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[コラム]米中新冷戦と「天下三分の計」

登録:2020-10-30 06:43 修正:2020-10-31 06:27

 来週の米大統領選挙で誰が勝利しても変わらないことは、米中の熾烈な対立がこれからも長く続くという事実だ。中国の浮上を阻止しない限り覇権を維持できないという主張が米国内で超党的な共感を形成している。

 米国は中国に対し優位を保っている半導体や金融、軍事力を活用し、同盟国を糾合して「反中国同盟」を作ろうとする試みを続けるだろう。しかし、新冷戦的な思考に基づいて「反中国同盟」作りに乗り出した場合、その試みが成功する可能性はあまり高くない。ソ連と違って全世界経済と深く絡んでいる中国は、経済を“武器”であり“盾”として活用している。米国は中国との経済関係を断絶する「脱同調化(デカップリング)」を主張するが、米国内でもウォールストリートの金融資本と多くの企業が高収益を出す中国との取引を中断しようとしない。韓国国内ではこうした現実に背を向け、早くも「勝ち馬に乗らなければならない」として、米国に味方し、中国と対立しようと声を上げる人が少なくない。非現実的であるだけではなく、無責任な主張だ。

 安保と規範においては「米国と共に」歩むが、経済的には中国と行動をともにしなければならないため、米中の間で悩む国はどこだろうか。韓国と思われがちだが、実は世界の主要国が似たような状況に直面している。米国と軍事協力関係にある国は約60カ国、中国が第1位の貿易国は約110カ国だ。米国の最も主要な同盟であり、日米同盟を最優先に考える日本も、中国との関係を断つことを求める米国の要求には距離を置く。今月、米国が日本に「アジア版NATO」を念頭に置いた「クアッドプラス」構想と、中国を排除した先端情報通信生態系を作ろうという「クリーンネットワーク」戦略を提案したが、日本は難色を示した。

 世界の多くの国々は今後数十年間、覇権を手放そうとしない米国と挑戦する中国との対立の中で、難しい選択を続けるしかない。大国が引き起こす波に飲み込まれないためには、同じような状況の国々が力を合わせなければならない。韓国や日本、ドイツとフランスをはじめとする欧州諸国、シンガポールをはじめとする東南アジア諸国が、米中のどちらかを選ばず同時の道を模索しようとしている。韓国はこれらの国と戦略的疎通と協力を強化しつつ、米中の圧迫に振り回されない「第3地帯」を作ろうとする外交的努力を積極的に進めなければならない。

 米中のどちらでもない「第3地帯」の国が増えれば、新冷戦の緊張が和らぎ、平和と安定の可能性も高まる。「第3地帯」の国々は米中に対抗するのではなく、協力できる部分は協力しながらも、強大国の強圧的な行為や人権侵害、傲慢な外交には「ノー」ということで、国際規範と人権原則を守っていくことができる。米中の覇権争いの間に緩衝地帯を形成する「天下三分の計」だ。

 朝鮮半島平和プロセスを進展させる環境づくりのためにも、このような努力が必要だ。これまでは米中両国ともに非核化と終戦体制の朝鮮半島情勢が自国に有利だと確信できず、日本は妨害勢力となり、欧州諸国も懐疑的だった。米中の対立が悪化し、中国では北朝鮮の核問題解決のために米国と協力する必要がないという強硬論が高まっている。「第3地帯」を通じて韓国の立場を強化し、国際社会の支持を広げてこそ、朝鮮半島の非核化と平和に対する米中協力の動力も改めて作ることができる。

 韓日の戦略的協力の必要性に対する共感が形成されれば、深い泥沼に陥っている韓日関係も新しい道を見出せる。30日は、韓国最高裁(大法院)が日本企業に強制動員被害者への賠償を命じる判決を言い渡してから2年になる日だ。韓日の指導者が政治的意志を込めて交渉してこそ、日本企業が被害者に謝罪し、被害者が実質的な補償を受ける解決策を見出すことができる。日本の菅義偉首相は条件なしに韓中日首脳会議に出席し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と対話しなければならない。

 韓国は米中の間で「戦略的曖昧性」を掲げたが、米国に引っ張られながら、中国に対しても明確な原則がない曖昧な外交を展開することにとどまった。韓国は外交目標と戦略を明確に立て、「悩みを共有する国家」とともに立体的に構図を作っていく外交を展開しなければならない。世界第9位(2020年OECD展望値)の経済力や民主的システム、K-POPとK防疫のソフトパワーを無駄にしないようにしよう。依然として明清交代期と旧韓末の「弱小国朝鮮」の枠組みで外交をしているのではないか、振り返ってみなければならない。

//ハンギョレ新聞社
パク・ミンヒ論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/967771.html韓国語原文入力:2020-10-30 02:40
訳H.J

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