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[社説]4年間隠蔽されてきた検事の死、徹底的に捜査すべき

登録:2020-10-17 02:28 修正:2020-10-17 09:48
2016年に上司のいじめに耐え切れず自殺した故キム・ホンヨン検事の事件について、検察捜査審議委は加害者である当時の部長検事を暴行容疑で起訴するよう勧告した。キム検事の父親が16日午後、捜査審議委が開かれる瑞草洞の最高検察庁に入っていく様子/聯合ニュース

 上司のいじめに耐え切れず、33歳で自殺した故キム・ホンヨン検事の事件について、検察捜査審議委員会は16日、加害者のキム・デヒョン部長検事(当時)を暴行の疑いで起訴すべきとの意見を出した。2016年に事件が発生すると、検察はキム部長検事が2年間にわたり常習的に暴言と暴行を行っていた事実を確認したものの、捜査は行わず解任する形で事件をうやむやにした。昨年末に大韓弁護士協会が告発したものの、その後も捜査が遅々として進まなかったため、遺族が捜査審議委の召集を申請していた。あまりにも常識的な結論に達するまでに4年以上の歳月がかかった。

 この事件は、検察のゆがんだ組織文化と、身内をかばうことの弊害の根深さを如実に示している。検事同一体の原則は廃止されたものの、一貫した検察権行使という美名の下、依然として上命下服の硬直した組織文化が検察を支配している。これによって組織に対する忠誠を強要し、検事の自律性は抑えてきた。いわゆる「やり手」の検事が特殊・公安などの要職を独占する一方、大半の検事は過重な業務を遂行しつつも誇りを見いだしにくかったのが現実だ。キム・ホンヨン検事も2015年の任官以来、休暇や病気休暇を一度も使えず、頻繁な残業や休日出勤で過労を訴えていたというのが遺族の説明だ。これに幹部の暴力的言動すら容認される慣行が加わったことで、自殺という悲劇を招いたのだ。

 一言で言えば、膿みに膿んだ病弊が明らかになったものだが、検察は事件を覆い隠すことにとらわれていた。キム検事の父親はこの日、「事件解決が遅れたことについては、非常に残念な気持ちがある」と語った。息子が所属していた組職、それも犯罪を捜査する組職である検察が、息子の無念の死を放置するのを見て、どれほど絶望したか見当もつかない。にもかかわらず、検察の身内をかばう慣行には変化が見られない。釜山地検は8日、夜中に路上で女性の肩を触り、700メートルほど追いかけ、現行犯で逮捕された部長検事を嫌疑なしとした。「謝罪するためについていった」という言い訳をそのまま認めたとは、あきれるばかりだ。

 このような旧態を繰り返しているから、国民は検察不信をぬぐえずにいるのだ。検察は、自らの過ちを真っ先に断罪する身を切る努力をすべきだ。遅きに失したとはいえ、キム・ホンヨン検事事件を一点の曇りなく捜査することこそ、その第一歩となるだろう。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/966110.html韓国語原文入力:2020-10-16 18:33
訳D.K

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