昨年の台風“ハギビス”(19号)が福島県を襲った後、放射性汚染物質が周辺地域に多量に漏れ出たと見られるという国際環境団体の調査結果が出てきた。
グリーンピース・ジャパンは9日、東京で記者会見を行い、福島県の浪江町、飯舘村、大熊町などの放射線量調査に基づく報告書『2020福島放射性汚染の拡散:気象影響と再汚染』を発表した。調査時点は、昨年10月16日から11月5日までで、台風ハギビス(19号)が日本に大きな被害を残した後だった。
グリーンピースは、雨水が流れたまった場所で、放射線量が周辺地域より数倍高い“ホットスポット”が多数発見されたと明らかにした。例えば、調査チームは福島第1原発から北西側に約30キロメートル離れた菅野みずえ氏の住宅周辺の放射線量を測定したが、水が流れてたまった地点で最大3マイクロシーベルト(μSv)の放射線量が測定された。地表面から1メートルの高さで測定した結果だ。同じ高さを基準として、日本政府の除染目標値が時間当り0.23マイクロシーベルトである点を考慮すれば、目標値の13倍以上の放射線量が測定されたわけだ。
原子力発電所から約25キロメートル離れた国道周辺では、時間当り最大で7マイクロシーベルトの地点も見つかった。特に、東京五輪聖火リレーの出発地点で、日本政府が復興の象徴として広報してきたサッカー訓練施設「Jビレッジ」の駐車場では、地表面で測定した時に最大で時間当り71マイクロシーベルトに達する高い放射線量が測定された。これは、福島第1原発の事故以前に福島県一帯の放射線量水準を示す“バックグラウンド数値”(時間当り0.04マイクロシーベルト)の1775倍に達する高線量だ。
グリーンピースは環境庁にこの事実を知らせ、福島原子力発電所の運営会社である東京電力が再除染を実施した。しかし、グリーンピースが東京電力の再除染後に再びJビレッジ周辺を調査したところ、駐車場から若干離れたところで最大時間当り2.6マイクロシーベルト(地表面から高さ10センチ)が測定された。
グリーンピース日本事務所の鈴木かずえ気候エネルギー分野活動家は「台風など気象による放射能再汚染は数世紀にわたり続くだろう」とし「日本政府が強調する『すべて正常化している』という表現は現実と違う。日本政府は除染作業に失敗した」と批判した。自身の住宅調査に協力した避難民の菅野氏は「山から汚染物質が川に流れる。海に直接流れもする。汚染の広域化は大変なこと」とし「五輪だけに人々の視線を向けさせてはならない」と指摘した。