一方的に取り消した。このようなムードを示すように、12月12日付の朝日新聞は複数の米国政府当局者の話として、米国が「2回目の首脳会談を新年早々に開こうと打診しているが、北朝鮮からの返信がない」と報じた。そして北朝鮮は16日、外務省米国研究所政策研究室長の談話を通じて、米国が「制裁圧迫と人権騒動の度数を前例にないほど高めることで、我々が核を放棄するだろうと打算したのならば、大きな誤算だ」と述べ、公に不満をぶつけた。

 この過程で、対話の手綱を手放さなかったビーガン特別代表などの国務省の「ハト派」の内部闘争が続いていたものとみられる。ついに、「非常に小さな変化」が現れた。北朝鮮が公開談話で不満をぶちまけた3日後の19日午後、仁川空港を通じて入国したビーガンは、集まった記者たちにぎこちなく笑って軽い目礼をし、背広のポケットから紙を取り出した。「来週ワシントンに戻った後、ポンペオ国務長官の指示に従って民間・宗教団体の対北朝鮮人道支援に対する政策を再検討する」。さらに21日にはイ・ドフン朝鮮半島平和交渉本部長と会い、南北鉄道・道路の連結と現代化事業の着工式を予定通り行うことに同意した。翌日の22日には、トランプ政権内の代表的なタカ派であるマイク・ペンス副大統領が、事前に準備していた北朝鮮の人権弾圧を批判する演説を取り消したという米「ABC」の報道が続いた。予告されていた「京義線、東海線鉄道・道路連結着工式」は、26日に板門駅で開かれた。午前9時57分、韓国のキム・ヒョンミ国土部長官と、北朝鮮のリ・ソングォン祖国平和統一委員会委員長ら来賓が入場すると、北朝鮮吹奏楽団が演奏する「民族大団結歌」が会場に響き渡った。キム・ユンヒョク北朝鮮鉄道省次官は「統一の汽笛が力強く鳴り響くその日のために覚悟を新たにし、威風と逆風に揺れることなくまっすぐに進まなければならない時」と述べた。

 再び始まった情勢の変化を、日本は不安と期待が入り混じった目で眺めるしかなかった。日本の安倍晋三首相は1月4日の年頭記者会見で「北東アジアをめぐる情勢は昨年6月の米朝首脳会談の時よりさらに歴史的な転換点に入っている。北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題を解決するため、機会を逃さず果敢に行動する」と述べた。

 しかし、その前に解決しなければならない問題があった。日本政府は9日、韓国最高裁判決に対する日本の是正要求を無視する韓国政府に圧力をかけるため、1965年に締結した「韓日請求権協定」3条1項に基づく紛争解決手続きである「外交協議」を要請した。そのような意味で、翌日の10日に行われた文在寅(ムン・ジェイン)大統領の年頭記者会見は韓日関係の未来を占う分岐点だった。この会見で文大統領は「近いうちに開催される第2次朝米首脳会談と金正恩委員長のソウル答礼訪問は、朝鮮半島の平和を確固たるものにするもう一つの転換点になるだろう」という展望を述べながら、韓日の懸案については一切言及しなかった。耐えかねたNHKの高野洋記者が、この日質問した21人の記者のうち18番目にマイクを握った。実は文大統領が指名したのは、その後ろにいたローラ・ビーカー記者(BBC)だった。

 「昨日日本が韓国側に協議を要請した。韓国政府は具体的な対応策を考えているのか」

 文大統領が答えるまでの6秒ほどの長い沈黙が永遠のように感じられた。浅いため息をついた文大統領は不快感をあらわにしながら、3分45秒にわたる長い答弁を述べた。「これは韓国政府が作り出した問題ではない。過去の不幸な長い歴史のために作られた問題だ。私は日本政府がそれに対してもう少し謙虚な立場を持つべきだと思う。(中略)三権分立により、司法府の判決に政府が関与することはできない。(中略)そうした問題を(日本の政治家が)政治的攻防の材料にし、未来志向的関係まで損ねようとするのは非常に望ましくない」。日本は文字どおり“驚愕”した。(続)

//ハンギョレ新聞社

キル・ユンヒョン|統一外交チーム長。大学で政治外交学を専攻。駆け出し記者時代から強制動員の被害問題と韓日関係に関心を持ち、多くの記事を書いてきた。2013年秋から2017年春までハンギョレ東京特派員を務め、安倍政権が推進してきた様々な政策を間近で探った。韓国語著書に『私は朝鮮人カミカゼだ』、『安倍とは何者か』、『26日間の光復』など、訳書に『真実: 私は「捏造記者」ではない」(植村隆著)、『安倍三代』(青木理著)がある。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/972363.html韓国語原文入力:2020-12-02 02:41
訳C.M

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