ムン・ヒサン国会議長とチュ・ホヨン未来統合党院内代表が、相次いで李明博(イ・ミョンバク)元大統領と朴槿恵(パク・クネ)前大統領の恩赦を取り上げて、物議を醸している。ムン議長は21日の退任記者懇談会で「前職大統領について相当な考慮が必要だ」とし、「恩赦を恐れなくても良い時期になった」と述べた。チュ・ホヨン院内代表は盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領11周忌を翌日に控えた22日、「大統領が例外なく不幸になる『大統領の悲劇』をもう終わりにせねばならないのではないか」、「(李明博・朴槿恵)お二人を愛して支持した人たちの心の傷に背を向けて、国民統合を語ることはできない」と主張した。国民統合を名分に掲げたが、性急で不適切である。
恩赦を行うためには、何よりも過ちを犯した人々の率直な反省と謝罪、そして真実究明に対する協力が不可欠だ。しかし、二人の元大統領の態度には、そのような姿がまったく見当たらない。李元大統領は自分に対する捜査を「盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の死に対する政治報復」だとし、公開的に反発した。朴前大統領も同様だ。彼女は4・15総選挙を控えて「巨大野党を中心に太極旗を掲げた皆が一つになって力を合わせてほしい」というメッセージを発表するなど、現実政治に介入した。
これに先立ち、ファン・ギョアン前自由韓国党代表やユ・スンミン前正しい未来の党代表など、野党関係者らが二人の元大統領の恩赦を求めた。しかし、何の反省と謝罪もない元大統領らに対する恩赦論に対し、国民は賛同しなかった。
さらに、恩赦の法的要件も備えていない状態だ。特定の人に対する刑執行を免除する特別恩赦は、刑が確定しない限り、不可能だ。ところが、ダースの資金横領などの疑いで、二審で懲役17年、罰金130億ウォン(約11億3千万円)を言い渡された李元大統領はこれを不服として上告した。現在、最高裁の判決が残っている。国政壟断の疑いなどで、二審で懲役25年、罰金200億ウォン(約17億3千万円)を言い渡された朴前大統領も、7月に予定された破棄差し戻し審を待っている。
地位の高低にかかわらず、犯した罪にふさわしい対償を払うのが法治主義の基本である。かつて、国民統合と経済立て直しなどを名分に掲げ恩赦が頻繁に行われたが、大半は期待していた効果はほとんど収められず、免罪符を与えただけという批判を受けた。内乱と軍事反乱の首魁で光州(クァンジュ)市民を虐殺した全斗煥(チョン・ドゥファン)氏は恩赦後、追徴金を納付せず、被害者を非難する破廉恥な行動で再び法廷に立った。法律の要件も備えておらず反省もない人々を、「国民統合のため」という名分を掲げて恩赦する過ちを繰り返してはならない。