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[寄稿]致命的物質取り除いても許容値の最大2万倍…汚染水海洋放出は国際法違反

登録:2020-08-03 06:10 修正:2020-08-04 07:24
[独グリーンピース専門家、国際環境弁護士共同寄稿] 
日本、潜在的被害国との協議が必須 
韓国、手段を総動員して阻止すべき
グリーンピース・ドイツのショーン・バーニー核問題シニアスペシャリスト//ハンギョレ新聞社

 この30年間、原子力発電所の廃棄物と国際環境紛争を扱ってきた専門家の立場からして、福島原発の汚染水を海洋放出しようとする日本政府の動きは、国連海洋法条約(UNCLOS)などの関連国際法の規定とその義務に違反するものだ。放射性汚染水を海洋放出した際、東海(日本海)に及ぼす影響を考慮し、韓国政府は直ちに国際法的対応を進めなければならない。

 汚染水の中の放射性核種(原子核あるいは原子の種類)は、海洋生物と人にとって致命的だ。グリーンピースが2019年1月に発表した報告書によると、日本政府が「処理」したと主張する約120万トンの汚染水には、依然としてストロンチウム90など人体に遺伝子的変異とがんを誘発する物質が許容値基準で少なくとも100~2万倍以上含まれている。東京電力が汚染水浄化のために導入した多核種除去設備(ALPS)で処理した水で測定した数値だ。

 汚染水の海洋放出が及ぼすこのような不可逆的な被害からして、韓国が国際法に則って対応するのは正当である。グリーンピースは、国際海事機関(IMO)を通じて福島原発の汚染水問題を公論化してきた。国際海事機関は事前予防原則によって、人や環境に深刻な被害を与える可能性があれば、科学的な因果関係の究明が難しくても措置を取ることを勧告している。国際原子力機関(IAEA)も、周辺環境に放射能を増加させる決定についてはその行為に対して異議を唱えられないほどの正当性の確保が必要だと明示している。汚染水を長期保管する代案が存在していることから、汚染水の海洋放出を進める日本政府の決定は正当ではない。

ダンカン・カリー国際環境弁護士//ハンギョレ新聞社

 国連海洋法条約の条項によると、環境影響評価を実施し、その結果が日本の管轄統制権を超えた場合、潜在的な被害国と事前協議を通じて必ず予防措置を取らなければならない。その場合、直接的かつ間接的な被害の影響を最小化し、危険を転移させてはならないことが前提になっている。福島の高レベルの汚染水は今後数百年間にわたって発生し、この汚染水は隣接する韓国の海域に流入する。韓国政府は、日本政府に問題を提起する正当な権利を持つ国家として、国際法に則り、汚染水問題を公式化しなければならない。

 世界はこの9年間、日本政府の福島放射能の実態と汚染水の海洋放出をめぐる日本政府の欺瞞を十分見てきた。実際、汚染水が海に放出されれば、世界の海洋生態系と韓国国民は取り返しのつかない放射能被害を受けることになるだろう。韓国政府が汚染水の海洋放出を防ぎ、海洋環境だけでなく、それに依存して生きている多くの国民を守るために手段を総動員することが、いつになく重要だ。これに対して韓国政府は、質疑応答レベルの行政的な儀礼ではなく、国際法の原則に基づいて速やかに対応しなければならない。

ショーン・バーニー・グリーンピースドイツ核問題シニアスペシャリスト、ダンカン・カリー国際環境弁護士 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/956186.html韓国語原文入力:2020-08-03 04:59
訳H.J

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